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異世界に導かれし者  作者: NS
第3章 死の森
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3-35 次の目的地

ついに第3章の最終話です!

 胡桃とアイリスと一緒に昼食を終えた拓海はルミエールの伝言通り一人でアルカディア城のエレベーターに乗っていた。



(胡桃があの夜に俺が魔将マルコシアスと一対一で斬り合っていたとか言ってたけど、そのことについて何か知ってたりするのかな……)



 拓海がぼんやりと色々なことを考えているとエレベーターの扉が開いた。いつの間にか最上階に着いたようだ。



(あの時以来か……)



 拓海はこの前一度訪れた時のようにルミエールの部屋をノックしてから扉が自動的に開くのを確認して部屋に入る。


 そして、部屋に入るとあの時と同じように拓海は浮遊感に襲われ、気づいた時には前回来た時と同じ空中に隔離された空間に立っていた。



「ルミエールさん……」



 視線の先には白銀のローブを身に纏ったルミエールが拓海が来る事が分かっていたかのように椅子に座ってこちらを見つめていた。



「とりあえずそこに座って」



 突然現れた拓海に笑いかけて椅子に座るよう促され、椅子に座った拓海を確認したルミエールは一つ頷くと話し始めた。



「無事目を覚ましたようね」


「まあ、そこまで酷い外傷がなかったらしいですからね」



 それを聞き一瞬表情を曇らせたルミエールに拓海は気付かなかった。



「そう、今日あなたを呼んだのはそのことについて話しておこうかと思ってね。あの夜、あなたが魔将と互角に戦っていたということは、あの時唯一意識があった『黒流星』から聞いたわ」


「そうらしいですね。俺も丁度そのことについて聞きたかったんです」



 拓海の真剣な眼差しを見たルミエールは少し悩んでいる様子を見せて、一度息を吐いてから話し始めた。



「そうね、簡単に言うと力の暴走が起こったといえばいいのかしら」


「力の暴走……?」



 いまいちその言葉にしっくりこなくて、ぼんやりと呟く拓海にルミエールは頷いてから話しを続けた。



「そう、拓海君の中に眠る強大な力が暴走した。暴走している時の記憶がないでしょ? それに記憶が途絶える前何かあったんじゃない? 君の精神状態がおかしくなったり、頭が真っ白になるようなことがあったと思うけど……」


「それは……」



 拓海には心当たりがあった。


 おそらく胡桃やロイが戦闘不能まで追い込まれ、最後にアイリスが自分の代わりにマルコシアスに斬られて、瀕死の重傷を負わされたのが原因だろう。


 それをルミエールに話すと、ルミエールは話しを聞いて神妙な顔で答えた。



「まあ、間違いなくそれが原因でしょうね。拓海君は仲間を何より大事にしているみたいだから。そして、あなたが意識を取り戻すのに時間がかかったの原因もそこにある」


「どういう事ですか?」



 ルミエールは拓海から目を逸らし、ため息を吐くと続きを話し始めた。



「力の暴走が自我を失う寸前まであなたの精神をズタボロに傷つけ、負担をかけたの。精神の回復にはかなりの時間を要するからね。四日で目が覚めたのはある意味奇跡に近い。下手したら一生目覚めない可能性もあったから」


「一生……」



 自分が一生目覚めなかったかもしれないと聞いた拓海は背筋が凍るような感覚を感じながらも、気になっていたことをルミエールに尋ねた。



「俺が危ない状態だったのは分かったんですけど、俺の中に眠る強大な力って何ですか?」


「そうね……。『霊気』という言葉を知ってる?」



 拓海はマルコシアスがそんな単語を言っていたのを思い出した。



「俺の銀色のオーラのことですか?」


「そう、拓海君には強大な精霊の力が宿っている。『霊気』自身はその力の片鱗。そして、私から拓海君に一つアドバイス……いや、忠告があるの」



(もしかして『霊気』の使い方とかを詳しく教えてくれるのかな?)



 そんなことを拓海は期待したがやはりそんな都合の良いことはなかった。



「残念ながら、あなたのその力は相当弱っている。この前の力の暴走のせいでね。多分今の精神が弱っている拓海君では『霊気』どころか魔法も上手く使えないと思うよ」


「ちょっとやってみます」



 拓海は試しにいつも通り集中力を高め、オーラを纏おうとしたが何も起こらなかった。



「しばらくは無理な戦いは避けた方が良いでしょうね……。あぁ……そうだ。大和にあなたの精神状態をもっと詳しく見てくれる人がいるわ。紹介状を書くわ。『黒流星』に聞いたけど、これから大和に行くのよね?」



 その後、拓海は紹介状をルミエールから受け取るとり、ルミエールの「またどこかで会いましょう」という言葉を最後に突然視界がぐらつき、気づいたらルミエールの部屋の前に移動していた。



(本当にどういう仕組みだよこれ……)



 拓海は苦笑いしながら立ち上がり、ルミエールから貰った紹介状を見つめた。



(大和か……。胡桃の故郷でもあるんだよな。柑菜のことも心配だし、何か元の世界に戻る方法と父さんの情報が手に入るといいな)



 拓海はそんなことを考えながら酒場で待機している胡桃とアイリスと合流するため歩き始めるのだった。


第3章どうだったでしょうか?

章の区切りということで次からはしばらく設定話となります。

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