7章act9 「全て嘘でありますように」
お久しぶりです。
今回は回想となります。
私は地球、青の世界じゃない。
異世界の出身だった。
青の世界からは魔法国と呼ばれている世界。
その西の果てで私は産まれた。
家庭は普通だ。
貧乏でもない。
裕福でもない。
魔法使いと認識されてからもそれも変わらない。
両親は魔法使いになれなかったから喜ばれた。
幸せな家庭だったと思う。
当時、壊世戦争と呼ばれる魔法使いと全く異なる場所からやってきた異形達と終わりのない争いを続けていた。
私はその戦争に出征していた。
正直あの化け物連中がどこから来たのか今でも謎だが。
魔法使いは年齢と姿形はあまり関係がない。
だが私は当時16歳だった。
同じような年齢の奴らが出征していることはよくある話だった。
出征は…したくなかった。
「おい!気をしっかりもつんだ…!傷は浅い!」
荒野の中、私は傷付いた仲間を支え戦った。
目の前に首が四つもある異形が降り立つ。
能力なのか何かもわからない。
そいつは見境なく魔法使いを埃でも散らすように殺していく。
次は私が狙われる。
好きで戦争がしたいんじゃない。
好きで戦いに来たんじゃない。
まだ私は何も為してない。
傷を負った仲間は私を庇い死んだ。
逃げろと言うかのように…。
私は荒野を駆け抜けた。
この戦争が起きた要因はわかっていない。
わかっているのは当時、四つの国が大陸、空、海、氷河、島の大地と大空を賭けて戦争を繰り返していたことだった。
そんな最中に異形が現れた。
どう現れたのかは聞かされた話でしか知らない。
そいつらは空間を突き破ってやって来たのだという。
様々な姿をし魔法なのかそうでないのか私達の知らない能力を使って魔法使い達を圧倒し殺し回っていた。
魔法使い同士の戦争はこの異形対策のために停戦を余儀なくされ、全ての国が同盟としてこの異形を倒すことを打倒とした。
それから何年か何十年と戦争を続け、私は戦場に立っていた。
だが私は弱かった。
私がここにいる理由…。ないな…。
仲間を殺され、私だけが生きていて…。
私は荒野を駆け抜け森へと走る。
私は戦い続けた。
その度に私は誰かを失った。
戦争は嫌だ。
早く終わってほしい。
もう失うのは嫌だった。
思い出したのは家族の顔。
帰りたい。
そう思った時だった。
目の前に異形が降り立った。
私達と同じ人の形を持った姿の異形。
今まで見たことがない奴だった。
異形は遊戯だというかのように嘲笑う。
だが傍に誰かいた。
逃げろと言った。そいつは逃げなかった。
異形は私を狙うかと思った。
違った。
私じゃない傍にいる奴を狙った。
反射的に私はそいつを振り返る。
息を飲んだ。
それは人だと思っていたのに人じゃなかったから。
その時代は本当に戦いばかりで見ることが難しく、いるのかさえ不明な生き物。
動物のネコという生物だった。
私を守って死んだ奴はみんな私より強かった。
それなのに今傍にいるのは私よりずっと力も魔力もない。
ただにゃーにゃー鳴くだけの小さな生き物。
私は叫ぶ。大きな声で叫んだ。同時に異形に組み付いた。
殴り噛みついたりしてお互い揉まれながら地を転がる。
異形から初めて驚きの声を発したのがわかった。
私は「逃げろ、逃げろ」と叫び続けていた。
私と異形は地面で組合いになり…
私は殺された。
何一つ出来なかった。
何も出来なかった。
諦める心の中、私は星に祈る。
「…………」
『…イイダロウ……』
祈った声は何かが答えた。
目を覚ますと私は12人の星座に憑かれた1人として幻想郷に立っていた。
私の心は灰の嵐だ。
あぁ…この嵐を満たしてくれるのはいったいどこに。
…戦って全てを灰に変えてやろう。
そうして全てを蹂躙すればわかるだろう
ここまで読んでくれてありがとうございます。
アーシェの生前の話となりました。
彼女が何を思って生きてきたのか。そんな物語です。
報われなかった世界。しかし新たに命を宿した場所は幻想郷でした。
ちなみにタイトルは、彼女のある最後の思いになっています。
今回はここまで。
ここまで読んでくれてありがとうございました




