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おらが3 主人公×主人公

ストックはここまでです。


 放課後の教室。


 「――どうしただか? 何か困ったことがあったら相談にのるだ」


 俺はキスパーの主人公であるシェリアへと声を掛けてみることにした。

 たった一人クラスに残る姿が寂しそうに見えたからだ。


 「学校やめろって。平民が同じクラスにいるとそれだけで不愉快だって」


 そう言えばシェリアが誰かと一緒にいるところを俺は見たことが無い。

 ちょびっと囓った原作ではシェリアに女の子の友達はなく、攻略対象のイケメンとしか付き合いが無かったはずだ。

 確か、この時期だと放課後に王国騎士団長を目指す純真な少年系イケメン君が落ち込むシェリアに声を掛けてくるはずだ。

 そのイケメン君はさっき俺と廊下ですれ違って怯えたような顔で脱兎の如く逃げていってしまったが。


 ……あれ?

 

 もしかして俺、またやっちゃった?

 仕方ない。俺があのイケメン君の穴を埋めるしか無いな。


 「……せ、先生は凄いですよね。平民なのに貴族の子達はちゃんと先生の言うことを聞くんですから」

 普段の教育の賜って奴だな。

 ロドリゲスもあれから俺に懐いてくれたようでしょっちゅう後ろをついてくる。

 頭がかぼちゃになったから喋ったり出来なくなったけど、何となく言いたいことはわかる。

 先生尊敬してます! きっと彼はこう言いたいに違いない。

 生徒に慕われるのも悪くないもんだな。


 「実力を認めさせればいいだぁ。そしたら誰も五月蠅く言わなくなる」

 「でも、どうやって? 私には人の頭をカボチャにすることなんて出来ませんよ」

 はて?

 カボチャが人に認められることどう関係があるんだろうか?

 

 

 「カボチャは食べるためのもんだぁ。人に認められる認められないは関係ないだぁ」

 「ひぃ、た、食べるためにあんな事をしたんですか!?」

 何だか超絶に噛み合っていない気がする。


 「とりあえず話を聞かせて欲しいだぁ。そうしないと何も答えられないだぁ」

 俺はシェリアの目をじっと見つめていった。

 シェリアは俺を見て仰け反った後、諦めたようにこういった。


 「わ、わかりました。全部話します。だからカボチャにしないで。食べないで」

 シェリアは必死だった。

 それほど思い詰めていたのならば是非に話を聞いてやらなければなるまい。


 「……ど、どうして私なんでしょうか? 私なんてどこにでもいる普通の子だったのに。特別じゃ無くて良かったのに」

 

 シェリアはぽつりぽつりと話し始めた。

 故郷の村で友達が魔物に襲われて怪我をしてしまったこと。

 必死に神さまに祈ったら奇跡が起こって友達の命が助かったこと。

 偶然辺境の村に視察に来ていた王子にその現場を目撃されたこと。

 癒やしの力は世界で唯一人しか持たない希少属性であり、その事で予言の聖女と祭り上げられてしまった事。

 遙か昔に魔王を討伐して国を興した勇敢な『騎士』がいたこと。それを支えた聖女がいたこと。

 聖女の血筋はどこかへと行方を眩ましてしまったが、『騎士』の血は現在では王家を初めとする上級貴族に受け継がれており、聖女のキスによってその血が呼び覚まされること。

 そしてその為の舞台として選ばれたのが建国百年目のパーティ。

 『騎士』になれる素質を持った者は聖女の直感で分かるものらしい。



 なる程なぁ。キスパーってそういう設定だったのか。遅ればせながらに設定を理解した。

 妹の話だと、ルート確定前が学園編で確定後が冒険編だった気がする。

 多分攻略対象と二人でパーティを組んで魔王討伐に向けた冒険をするんだね。

 流石主人公。重い物を背負っているぜ。

 俺も主人公だけど、野菜作ることくらいしか役割無いもんなぁ。

 後は農作業の片手間に村襲ってくる七属性のドラゴンキングを退治したり、数千もの世界を喰い殺した無限の食欲を持ったディメンションイーターとか言う怪物くらいとしか戦わなかったもんなぁ。

 一年前の俺がバグを駆使して全部倒したけど、魔王とどっちが強いんだろう?


 「中々大変なんだなぁ。だけんど、なるようにしかならないだ。未来で後悔しない為に今の日々を一生懸命生きる。おらたちにできんのはそんくらいだぁ。聖女の役割はおらにはわかんねぇし助けにもなってやれねぇ。けんど、それ以外のことなら力になれると思うだぁよ」

 魔王との戦い。それは熾烈なものになるだろう。

 俺が教え子のためにやってやれることはせいぜい死なないように鍛えてやる事だけだ。


 「これでも昔、大学生だった頃は格闘技趣味でやってたんだぁ。棒術でも剣術でも槍術でも弓術でも八極拳、空手、システマ、コマンドサンボ何でも叩きこんでやれるだぁ」


 「え?」


 「運命は自分の意思で切り開くもんだぁ。自分に自信が無いから不安になる。相手が強いと思うから不安になる。だから、相手より強くなれるように、自分を誇れるように努力をすればいいんだぁ」


 俺はシェリアの腕を掴んで外へと引きずり出した。

 「じゃぁ、まずは腹筋腕立てを三千回だぁ。終わったら学園内を十周だぁ」


 「無理! 無理無理無理、ですよう!」

 「成せば成る。成さねば成らぬだぁ」

 「え、これ強制? 従わなかったら、その……カボチャにされてしまいますか?」

 俺は、シェリアが言う意味がよくわからなかったので答えることが出来なかった。

 だが、シェリアは俺の無言の中に答えを見つけたようだ。


 「……や、やります! ぜひやらせて下さい!」


 この無理矢理選ばされた選択がシェリアの婚期を大幅に送らせることになるのだが、シェリアは未だそれを知らない。その名を聞けば男は疎か魔王すらびびって逃げる。

 ただ、一事言えるとすればこの日『不死の狂戦姫』と呼ばれ、回復魔法に長け自己回復魔法により決して倒れない少女が武をもって最強の頂へとその道を歩み始めた事だけだろう。

 キスパーに騎士なんて要らなかった。

祝、未完!


短らく、ごあいどくあざーっした。

今の所、続きを書こうという作者のモチベーションが0なので多分ずっと未完のまま。

と、言うより他の作品で忙しい。

もしも他の作品が完結して手が空いた状態で、尚且つ気が向けばここのコメント消して続けます。

ポイント見たところ読者いなさそうだし書かなくても良さそうだけど一応。

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