転生への一歩
死ぬと転生できると聞いたことがある。
異世界に転生してドキドキワクワクな冒険が楽しめるらしい。楽しみだ。
だから僕はまったく怖いと思わない。
笑顔を崩さずに前へ進める。
白線を超えてさらにその向こうへ。
だんだんと音が近づいてくる。
迫る陰に飛び込むように、ホームを蹴った。
身体が弾けた。音が遠のく。光が遠のく。温かいものが体内から溢れる感触。動かない口。開かない目。四肢は繋がっているだろうか。
痛い。
これに耐えれば異世界へ行ける。退屈な日々とおさらばできる。
痛い。痛い。痛い。
ああ、耐えられない。こんなの我慢できる奴は狂っている。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
いや、耐えられなくていい。耐えていては死にきれない。痛みを感じながら異世界へのお招きを待つとしよう。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛