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異世界に導かれし者  作者: NS
第3章 死の森
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3-24 終わりの始まり5

 モーガン達がゴブリンロードと戦闘を繰り広げている頃、拓海と胡桃とアイリスは雑談を交わしながら陽の落ちたアストレアの街を散歩していた。



「そういえば拓海の父親の事とか最近何か聞いたりしないの?」



 ふと思い出したかのように尋ねる胡桃の質問に拓海は一度唸って答えた。



「この街に来た時に比べて今は父さんの事は他人に聞いてないからな……。アストレアではもう新しい情報は得られそうになかったからさ」



 すると拓海の隣を歩くアイリスが拓海に尋ねた。



「そろそろ他の街に行ってみるのはどうでしょうか?」


(ん?)



 一瞬寂しそうな表情が合間見えた気がしたが気のせいだろうか。拓海は空を見上げ、しばらく考えてから答えた。



「いや、他の国に行くにしてもどこに行こうかなってさ……」



 すると胡桃が笑みを浮かべて意気揚々と提案してきた。



「大和に来なよ! 拓海の話を聞く限り多分、拓海の世界と似通ったところとかあるんじゃないかな! 私の故郷でもあるし案内も出来るしさ」


「大和ですか……。わ、私もまだ一度も訪れたことがないんですよね」



 そんな風に三人が話しながら歩いていると、突然周りの気温が下がり空気が張り詰めるのを拓海は感じた。



(ッ!?)



 そして耳元に誰かの声が流れこんでくる。



 ーーーーー今宵、偽りの平和で安心しているお前達は死の恐怖を思い出すだろう……ーーーーー



「……」



 胡桃は突然立ち止まった拓海に気づきを首を傾げて声をかけた。



「拓海? どうしたの?」



 そして拓海は胡桃の声にハッと我に返る。隣を見るとアイリスも不思議そうに拓海を見ている。



「二人とも今何か聞こえてこなかったか?」



 そんな焦った様子の拓海の質問に胡桃とアイリスは顔を見合わせると首を振った。どうやら二人には何も聞こえなかったようで二人は拓海を心配そうな表情で見つめた。



「ここ数日色々あったし、疲れてるんじゃない? 大丈夫?」


「気のせいかな……。あははは、疲れてるのかな俺」


「ふふっ、しっかり休んで明日に備えましょう!」



 それから三人は夕飯を食べに行くかとアルカディア城に向かうのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はあぁぁぁ!!」



 フィーネが全力で振るった雷を纏う戦槌が轟音と共にゴブリンロードの胴体に大きな風穴を開けて、そのままの勢いで後ろの木ごとへし折れた。



「おぉ……ぁぁ……」



 そしてゴブリンロードは血反吐を吐き、唸り声を上げながら膝を付き血を大量に流してそのまま地響きと共に地面に倒れた。


 フィーネは息を吐いて血で汚れた戦槌から滴る血を一振りして背中に戻した。



「ふぅ……。中々手強かったなぁ……。それじゃ、私達も湖に行きますか!」



 無事勝利を収めた事で、アストレア聖騎士団員から歓声が上がり、団員の一人が無事に戦いを終えた合図である青い煙を上げてぞろぞろとフィーネの後を追った。


 そんな中、集団の最後尾を歩くアストレア聖騎士団から派遣された青髪のSランク冒険者であるベルデは息を呑み、さっきまで戦闘を繰り広げていたフィーネを信じられないものを見るような目で見ていた。



(まさか本当に一人で倒してしまうとはな……。あの無駄のない立ち回りは流石としか言えないな。これが『迅雷』の実力か……。今回の依頼でこの人はSSランクに上がりそうだな)



 そしてベルデは先頭を歩くフィーネに畏敬の眼差しを向けながら周りを警戒してついて行った。

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