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異世界に導かれし者  作者: NS
第3章 死の森
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3-20 終わりの始まり1

今回は人物名が複数出てきて分かり辛いかもしれないです……。


「二人共、大丈夫か?」


「うん、平気」


「大丈夫です」



 後ろに目を向け声をかけると、落ちないように服にしがみついている二人の子供は若干デプラファンから落ちないかびくびくしながら頷いて答えた。


 子供達を助けた次の日の朝、拓海と胡桃はデプラファンに乗って、それぞれ子供達を後ろに乗せてアストレアに向かっていた。


 ちなみに胡桃には子供達を運ぶのと、アイリスに状況の説明と無事な事を知らせるために一時拓海とアストレアに帰ることになったのだ。


 すると、デプラファンに乗る二人の後ろからついて走るデプラファンに乗っているロイは、拓海達の後ろに乗っている子供達を眺めて呟いた。



「それにしても、あんなこと子供じゃ普通中々出来ないよなぁ……。凄い行動力だな」


「それでも決して褒められるような行為じゃありませんよ」


 

 シルフィはロイにジト目を向けて突っ込みをいれた。


 拓海と胡桃のデプラファンの後ろから呟いているアストレア聖騎士団に所属しているロイとシルフィもデプラファンでアストレアに向かっていた。


 昨日の夜、アストレア聖騎士団の副騎士団長のアークにモーガンがエンデ村に行くから、それぞれの副騎士団長の右腕であるロイとシルフィの二人はアストレアで残った騎士団の統率を頼まれたのであった。



「まあ、でもとりあえず無事で良かったよ! 私達からはもう充分注意したし、後のことはこの子達の親に任せようよ」


「むぅ……仕方ないですね……」



 シルフィが子供達に説教を始めようとしていたので胡桃が苦笑しながら宥めていると、やがてアストレアの城壁が見え始めた。


 そして特に危険なモンスターに遭遇することなく無事にアストレアに着いた拓海達は、入国手続きを終えてロイとシルフィは早速アルカディア城に向かいモーガンに会いに行くと言って子供二人を連れた拓海と胡桃と別れた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 それから残った拓海と胡桃はとりあえず依頼主の女性に子供達を送り届けると決めて、拓海達は依頼主の女性の家に向かって歩き始めた。


 拓海は歩きながらふと隣の胡桃の様子を見ると、手を繋いで女の子と仲良く会話していて、その微笑ましい様子に思わず口元を緩めた。



(何か子供慣れしてるな……。うーん、俺もこの子達が面白いと思うような笑い話とかも思いつかないからなぁ……)



 拓海がそんな風に悩んでいるうちに、四人は依頼主の女性の家に辿り着いた。子供達は怒られるかもしれないと緊張した顔をしていた。


 そんな子供達を横目に見ながら拓海が家のドアをノックして呼びかけるとしばらくしてドアの向こうからパタパタと足音が聞こえてドアが開き、アイリスが顔を覗かせてアイリスは安堵の表情を浮かべた。



「あ! 拓海さん! それに胡桃さんまで!」



 そしてアイリスは拓海と胡桃の側に子供がいるのに気づき目を見開いて後ろにいた子供達の両親を呼び、両親がアイリスと代わって顔を出すと拓海達の側にいた子供達が一斉に両親に向かって駆け寄り抱き合っていた。


 それから拓海達三人は子供達の両親から何度もお礼を言われた後、依頼達成の報告とアイリスに今の状況を説明するなどするためアルカディア城の受付と酒場に行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 酒場に着いた拓海と胡桃は依頼の達成をギルドの受付で報告し、しばらくして報酬を貰うと酒場でアイリスに今回の依頼と、死の森の状況について話した。


 話を受けたアイリスは顔を強張らせて思わず声をあげた。



「え!? ゴブリンロードが三体ですか!?」


「アイリス、しー! 声が大きいよ……。一応まだギルドから混乱を避けるように発表されてない情報なんだからさ」


「あぁ、すいませんっ……」



 アイリスが小声で謝っているのを眺めていると、拓海は酒場の入口から武装したモーガンが入ってくるのが見つけた。


 周りから突然姿を現した副騎士団長のモーガンにどよめきが起こっていたが、モーガンは拓海達の姿を見つけると片手を上げこちらに近づいてきた。



「ギルドの受付からここに君達がいるってのを聞いてな。今回はご苦労だったな」


「あはは……どうもです」



 拓海は照れながらも、モーガンが武装しているのを見て尋ねた。



「ロイ達からもう報告を受けたようですけど、もうエンデ村に行くんですか?」


「ああ、いつ森の外に出てきて暴れてもおかしくないからな。アストレア聖騎士団のメンバーを何名か連れていくつもりだ。俺が不在の間に何か用があったらロイに伝えてくれ」



 話しながら表情を曇らせたモーガンに拓海が訝しんでいると、少し迷った様子を見せながら言葉を続けた。



「今回の件。何か嫌な予感がしてな。『黒の流星』はいつでも動けるように良ければこのままロイとシルフィ達と共にアストレアに残ってくれないか?」



 突然話を振られた胡桃はキョトンと一瞬呆けて驚きながらも、歴戦の冒険者でありアストレア聖騎士団副団長であるモーガンがそこまで警戒していることから、改めて異常事態であることを再認識し、頷いて応える。



「うん、分かったよ。副騎士団長二人と、他のSランク冒険者もいるからあんまり心配はしてないんだけど今回のゴブリンロードは普通じゃないから気をつけて下さいね」


「ふむ、心得ておこう」



 そう言葉を残したモーガンは、何か考え事をしている様子を見せながら身を翻し酒場から去っていくのだった。


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