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第21話 高みの見物

 時間は戻る。

 ダンジョンに閉じ込められた司は、脱出するよりも強くなるため攻略の道を進むことを選択した。

 死体使いのスキルを手に入れたため、スケルトンたち指示すれば食料は手に入れて来てくれるし調理までしてくれる。

 そのため、司は手に入れたスキルの訓練に時間を当てられるため、ダンジョン攻略は特に問題なく進んで行っていた。

 攻略は4層まで進み、司たちは5層へと向かった。


「5層か……」


 ここまでの階層の魔物は、はっきり言ってたいしたことなかった。

 特に多かったのはゴブリン。

 そのお陰でスケルトンの数は結構な数に膨れ上がっていった。

 数が増えれば、尚更攻略は順調に進んで行ったが、ここは注意をすべき階層数だ。

 というのも、多くのダンジョンは5の倍数階に危険な魔物を配置する傾向があるためだ。

 ここまで魔物が弱かったのも、ここまでおびき寄せて確実に仕留めることが目的なのかもしれない。

 もしくは、ダンジョンを形成している核を破壊されないために、危険な魔物を配置しているのかもしれない。

 どちらにしても、この階層は注意が必要のため、司は用心しながら5層の攻略を開始することにした。


「これまで通りで行くぞ!」


“コクッ!”


 司の言葉に、ゴーストとスケルトンが頷きを返す。

 そして、ゴーストは上空へと向かい、周囲に魔物がいないかの捜索を開始する。

 捜索された魔物を、スケルトンたちが死角から集団攻撃で仕留める。

 これが司のやり方になっていた。

 これなら司は危険な目に遭うことなく魔物の討伐ができるし、倒した魔物の死体を使うことで戦力を増強できる。 


“ドサッ!!”


「ご苦労さん」


 スケルトンたちは、倒した魔物の死体を持ってきて積み上げる。

 司はその死体を、食肉用と戦闘用に選別する。

 

「ここの階層は動物系が多いのか?」


 スケルトンの倒してきた魔物に、選別する司は思わず呟く。

 鹿や猪と言った魔物が多かったからだ。

 

「兎肉以外が食えるのはいいかもしれないな」


 動物系が増えたのは良かった。

 兎の肉にも飽きてきていた。

 そのため、この魔物たちはありがたいところだ。


「ん? これは……」


 動物系の魔物の解体をスケルトンたちに任せ、司は魔物を選別の続きを開始した。

 警戒していたのが意味なかったかのように、魔物の脅威度はこれまでと変わっていなかった。

 動物系以外は、ゴブリンばっかりだったのだ。

 司が操りスケルトンも、魔物と戦っていれば時折倒されることもある。

 しかし、それ以上に数の補給ができているので、そんなに数を増やす必要もない。

 というより、これ以上の数を維持できるほどの魔力が、今の司にはないからだ。

 なので、ゴブリンの死体は放置。

 ダンジョンに吸収されるのを待つことにした。

 それよりも、死体のなかに見慣れない種類の魔物を見つけた司は、思わず選別の手を止めた。


「マミーか?」


 死体の山のなかにあったのは、包帯をグルグル巻きにした魔物。

 アンデッド系のマミーだ。

 初めて遭遇した魔物に、司は少しテンションが上がった。

 

「そう言えば、アンデッド系ならもしかして使いこなせるのか?」


 自分が持っているスキルは、死体使いと言う名のものなのだから、もしかしたらこのままマミーを使うことができるのではないかと司は考えた。

 スケルトンたちが倒す時に魔石を破壊したようだが、使えるなら問題ない。

 物は試しと、司はスキルを試してみることにした。


「発動!」


 予想通り、スキルを発動させるとマミーが立ち上がる。

 魔石のあった胸の部分には穴が開いているが、包帯で隠してしまえば元通りになり、普通のマミーと大差ない。

 後は、どれだけの魔力でどれだけの期間活動するかを調べるだけだ。


「ん? 拳闘? このマミーは拳闘スキルを持っていたのか……」


 どうやら死体使いのスキルは、使うとその死体が持っていたスキルが手に入れられるようだ。

 かと言って、特殊なスキルが手に入るという訳ではなく、訓練次第で手に入るスキルがほとんどだ。

 人間でも魔物でも、特殊なスキルを持っていることなんて極々稀だ。

 だから手に入っていないのか、それとも特殊スキルは手に入らないのか。

 どちらにしても、死体使いという特殊スキルはかなり優秀だ。

 魔物を動かすとスキルが手に入っていることがあるため、司はステータスカードで確認するようになっていた。

 マミーを動かしてから確認すると、これまでになかった拳闘スキルが手に入っていた。


「んっ? 乾燥しているから腐らないのか?」


 その後、マミーを使っているとある発見をした。

 マミーはアンデッド系の魔物。

 死んでいるので、ゾンビと同様に肉が腐るのかと思っていた。

 しかし、マミーは魔力を補充し続ければ問題なく動き続けていた。

 その理由を考えた時、マミーの包帯の下の肉体が乾燥しているということに気が付いた。

 どうやらそれで腐らなくなくなっているようだ。


「これは使えるかもな」


 肉体が腐らないため、スケルトンよりも動きが良い。

 しかも、マミーを数体集めてみた所、武術系のスキルを持っていることが多い。

 そのため、近接戦で使えるのではないかと考えた。

 ゾンビの場合、腐敗臭が気になる所だが、マミーにはそれがない。

 しかし、乾燥している分炎系の攻撃に弱いようだが、それさえ気を付ければいいだけだ。


「おいっ! マミーがいないか探して来てくれ」


“コクッ!”


 検証した結果、司の中でマミーは使えると判断した。

 そのため、使える数を増やそうと、ゴーストに捜索をさせることにした。






◆◆◆◆◆


「くそっ! 何だこのマミーは!」


 時は今に戻り、戦闘相手がスケルトンからマミーに代わったことで、帝国兵はやりづらそうに呟いていた。

 固まって1対1で戦えるようにしていたのだが、その1対1で互角の戦いをすることになったからだ。

 接近戦に持ち込み、拳による攻撃で帝国兵を追い込んで行く。

 そんなマミーに手こずっていた。


「ガッ!!」


 マミーと戦っている所を、スケルトンが割り込んでくる。

 人間同士なら味方同士を傷つけないように躊躇うタイミングだが、アンデッドだからなのかそんな事お構いなしと言わんばかりの攻撃だ。

 意表を突かれたこともあり、帝国兵たちはまたアンデッド軍団に圧され始めることになった。


「マミーも集めまくったからな。好きなだけ味わえばいい」


 ダンジョン生活の序盤で集めまくったマミーを出したことで、帝国兵たちは少しずつ数を減らしていく。

 1人また1人と憎き帝国兵が死んでいく様を、司は笑みを浮かべながら高みの見物をしていたのだった。



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