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異世界に導かれし者  作者: NS
第4章 新たな地『大和』へ
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4-4 不安と期待


「それにしても本当に綺麗な海だな」


「うん! 昔から見てた光景だからあんまり気にしてなかったけど、確かに綺麗だね」



 大和行きの船に乗り込んだ拓海と胡桃の二人は船の甲板から周りの景色を眺めていた。しばらくして、遠くの景色を眺めていた拓海の隣で胡桃が自分の足元に視線を落としため息をついた。



「お兄ちゃん帰って来てるかなぁ……」


「確か……魁斗さんだったか?」


「うん……SSSランクに上がってからは会えてないかな……。でも、魁斗お兄ちゃんは優しくて、強くて、かっこいい私の自慢のお兄ちゃんなんだよ! 昔SSランクのラグナカングっていう竜の姿をした魔族のモンスターから一人で大和を守って英雄扱いされたこともあったんだからね!」



 得意気に自分の兄の自慢話をする胡桃に苦笑しつつも素直に胡桃の兄である魁斗という人物が凄いと思った。



(SSランクモンスターってことは前に戦ったSランクモンスターのバンダースナッチよりかなり強いってことだよな。それを相手に一人で戦ったのか……。しかも年齢も確かロイと同じくらいなんだよな。一度あってみたいものだな)



「凄いんだな。胡桃のお兄さんは」


「ふふっ、もし大和にいたら紹介……したいんだけど……ね」


「あ、喧嘩別れしたんだっけ」


「うん……ちょっと気不味いかも」



 以前胡桃と雑談している際に、拓海は胡桃がアストレアに来た経緯について聞いていた。


 胡桃が大和に住んでいた頃、胡桃は兄である魁斗と共に冒険者のパーティーを組んでいた。しかし、ある日突然魁斗がパーティーの解散を告げて胡桃に冒険者を辞めるように勧め、それを胡桃が拒んだことで喧嘩になって胡桃が家を飛び出したらしい。

 それから胡桃は魁斗と会っていない。胡桃が数日してから家に帰った時にはアストレアのとあるパーティーに入ることになったことと、しばらく帰れないということが書かれた置き手紙が家に残っていた。

 その後、兄に追いつこうと無我夢中で冒険者の活動を続け、Sランク冒険者になってしばらくしてから兄を追ってアストレアに来たらしい。



 拓海はしばらく胡桃と雑談を交わしていると、ふと気になっていたことがあったのを思い出した。



「あ、そうだ。これ騎士団長のルミエールさんに紹介状を書いてもらったんだけど、この人誰かわかる?」


「ん? どれどれ? 私の知っている人かな?」



 拓海は自分のマジックバックからルミエールから受け取った紹介状の入った銀縁の白い封筒を胡桃に見せた。そして胡桃は封筒の表に書いてある名前を見て目を見開いて驚いていた。



「こ、この人は大和の巫女様だよ!?」


「巫女様?」


「まあ、王女様みたいな感じだよ。そういえば、家の関係で私は昔何度か遊んでもらったり、お話したりしたなぁ……」


「まじか……。王女様って……俺貴族とかの礼儀とかよく知らないんだけど大丈夫かな?」


「まあ、私がついていけばそこは大目に見てもらえると思うよ!」



(ルミエールさんが大和の王女様と知り合いでも不思議じゃないか……。うーん、大丈夫かなこの先……)



 ルミエールの紹介状に書かれた人がかなり偉い人物と知った拓海は不安を感じつつも、初めて訪れる大和の国に色々と期待に胸に膨らませるのだった。


そろそろ忙しくなるので七月末まで毎日更新が出来なくなるかもしれません。申し訳ないです。

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