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第23話 瞬殺

 構えを取ったファウスト。

 そのファウストにビアージョとコージモが襲い掛かる。


「フンッ!!」


「……」


 まずは、得物の長さを利用したビアージョが突きを放つ。

 2m程の長さの三叉の槍による攻撃を、ファウストは横へ跳ぶことで回避する。


「ハァー!!」


「……」


 突きを躱したところを狙っていたかのように、コージモが戦斧を振り下ろしてきた。

 直撃すれば真っ二つにされてしまいそうな攻撃を、ファウストは後方へ跳ぶことで躱した。


「……速い」


 自分たちの攻撃を無言で躱すファウストの動きを見て、ビアージョは冷静な表情で声を漏らす。

 先程の攻撃は、様子見とは言え7~8割ほどの力による攻撃だった。

 それを難なく躱してしまう身のこなしを見るに、かなりの実力があるというのが窺えた。


「しかし、目で追えないほどではない……」


「そうだな。俺たちなら勝機はあるはず……だろ?」


「あぁ」


 動きの速さからいって、コージモはもとより、自分よりも速いかもしれない。

 戦闘において速度というものは重要だ。

 攻撃を躱されてからのカウンターを受ける可能性が高いからだ。

 しかし、それは1対1の場合の話で、今回はコージモも共に戦っている。

 めちゃめちゃ仲が良いという訳ではないが、お互いエレウテリオの側近として切磋琢磨してきた相手だ。

 それなりに息の合った戦いができるはず。

 自分が攻撃を躱されても、相手がフォローをしてくれる。

 そんな思いから、ビアージョが勝機はあると言おうとしたところを、コージモに先に言われてしまう。

 コージモも同じ思いをしていたことで、どこか心強く思ったビアージョは、笑みを浮かべて返事をした。


「「ハッ!!」」


 息を合わせるような訓練などしたことはないが、エレウテリオの復讐を果たすという目的が一致しているからか、シンクロしたようにビアージョとコージモは動き出す。


「オラッ!!」


「……」


 今度はコージモが先にファウストへと襲い掛かる。

 これまでのような片手による攻撃ではなく、両手で掴んだうえで戦斧を振り下ろす。

 移動速度は速くなくとも、その攻撃速度はかなりのものだ。

 しかし、ファウストは後方へ跳び退くことでその攻撃も躱す。


「へッ!」


 自信の一撃を躱されながら、コージモは笑みを浮かべる。

 それは狙いが斧による攻撃ではないからだ。

 コージモは攻撃を躱されても気にすることなく、そのまま斧を地面へと振り下ろす。

 それにより、打ち付けられた地面が爆発を起こしたように爆ぜた。


「っ!!」


 攻撃を躱したファウストへ、コージモが起こした爆発によって飛び散った土砂が猛烈な勢いで襲い掛かっていった。

 その攻撃をさすがに躱せないと判断したファウストは、魔力を壁として利用することで土砂を防ぎにかかる。 


「っ!?」


 魔力障壁を張るために両手を利用したファウストは、影が自分にかかったことに気付く。

 何が起きたのかと思って上空へと視線を向けると、そこにはビアージョが落下してきている途中だった。

 落下による力を利用して、ファウストを脳天から串刺しにするつもりのようだ。

 土砂攻撃でファウストの視界を塞ぎ、その間にコージモの背中を利用して上空へ飛び上がったのだろう。

 声を殺して迫ってきたようだが、影は消せない。

 狙いに気付いたファウストは、バク転するようにしてビアージョの攻撃を躱しつつ、その場から移動することに成功した。


「チッ!」


「惜しかったな」


「あぁ」


 あと少しというところで躱されてしまい、着地したビアージョは思わず舌打ちする。

 コージモも若干悔しそうだが、自分たちの攻撃にファウストが防戦一方の様子から、この戦いを有利に進めていると判断し笑みを浮かべている。

 ビアージョも同じように思っているからか、短い言葉と頷きを返した。


「躱すのは上手いようだが、どうした? 防戦一方じゃないか?」


「いくら俺たちが2人がかりだろうと、本当にお前がエレウテリオ様を殺したのか?」


 自分たちが有利だと判断したからか、ビアージョとコージモは挑発するようにファウストへと話しかける。


「ふ~……、やれやれ、好きにさせていただけだというのに、そんな事も分からないようですね」


 その挑発に対し、ファウストは呆れたようにため息を吐く。

 ビアージョとコージモは、自分たちの猛攻に反撃ができないでいると思っている。

 ファウストからすると、それが滑稽にしか思えない。

 反撃ができないのではなく、しないでいただけだというのに勝てる気でいるなんて、どれだけ自分たちが強いと思っているのだろう。


「……何だと?」


「ここまで手を抜いていたって言いたいのか?」


「その通りです」


 挑発をするつもりが逆に挑発をされ、2人はこめかみに血管を浮き上がらせる。

 ファウストが真面目な顔をして返事をするところが、尚更2人をイラ立たせる。

 

「ハッ! 強がり言ってんじゃねえ!!」


「強がりなどではありません」


 こんな状況でもポーカーフェイスをしていることは褒められるが、さすがに聞き逃せるような発言ではない。

 コージモは怒りで語気を荒げた。

 しかし、ファウストは表情を変えない。

 それもそのはず、ファウストからすれば、最初から全て真実しか話していないのだから。

 真実なのに、人間たちが信じようとしないだけだ。


「そんなに言うなら、お前の方からかかってこい!!」


「そうですか。分かりました」


 ファウストの強がりを相手にしているわけにはいかない。

 コージモとの話の流れを利用して、ビアージョは目的通りファウストから攻め込ませることに成功した。

 速度は上でも自分が反応できないほどではない。

 ファウストが攻撃した所を自分が防ぎ、攻撃をして隙ができた所をコージモに仕留めさせる。

 それがビアージョが考えた策だった。

 それが成功し、ビアージョは内心で笑みを浮かべた。


「少しはもってくださいよ?」


「フッ!」「へッ!」


 ファウストの上から目線の発言に、ビアージョとコージモは半笑いで返す。

 もしもこれまでが本気ではなかったとしても、それは自分たちも同じだ。

 多少これまでより速くなったところで、負ける要素はない。

 その核心からの笑みだ。

 しかし、2人は知らなかった。

 ファウストは半分ほどの力しか出していないと言うことを。

 

「やっぱり雑魚ですね……」


「「…………」」


 ファウストが2人の間を通り抜ける。

 それを2人は黙ったまま動かない。


“ゴトッ!!”


 2人が動いたと思った時には、心臓部に風穴を開けた状態だった。

 動いたのではなく、立っていることができずに崩れ落ちたのだ。

 その結果を見ることなく、ファウストはその場からゆっくりと歩き去って行った。



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