7章act8 借り返し
7章act8になります。
「まだ捕まってるのかよ兎」
「……」
牢のような部屋に腕を繋がれて項垂れる姿を私は見た。
幻想郷の知識と情報、そして彼女の記憶全てを蛇使い座に吐かされてしまった。
身体的、精神的なショックも大きいだろう。
関係ないがな。
「……」
「だが借りは返すぜ」
私は牢を壊し腕に付いた腕輪も壊してやった。
「えっ…?」
「早く出ろ」
「…なんで?…何が目的?」
「目的なんざねぇよ。借りを返しに来たんだよ。いいから早く出ろよ」
「……借り?」
「いいから出ろや兎」
私は腕を掴み無理矢理、引っ張り出す。
彼女の身体はそのまま引っ張られるように私の身体にもたれてきた。
思わず反射的に受け止める形になってしまった。
彼女は呟く。
「……あなたから霊夢の匂いがする」
「ああ~…?…あぁ…そりゃそうだろな。今私は博麗の巫女だからな」
「……あの時…霊夢を可笑しくさせた箱を使ったから?」
この状況が途端に気恥ずかしくなった。
「…使わされたが正しい。あぁもういいだろ離れろ。早く行け。祓うぞ」
「……うん…ありがとう」
「…礼は私じゃなくあの魔法使いの男に言えよクソ兎」
私は兎の女を外へ追い出した。
「…はぁ。ゴホッ。…ちっ」
咳き込む。
馴染まない力を無理矢理馴染ませるのは身体や魂に負担を強いる。
文武不相応ということだ。
「ため息とは幸せが逃げるぞ」
「いたのかよ。つか今幸せな状況じゃないだろ。天秤座」
「逃がしてしまっては蛇使い座が怒る」
「知ったことか…だったらお前が私を裁くのか?究極の絶対秘神の身体を得たお前が」
「……」
どうやら何もしないらしい。
「…お前、何を考えてる?意識の支配もしているくせに。この世界には敵わなかったとか抜かすか?」
彼女は首を左右に振った。
思えばこの天秤座だけは考えが全く読めない女だった。
「…気に食わねぇな」
「お前はこの世界に来て何を見た」
「……?」
私は首を傾げる。
唐突な質問だった。
「なんだよ藪から棒に」
「日陰に身を落としたお前は星の力でここにいる。ここに来て何かを見れたか?」
「………」
沢山の奴と戦った。どいつもこいつも雑魚ばかり。
雑魚ばかりだ。
神様?人間?魔女?妖怪?
あぁ雑魚ばかりだよ。
…雑魚ばかりだ。
ふと魔法使いの男が頭を過った。
弱いくせにあの男のことが頭にあった。
私を庇ったあの男。
幻想郷じゃない場所から来た異邦人とも言うやつだ。
「……何も見てねぇよ」
ただ昔の自分が彼と重なって見えた。
私は何も出来なかったけどな。
「それだけだ」
そう言って私は外に出た。
誰もいない。でも天秤座は呟く。
「………アーシェ、私は何も言わん。蛇使い座にも私は…
お前の思いもわかるからだ」
そして彼女は1つ扉を作り消えていく。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
今回は敵サイドの視点ということで終わりました。
アーシェという女の子は博麗の力を使えるということでしたが霊夢から吸い上げた力を無理矢理馴染ませることで使えるようにしたという文武不相応なものでした。
彼女は時々咳き込む描写がありますが力を得た代わりに代償も払ったということです。
今回はここまでです
ありがとうございました




