第1通 夢
拝啓 かなり前の時代の俺へ
突然だが、今俺は夢を見ている
変な夢だ
俺は何もしてなくて、ただ2つの景色が急に移り変わっていく
それだけの夢
でも、なんだろう
身体が、心が、ふわっと浮かぶような、そんな気分である
1つは現実の風景、もうひとつは今流行りの、ユニオン テイル というゲームの風景
「今流行りの」と言っても50年前ぐらいに作られた、いわゆる「ソーシャルゲーム」とかいうRPGのゲームだ
50年前に作られたのに、今も尚流行っている理由は面白いのともうひとつある
それは完全に無料ということである
ダウンロードは勿論無料だし、課金もいらない
これだと儲けがないので作者は何がしたいのか分からないが、恐らくそのおかげで今も人気なのだろう
ちなみに俺は50年前からやっている
今も楽しいし、勿論始めた時も楽しかった
50年前からやってるってことはこいつはおっさんなのか?とか思うかもしれない
でも安心してくれ
俺はみんなが思っているようなキモオタのおっさんではない
今の時代には、ほぼ不老不死になれる薬が開発されている
これは少子高齢化の対策のために作られたものだ
この薬を飲むと、成長や歳をとるスピードが1万分の1になる
つまり10000年過ごすと本来の1年分歳をとるのだ
だから俺はキモオタのおっさんではないのだ
気づくとだんだん景色が移り変わるスピードが早くなっている
どんどん早くなっていく
だんだん目眩がしてくる
もう目では分からないほど移り変わるのが早くなっていた
とても頭がくらくらする
なんだかだるい
パチンッ
ここで夢の記憶は途絶えた