3-13 おとぎ話2
拓海とアイリスはさらなる情報を求めて、依頼主の家に再び来ていた。
「子供達は家を飛び出していく前はどこで何をしていたんですか?」
依頼主の女性は目を瞑り、少し唸りながら考えていた。
「確か……子供部屋に二人共居たと思います。私はその時、ベットで横になっていたので確信は持てませんが、居間にはいなかったので多分子供部屋です」
「子供部屋ですか? 二階にあるんでしょうか?」
アイリスの言葉に依頼主の女性は一つ頷くと、拓海とアイリスの二人は早速二階にあるという子供部屋に案内してもらった。
依頼主の女性が子供部屋の扉を開け、拓海が部屋を覗き込んだ。部屋の床にはアストレア聖騎士団のフィギュアや、ぬいぐるみが落ちているのが目についた。部屋の奥には子供用の机が二つと、本棚が置いてあるようだ。
「あの子達は遊んだら毎回片付けもちゃんとするはずなんですが……散らかったままになっていました」
(散らかったまま……ということは、何かを見つけた? まだ、わからんな……)
拓海はまだ情報不足で推測も出来ないと考え、依頼主の女性に頼んで子供部屋をアイリスと二人で何か手がかりがないか調べ始めた。
床や、タンスの衣服はアイリスに任せて拓海は机や本棚を調べることにした。
机の上には数冊の本が乱雑に置かれていた。拓海が手に取り、どんな本かを確認するとモンスターや、アストレアの雑貨屋の商品リストの本だった。
「子供なのに、難しそうな本も読むんだな……。ん?」
ふと、拓海は机の下に一冊の本が落ちているのを見つけた。拓海は拾い上げて、本の題名を確認した。
「『死の秘宝』? 何だろこれ?」
拓海の声に反応したアイリスは拓海の方に来て、本を覗き込んだ。
「これはおとぎ話ですよ。昔、一度読んだことがあります」
何か手がかりがあるかもしれないと、拓海はアイリスからどんな内容なのか説明してもらった。
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昔、ある村に二人の男女が住んでいた。二人は恋仲で結婚もする予定で毎日が幸せだった。
しかし、そんな幸せな日々は突然終わりを迎える。女が重度の病にかかってしまい、寝たきり状態になってしまったのだ。
医者に診てもらうと、もってあと一月と言われ、男は絶望してしまう。だが、男は村に伝わるある伝説を思い出した。
それは、森の奥にある湖の底にある秘宝があるということだ。その秘宝を手にした者はどんな願いも一つ叶えることが出来るらしい。
男はその伝説を信じて、森の奥にある湖で来る日も来る日も何度も潜り、探し続けた。
そして男が湖の中を探し始めて二週間が過ぎた時のことだった。男は湖の底に微かに光を放つ物を見つけた。
男はどことなく不気味に光を放つ丸い球体こそが自分が探していた秘宝だと考え、その球体を持って急いで村に帰って女のもとに向かった。
しかし、その時には女は既に危篤状態になっていた。だが、男は自分が探してきた球体を天に向かって掲げて強く祈った。女を死なせないでくれと。そして秘宝は一際強い光を放ちただの石ころに変わってしまう。
するとどういう訳か、既に危篤状態だった女が目を開け、病にかかる前の時の様に元気を取り戻したのだ。そして二人は無事結婚をして、幸せな日々を送るのだった。
その奇跡を起こした光を放っていた球体のこと人々はこう呼ぶのだった。
ーーーー『死の秘宝』とーーーー
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話を聞き終えた拓海は少し黙って、少し考えてから話し始めた。
「なあ、このおとぎ話についてもう少し何かわからないか?」
アイリスは首を傾げて、少し考えてから答えた。
「流石にそこまではわからないですね……。あっ! もしかしてその本の後ろの方とかに載ってたりしませんかね?」
拓海はページをめくり、後ろの方に簡単に本の補足説明みたいな事が書かれたページを見つけた。拓海がしばらく読み進めていくと、驚くべきことが書かれているのを発見してしまった。
ーーーーこのおとぎ話に出てくるモデルの村は『エンデ村』と呼ばれるアストレアの南に位置する村であり、その近くにある森がこの伝説から『死の森』と呼ばれるようになった。ーーーー
拓海の頭には想像したくはない予想が立ってしまった。
「なあ、アイリス。依頼主のあの人って重度の病か何かにかかってたりするか?」
突然の質問にアイリスは少し驚きながらも答えた。
「は、はい。確か治すことが難しいかなり重度の病気だったと思います」
そこまで聞くと、拓海の予想は確信に変わりつつあった。
「まずい……。急いで行かないと手遅れになってしまうかもしれない」
拓海はアイリスと共に一階に降りて、家を出る前に依頼主の女性に家を飛び出した子供達が最後に何か言ってなかったか聞いた。
「確か……お母さんを元気にしてあげるとか、何とか言ってた気がします」
それを聞いて、家を飛び出した拓海にまだ状況を把握出来てないアイリスは急いでついて行くのだった。




