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幕間
ぽた……
とある地下遺跡の一部屋に静かに響き渡っていた天井から滴る雫の音が突然止まった。その部屋はかなりの広さで明かりがなく、暗闇に包まれている。
その部屋の空間に大小様々な五つの漆黒の靄が何処と無く現れた。
ーーーーマルコシアスとネビロスの作戦が失敗したようだなーーーー
五つの靄の一つから人の言葉ではない言葉が空間に響いた。
「おそらく帝王のあいつが光帝をアストレアに戻らせたんだろうな……。それに、あの『霊気』を使って力の暴走をしていたあの少年。彼の力が実際どれほどのものなのか……」
今度は五つの中心にある靄から青年のような声が響いた。
ーーーーふむ、では我が彼の力を見定めてこようか。見定めた上で斬り殺すことには変わりないがなーーーー
五つの靄の一つから冷めた男の声が新しく空間に静かに響き渡った。
「良いだろう。任せたぞーーーー」
その声を聞いた冷めた男の声を発した靄が霧散し、その場から音もなく消えた。
ぽた……ぽた……
止まっていた天井から滴る雫の音が再びその空間に響き渡るのだった。
次回から第4章『大和編』が始まります




