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異世界に導かれし者  作者: NS
第3章 死の森
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3-21 終わりの始まり2

 モーガンが立ち去り、拓海が先に昼食を食べ終わってお手洗いに行ってくると席を外したことで胡桃とアイリスは二人きりになっていた。



「胡桃さん。ちょっと質問いいですか?」



 昼食のサンドイッチを食べる手を止めたアイリスは、いち早く昼食を食べ終わって幸せそうな表情を浮かべながらジュースを飲んでいる胡桃に質問した。



「ん〜どうしたのアイリス?」



 一度ストローから口を離した胡桃が珍しく改まって話しかけてきたアイリスに聞き返し、再びストローに口をつけてジュースを飲み始めた。

 ジュースを飲みながらもアイリスに目を向けたままの胡桃を見ながらアイリスは一度深呼吸をして口を開いた。



「胡桃さんは恋愛的な意味で拓海さんのことどう思ってますか?」


「ぶふっ!?」



 突然のアイリスの予想外の質問に、胡桃はむせ返って滲み出た涙を手の甲で拭いながら動揺した表情で聞き返した。



「ごほっ、ごほっ……。え、いや、その……恋愛的って言われても……。今まで考えた事もなかったから……。そ、そうだ! アイリスはどうなの?」


「私ですか? 好きですよ。拓海さんのこと」


「ふぇっ!? え、あ、あぅ……」



 胡桃は微笑みながら何の恥じらいもなく答えたアイリスを直視出来ずに口をパクパクとしながら頰を赤く染め、両手で自分のマフラーを引っ張り上げて顔を隠した。


 そんな胡桃にアイリスは苦笑しつつ、改めて真剣な表情で胡桃に尋ねた。



「胡桃さんも好きじゃないんですか? てっきり即答で返してくるかと思ったのですが……」



 すると、胡桃はマフラーを目元まで下げて視線を下げて小声で自問して呟くように答え始めた。



「うぅ……こんな会話初めてするよ。異性として好きっていう感情がどういうものかはわからない……かな? 今まで冒険者として戦いに身を投じてきたから恋愛感情とか聞いたことはあるんだけど正直よくわかんないだよね……」


「あ〜なるほど」



 アイリスは胡桃の言葉に思わずと呟くと、胡桃は苦笑をしながら話を続けた。



「それに拓海は自分の父親を探して、元の世界に戻るって言ってるからさ。別れる時が来た時に余計に辛くなるから無意識に今まであんまり考えないようにしていたのかもね」



 目を伏せて寂しそうな表情の胡桃は話し終えて息を吐くと、ストローを取ってグラスに残ったジュースを一気に飲み干してテーブルにグラスを置き、一息つくとアイリスに目を向けて聞き返した。



「アイリスはいつから好きなの?」


「そうですね〜」



 アイリスは思い出すように天井に目を向けてから、一人頷いて、サンドイッチを眺めて話し始めた。



「私はパーティーを組み始めて拓海さんと話す機会が増えた時くらいですかね……。前にバンダースナッチと戦った時に拓海さんに後悔しないように行動しろと言われてから前より積極的になったんですよ」


「へ〜! 拓海がそんなこと言ってたんだ! 私もその考え嫌いじゃないな」



 その時のことを思い出しながら頰を染めて話すアイリスに胡桃は相槌をうって微笑んだ。

 

 そして、胡桃とアイリスはそれから暫く拓海が戻ってくるまでガールズトークに花を咲かせるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一方、拓海達と別れた副騎士団長のモーガンが率いるアストレア聖騎士団一行は三時間ほどの時間をかけて丁度陽が沈み始めた頃にデプラファンでエンデ村に到着していた。


 Sランクの冒険者である団員二名とモーガン以外は村の見張りや、アストレアからの物資の整理などをさせてモーガン達三名は宿屋『花鳥風月』に入っていった。


 扉を開けると既に、アークやフィーネといった集められたSランク以上の冒険者が集まっていた。

 皆モーガンが入ってくると、一旦会話をやめてモーガンに黙って目を向け、先程とはうってかわりピリピリと張り詰めた緊張感と静寂が空間を支配した。


 そして、モーガンが一番奥の空いている席に座り自分に注目している冒険者達を一瞥してから話し始めた。



「待たせたな。俺はアストレア聖騎士団副騎士団長のモーガンだ。早速だが、今回のゴブリンロードの討伐作戦について今から話すぞ」



 その後、モーガン達は作戦決行の時間になるまで今回のゴブリンロードの討伐作戦について意見を出し合って話し合いを続けるのだった。

 

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