2章 幻想郷の客人
こんばんはおはようございますこんにちは
今日から2章が始まります。
「宴会やろうぜ!」
そう言ったのは魔理沙だった。
「えーまたやるわけ?」
「またどころかまだ夏になってから一回も宴会やってないぜ霊夢。それに歓迎会も兼ねた宴会だぞ」
「そうねぇ…。たしかに外来人がしばらく在住するってあんまりないものね」
「…。普通は幻想郷内で妖怪か何かに襲われて死ぬか、博麗神社来れたら軽く質問だけやってあいつ《紫》とお前が外に帰す、だもんな」
「例外として幻想郷にずっと居着く人間もいるけどね。でも今回は初めてのケースよ。あの二人には帰る場所があり帰る意味と理由があるんだもの。住んでる世界軸すら違うしね」
「だからあの二人は幻想郷の住民じゃなくて幻想郷の客人ってことか」
「そ」
「で、その二人はどうしたよ?」
「カオルは人里で玉兎と薬売りの手伝い。龍太さんは妖怪の山が気になるって言って出掛けているわ」
「…」
「なによ?」
「いや、お前が誰かをさん付けって珍しいなって」
「あのね私だってそういう時はあるわよ。あの人に対してはさん付けしたくなるのよね」
「なんじゃそりゃ?。まあけど宴会はやろうぜ!」
「宴会するの?」
そこには半霊を浮かせた女の子がいた。
「ん?」
「あ?」
「ってなんだ妖夢か」
「よぉどうした妖夢?ってそういえばお前ん家には紫来てないよな?」
「うん、来てないよ。幽々子様は何も気にしてない感じだけど」
「あいつら自由だからねぇ。藍辺りは騒いでそうね。それであんた何しに来たの?」
「あ、そうだった。龍太さんとカオルさんいる?」
「さっきまでいたわよ。ってなんで知ってるの?」
「…、新聞が来てるんですからそりゃ来ますよ」
「ああそういえば文が昨日取材してたわね。龍太さんカオルには答えさせずに全部答えてたから」
「そうなの?」
「そうなのよ。でも全部は答えずに少しずつ答えてる感じだったわ」
「それなら当分、文の新聞はあの二人の記事になること決定だぜ。それで妖夢はあいつらに用事なんだよな?」
「うん今どこにいるの?」
「カオルは人里。龍太は妖怪の山に観光していってるはずだぜ」
「そうなの?わかった」
そう言って妖夢は神社を去ろうとしたが魔理沙が声をかけた。
「ああそうだ妖夢!近々ここで宴会やるから幽々子にもよろしく伝えておいてくれ!!」
「わかった。宴会だね伝えとく」
と今度こそ妖夢は神社を後にしていった。
「あんたねぇ」
「いいじゃねえか。どうせ私か萃香辺りが言わないとやらないだろ霊夢」
「はぁ。わかったわよ。声くらいかけておくから」
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俺は昨日カオルと再会を果たした。
俺達は帰れる目処が立つまで霊夢の家で居候する形になった。
霊夢には俺とカオルの関係は話しておいたが霊夢は昨日の俺とカオルの互いに接する態度で気付いていたようだ。
今日は俺はカオルと過ごしたかったのだがカオルは鈴仙と予定があったらしく、まるで学校の昼飯の余り物になった気分だった。いや購買はいつも余り物しか買えたことないが。
だが俺はカオルが大きな収穫を持っていたことで俺もこれからどう動くか決まった。
この世界にあの蜂型グリームがいること。その証拠に黒蛛病の患者が出たことだった。
とりあえず俺達はグリームを探しつつ、この幻想郷を見て回ることにしたのだ。
滅多に来れる場所でもないからな。
俺は妖怪の山に結城と似た人がいると聞きやってきた。
結論だけ言うとその人達と出会うことができた。
本当にそっくりすぎて早苗を
「早苗先輩!」と呼んでしまうほどだった。
そしてここ守矢神社は妖怪の山の上に建つ神社で、風祝の東風谷早苗と、神様の八坂神奈子、洩矢諏訪子が住んでいる。元々は外の世界に建っていた神社だが、外の世界で人間からの信仰が減少していっており、それを危惧した神奈子が妖怪からの信仰を得ることを画策し、神社ごとに幻想郷に移転、現在に至るわけだ。表向きには神奈子の神社となっているが、実際に祀られている神様は諏訪子であり、二柱の協力関係によって神社が成り立っている。外の世界にあった頃は表向きには建御名方神ということになっていた。
余談だがモデルになった神社は諏訪大社だ。
『風神録』ステージ5・6・Extraステージ、『地霊殿』Extraステージの舞台になっているぞ。
よかったら遊んでみてくれ。
って俺は何を言っているのか。
俺は守矢神社をあとにして山を降りていた。
「このあとは」
どうするかと言いかけて立ち止まる。
気配を感じた。
99,999%気配断っているのはすごいが0,001%の存在感があった。
俺は声をかける。
「誰だ?」
「気付きましたか。なるほど。どうやら少しはできるようですね」
姿を現したのはメイド姿をした女の人だった。
「妖怪?」
「人間ですよ」
「隠れて何をしていたんだ?」
「買い物帰りの途中だったのですがお肉がなかったんですよ。お嬢様もお待ちですから」
…なるほど。そういうことか。
「…そうか。悪いが断るよ」
「そうですか。では…」
メイドからあちこち銀ナイフが出て来たり浮かんだりしてそのいくつかを両手に持ち構えた。
「手早く済ませましょうか。外来人」
ええ…戦うのかよ。なんて考えながら俺も構える。
「簡単には終わらせないぜ。いくぞ」
数秒後、
俺とメイドは同時に地を蹴る。
ナイフが一気に大量に飛んでくる。
「これは…っ!あぶなっ!」
しかも俺がかわした場所に丁度いい間隔でナイフが飛んできている。
「かわしきったぞ」
「なるほど。やりますね」
「次は俺の番だぜ」
俺は杖を横に振りかぶり重力弾を複数に放つ。
そして一気に疾駆してメイドの懐に入る。
「どうだ!」
杖から放つ魔力をそのままメイドの足元に放ち、放たれた魔力が光となり爆発する。
あっさりかわされたが俺にはまだ重力を纏った音速の拳がある。
「ッ?!うぐ」
拳はメイドに突き刺さり、吹き飛ばす。
「っぅぅ。速いですね」
「まだまだだけどな」
「ならこれはどうでしょう!
幻符「殺人ドール」!」
放たれたナイフだが俺はそれをかわすがナイフはターンして俺を追尾してきた。
俺は拳に光を灯して、ガードじゃなくてブレイクする。
つまり正面から叩き折る。
「っ!」
「ふっ!!」
俺とメイドはまたも至近距離になり格闘戦になる。
あのナイフ…ワイヤーか何かで浮いているのかと思うが違った。
きっちり俺の位置を把握して飛んできている。
近接戦闘は互角かもしれない。
つまりこの戦いには互いの魔法、いや技次第で状況は一気に変わる。
つまり俺はこのメイドのカラクリを、即ち、能力を理解しなくちゃ勝機は薄い。
そのためには!
俺は自らを重力で覆いメイドを吹き飛ばす。
しかしどういうタネか知らないが瞬間に俺の辺りにナイフが浮かんでいた。
だけど構わない。
光を一瞬で杖に一点に集める。
まだ実戦向けじゃないがやる価値はある。大博打と勝負運はいいからな!。
杖は赤い炎の爆発を伴いながら周囲のナイフを蹴散らした。
「シリウスの火。この火より熱く爆発を続ける火は中々ないぞ」
「くっ!?」
メイドに向かって爆発を放つが、俺の勘が働いた。
メイドに向かって撃つのをやめて辺りに爆発させた。
「しまった!」
メイドが初めて焦りを見せた。
俺の周囲に張り巡らせていたナイフが吹き飛んでいった。
同時にメイドを巻き込み距離ができる。
「…夜霧の幻影殺人鬼が破られるなんて」
「すごい技名だな…。じゃあ俺の勝ちで」
「まだ私は負けていませんよ」
「なに?」
気付いたら俺にメイドが組み付いていた。あの距離をどうやって瞬間移動を?。
いや瞬間移動ができるなら爆発なんて回避は簡単だ。
「お前は時間を操るのか!」
「今気付きましたか。でも遅いです!」
俺とメイドの周囲に大量のナイフが浮いてこちらを狙っていた。
「おまけに、さらにおまけよ」
さらにナイフが配置され数えきれない数のナイフが俺を囲んでいた。
「傷魂「ソウルスカルプチュア」。これこそ私の技。いえ…この世界では私達はスペルカードと呼ぶのよ。これでトドメ」
大量のナイフが一気に迫ってきた。
あーやばい!
この感じだと俺は勝てない。
…仕方ない。
カオル…力を借りるぞ!
一瞬、魔法陣が展開され数えきれない数の金属音が響く。
俺は一瞬でナイフの嵐を掻い潜った。
「よし!!突破したぞ」
「な?!嘘でしょ…。あの数をどうやって」
「うらぁ!!!」
問答する余裕はなく俺はメイドの腹にハンマー型になった杖を叩き込んだ。
崩れ落ちたメイドは呻いていた。
「俺の勝ち、だな」
「そう…ですね」
「あらあら咲夜。負けちゃったのね?」
「っ!?」
俺は振り向くと、脳天に拳がめり込んだのがわかった。
わかっただけだ。
俺の意識は遠退いていった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
観光したりバトルしたりと騒がしくも忙しない日々を過ごしています。
次回は2章act2になります。
ここまで読んでくれてありがとうございました。