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異世界に導かれし者  作者: NS
第3章 死の森
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3-14 噂の正体1

「ちょ、ちょっと待って下さい!? 拓海さん!」



 突然、依頼主の家から飛び出した拓海を追いかけながらアイリスは後ろから拓海を呼んだ。アイリスの声に拓海は走るのを止めて後ろを振り返った。



「子供達が死の森に向かってる可能性が高い。詳しくはまた後で話すから、アイリスはアストレアで子供達の搜索を頼む!」



 拓海はアイリスにそう伝えると、急いでデプラファンを借りてエンデ村に向かった。エンデ村までの道は結構長いので、もしかしたら子供の足ではまだ死の森に着いてないかもしれない。



(そもそも子供達だけであそこまでいけるものか? まさか、エンデ村への物資を届ける荷台に乗り込んだとかは……。それだと、確か昨日の夜にアストレアを出て途中で一泊して今日到着する予定だったかな?)



 拓海は今回の死の森の依頼でいつもより人が増えるのでギルドからエンデ村に支援物資が運ばれることをモーガンからあらかじめ聞いていたのだ。



(流石にずっと荷台にいたらバレると思うんだがな……。それで、子供達が無事だったなら良いんだけど……)



 拓海はデプラファンを急かして、エンデ村まで二時間もの時間をかけて辿り着いた。


 物資は今日の昼頃に届けられる予定だったので、既にエンデ村の入口には大量の物資の積荷が置かれていた。


 拓海はとりあえず村の門番の人に物資を運んできた人達がどこにいるか聞きに行った。



「すまん、突然なんだが今日この物資を届けに来た人達って今どこにいるかわかる?」



 門番は今朝この村を発ったばかりの拓海を見て驚きながらも拓海に場所を伝えた。どうやら物資を届けに来た一行は宿屋『花鳥風月』で一泊してからアストレアに帰るらしい。


 拓海は番人にお礼を言って、デプラファンを預けると『花鳥風月』に駆け込んだ。勢いよく扉を開けると何人かが目を丸くしてこちらを見ていた。



「今日この村に物資を届けに来た人に聞きたいことがあるんだけどいるか?」



 拓海が息を切らしながら大きな声で言うと奥のテーブル席に座っている四人の男が拓海に手招きをして呼んだ。



「物資を届けに来たのは俺達だ。そんなに慌ててどうしたんだ坊主?」



 拓海は四人の男達に手早く事情を説明した。事情を聞いた男達に拓海は協力してもらえることになった。



「物資の積んである荷台に二人子供が紛れ込んでいなかったか?」



 四人のうち禿げている男が拓海の言葉に反応した。



「そういえば気になることはあったな……。荷台一杯に物資を乗せたはずなんだが、村に着いたら少しだけ数が減っていたんだよ」



 拓海は男の発言から自分の予想通りでほぼ間違いないだろうと確信した。禿げている男の正面に座る中年の男はその言葉から拓海と同じことを考えたようだ。



「なあ、もしかしてその減ったスペースに子供達が紛れていたんじゃないか?」



 男達の話によると昨夜泊まった場所から死の森まで子供の足で歩いたら、時間的に既に死の森に入っている可能性が高いらしい。


 拓海一人で今の死の森に行くのは流石に危険すぎるので、どうするか迷っていた。



「あれ、拓海? どうしたの?」



 拓海が迷っていると後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。拓海が振り返ると二階から降りた所で胡桃が驚いた顔をして、こちらを見ていた。



「ん? 拓海だって!?」



 胡桃の後ろから鎧を着たロイも一階に降りてきた。何とか協力してもらおうと、拓海は二人に急いで事情を説明するのだった。


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