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異世界に導かれし者  作者: NS
第8章 逢魔時の街メーテス
354/434

8-23 深淵の教会1

投稿が遅れて申し訳ないです。

「なるほど……ね」



 ノアだけでなく、皆難しい表情を浮かべている。


 外は相変わらず紅く輝く月が出ていて様子は変わらないが、拓海達四人と二人の精霊は夜の間に何か異常がなかったか、今日どうするかなどを話し合うため一部屋に集まっていた。


 そして今、拓海とソラが心の世界で聞いた少女の声の話を皆に話し終えたところである。


 拓海とソラが話している様子から冗談ではなさそうであるが、その少女の言葉が果たして本当のことなのかというところが問題だった。



「メーテスを覆う大規模な幻覚の結界から分かるだろうが、おそらくその手の魔法を扱える奴が敵側にいるだろうな。その言葉が罠の可能性もあり得るぞ」


「日記にも教会に何かがあると書いてありましたし、やはり危険な気がします」


「まあ、普通そうなんだろうけど……」



 魁斗とアイリスの言っていることは間違っていない。普通はそう疑うだろう。


 しかし拓海とソラは彼女の声に嘘や偽りは感じられなく、彼女の声から深い悲しみを感じ、本当に助けを求めているように思えていた。


 だからといってそんな感じたことだけで、もし本当に罠だった場合取り返しのつかないことになってしまうかもしれないため、強く言い返せずにいた。


 すると、曇った表情を浮かべる拓海とソラの頭が突然くしゃくしゃと撫でられた。



「え、ちょっ、何するんだよ急に!?」


「わ、わわわ!?」



 拓海が目を丸くして身を引くと、何かを感じとったノアが息を吐いて仕方がなさそうな表情を浮かべて拓海を見ていた。



「まっ、どうせこのまま此処にい続けてもどうしようもないし、遅かれ早かれ教会に行くつもりだったから行っても良いと思うにゃ。それで、罠じゃなかったら一番いいんだけどにゃぁ……」


「でも……」


「それで拓海は引き下がるのかにゃ? 何だか複雑な表情してたけど」


「確かに彼女の声からは本当に助けを求めているようにしか思えなかったし、個人的には彼女の言うように一人いるらしい生き残りを探したいけど……」



 そうぽつりと溢した言葉にノアは優しく笑みを浮かべた。



「皆が生き残って任務をこなす為の最終的な判断も、責任も隊長の私がとる。だから何か考えがあるならしっかり伝えてね。雑念が混じってると肝心なところでボロがでるかもしれないからさ」


「分かった。気を使わせてしまったな。ありがと」


「まっ、でもやっぱり皆が納得しないとだからにゃー」



 幾分か心が軽くなった拓海が魁斗とアイリスを見つめると、アイリスは微笑み、魁斗は肩をすくめて息を吐いた。



「拓海さんがそう感じたなら私も信じられます。拓海さんのそういう感覚、すごく頼りにしてますから!」


「ノアの意見も一理あるからな。しっかりと色々と想定して慎重に立ち回っていくならいいかもな」


「何だよー、素直に自分もその子のこと心配だったって言えばいいのに〜」


「っ!? おまっ、勝手に心読むな!?」



 フィーネが魁斗の頰をつついて弄ると、魁斗は顔を少し赤くして動揺しながら言い返していた。


 そして、そんな喧嘩腰の二人やり取りを見ながらノアは小さく笑って手を叩いた。



「それじゃ、今日は教会の調査に向かうよ。戦術や、色々な確認をしてから行動に移すわよ」



 頷く皆の瞳は闘志に満ち、おそらく今日が今回の任務の正念場になるだろうと気合いを入れ直すのだった。



思っていたより予定が長引いてしまい、投稿が遅れました。

投稿頻度も回復させていきます。

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