結成
「立てますか?」
「はい。」
そう言って彼女は僕の手を取り立ち上がった。
これは僕が歌姫を見つけ出す。そんな冒険の物語。
「失われた歌声」
昔のトラウマか?
両親を昔魔物に殺されたトラウマで声が出なくなってしまった我が国の歌姫。最近ようやく少しずつ声が出る様になってきた姫だったが、どうしてか歌だけは歌えない。これは魔王が昔、姫のもつ声の威力を恐れ、歌声を奪ってしまったのではと予想されている。
いつ姫の歌声が聴ける日が来るのか…
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姫の歌声を取り戻したものには褒美を与える
1000000000000$
また、王国での待遇に・・・・・・・・・・・
住み慣れた町を出て冒険者になった僕。昔からの夢だったのだ。だが、現実はそんなに甘くはなかった。あの町を出てからどれくらいたっただろうか。両親の「行ってらっしゃい」と、「気を付けてね」という声を思い出し街に戻りたくなる時もあった。でも今は前を向いて進まなくちゃという気持ちだ。僕は「失われた歌声」と書かれた一枚の広告の情報を頼りに靴を鳴らして、歌いながら歩きだす。もう、涙なんて枯れてしまっている。
ガサガサ・・・
不意に背後の草木が揺れた。僕は魔物が来たと思い身構えたが、
「お、お前ひとりか?だったら俺も連れてってくれよ!」
そんな軽い口調で現れたのは金髪の男だった。歳はそんなに離れてないように見える。
「えっと…君は誰?」
「おぉ、悪い。自己紹介が遅れたな。おれはライトっていう。よろしくな!えっと…」
「僕はグレン。よろしくね。」
「グレンか。いい名前だな。よろしく!」
「えっと…連れてけっていうのは?」
「あぁ、そのことなんだがな。おれも冒険者やってんだけど1人だともしもの時に怖いし、それに仲間がいると、楽しいと思ってな。」
「なるほど…。」
「やっぱ、ダメか?」
「ううん、そんなことないよ。僕も仲間、欲しいと思ってたんだ。よければ僕と仲間になってくれないかな?」
「おぉ!もちろんだぜ!じゃーパーティの名前は何にすっか…。」
「話は聞かせてもらったわ。」
と、いきなり女性の声がした。
「誰だ!」
「そんなに身構えなくてもいいのに…。私はグレイス、この子はノアっていうの。よかったら私もあなた達のパーティに入れてくれないかしら?」
ノアというのはどうやら、グレイスの肩の上あたりを飛んでいる小さなドラゴンの名前のようだ。
「同じ冒険者だよ。銃をしまって、ライト。」
「こいつは悪い。つい癖でな。」
「グレイスさんだよね?パーティに入ってくれるの?」
「入れてくれるならだけど…。」
「ライトはグレイスさんが入ってもいいと思う?」
「戦力によるな。その弓はどのぐらい使えるんだ?」」
そういってライトはグレイスの背後に見える大きな弓を指さした。
「私はこれをもう10年はつかってるわ。射程距離は200mほどね。」
「200mってかなりじゃねぇか。そんな遠距離が狙えるんならぜひパーティに入ってほしいぜ!」
「じゃあ、グレイスさん。これからよろしくお願いします。」
「えっと、入ってもいいってことよね?」
「はい。」
「もちろんだぜ!」
「ありがとう!グレンとライトって呼んでもいい?」
「いいですよ。」
「じゃあ、おれはグレイスって呼ぶぜ。よろしくな。」
「それでえっと…何の話をしてたっけ。」
「パーティの名前じゃないの?」
「そうだ。パーティの名前…どうやら今はそんな場合じゃないようだぜ。」
「フハハハ!金目の物を渡しな!」
「山賊か…。」
「相手は6人よ…。どうするの?」
「蹴散らしてやるぜ!」
「ライトもこう言ってるし、やるしかないよね!」
「やる気か?ガキ共が。叩きのめしてやれ!」
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「なんとか勝てたかな。」
「まぁ、人数差あったからな。」
「勝てただけいいじゃない!」
「そうだ。僕らのパーティの名前。」
「お、グレン。なんか思いついたのか?」
「ホーリーフラッグ…なんてどうかな?」
「かっこいいじゃない。」
「神聖なる旗か…。悪くねぇな!」
「じゃあ、僕たちのパーティは〝ホーリーフラッグ”だ!」
これが僕たちの冒険の始まりだ