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異世界に導かれし者  作者: NS
第4章 新たな地『大和』へ
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4-15 再会3

 胡桃は隣でジャイアントエイプに吹き飛ばされた女の子に激突された拓海の心配をして、ジャイアントエイプに注意を払いながら後ろを振り向くと女の子が涙を流して拓海が呆然としていた。



(拓海……? 何か様子がおかしいし、どうしたんだろ?)



 とりあえず拓海達二人を放って置いて胡桃はジャイアントエイプと戦う志乃に応戦しようとしたが、志乃がジャイアントエイプを圧倒しているため増援が来ないか周囲の警戒をした。


 それからしばらくして、志乃の風属性魔法の“ウインドインパクト”がジャイアントエイプの腹部に炸裂して地響きと共に前のめりに倒れた。


 戦いが終わり、周りの安全を確かめた胡桃が一息つくとジャイアントエイプが倒れるまで結局戦いに参加しなかった拓海の方を振り向いた。



「なっ!?」



 そこには志乃のパートナーであろう女の子を抱き寄せて、背中をさする拓海の姿があった。その様子を見た胡桃は頰を赤くして拓海の方に二人を引き離そうと歩いていった。



「ちょ、ちょっと! 初対面の女の子に何してるの!?」


「あ、いや……。何というか……初対面じゃないんだ」



 拓海の言葉に首を傾げ、胡桃は拓海と女の子を引き離そうとしていた動きを止めた。胡桃の後ろからのそのそと志乃も歩いてきた。



「え? どうゆうこと?」


「この子は桐生柑菜。俺の妹だよ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あの、さっきは見苦しい姿を見せてごめんなさい……」



 結局白癒草は鼻がいい志乃に見つけてもらって拓海達四人は依頼を済ませて大和の飲食店に来ていた。志乃は耳をパタパタさせながらストローでグラスに入ったジュースを飲みながら謝っている柑菜を見て呟いた。



「柑菜が謝ってる……珍しい……」


「もうっ! 珍しいって何よ!」



 二人のやり取りに拓海と胡桃は顔を見合わせ苦笑を漏らした。



「あはは、大丈夫だよ! 柑菜ちゃんは拓海の妹なんだよね? こことは違う拓海がいた世界にいるって聞いてたんだけど」



 胡桃がちらりと隣の拓海を見ると、拓海も気になっていたようで柑菜に尋ねた。



「柑菜はいつ、どうやってこの世界に来たんだ? えーと何だったかな……確か何とかの番人とかいう人が二つの世界を繋ぐゲートが現れるのは一年に一度って言ってた気がするんだけど……」


「私はお兄ちゃんが川に落ちて行方不明になったって警察の人に言われてさ……。それからずっと自分の部屋に閉じこもっていたの」



(ということは俺と同時に来たわけじゃないのか……)



 拓海は頭の中で状況を整理しながら柑菜の話を黙って聞き続けた。



「そしたら部屋の中に何かカラフルでキラキラ光る蝶……かな? とりあえず部屋中が気づいたらキラキラしていてさ。私疲れてるんだなって思ったら、突然目の前の空間がゆらゆらして渦まいたと思ったら人一人通れるくらいの白い穴が開いたの」



(二つの世界を繋ぐゲートっぽいな……。不定期にランダムでって言ってたのに……そんな偶然あるのか? 頻繁に開くなら、俺の世界で知られてそうな気がするんだけど)



 とりあえずまだ続きがあるようなので拓海を含む、胡桃と志乃の二人も耳を傾けた。



「それでその穴に入って長身の男の人が驚いたとか何とか言ってて、気づいたら大和の周辺にある島の森に放りだされたの」



 そこまで話してピクリと胡桃が反応して柑菜に尋ねた。



「ちょっと待って。周辺の島には結構危険なモンスターがわんさかいると思うんだけど」


「それについては志乃が説明するよ〜……」



 耳をピンとさせて志乃が眠そうに目を擦った。



「柑菜を助けたの魁斗さん……」


「えっ? お兄ちゃんが!?」


「えっ? お兄さんなんですか!?」



 妹コンビのそれぞれの反応に志乃はこくりと頷き話を続けた。



「ん……。柑菜を志乃のとこに連れて来たから……」



 それから何故か話が脱線して柑菜と胡桃がお互いの兄について話し始めたので、会話に夢中になっている柑菜と胡桃を放置して拓海と志乃は黙って席を外すのだった。

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