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異世界に導かれし者  作者: NS
第2章 聖都アストレア
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2-19 アンジュ=ルミエール

 拓海とロイの模擬決闘が終わり、しばらくして悔しそうな顔をした拓海と苦笑を浮かべたロイが観客席に入ってきた。



「一太刀もいれれなかったし最後まで結局、防戦一方だったなぁ……」


「いやいや、拓海だって凄いと思うけどな。普通Bランクの冒険者なら最初の一撃で終わってたぞ。それに対人慣れもしてたようだし、昔何かやっていたのか?」



 そんな風に、お互い話していると席に座っていたモーガンが席を立ちこちらに歩いてきた。


 そしてモーガンがロイに労いの言葉をかけて、ロイに他の騎士団員を連れてに訓練に戻るように指示してから拓海に声をかけた。



「ロイを相手にあそこまで耐えるとはな大した奴だな……。おっと、そうだ。騎士団長が拓海一人で最上階の私室に来るようにと言っていたぞ」



 一人でという言葉に少し引っかかったが、拓海はあえて聞くことなく返事をした。



「一人で……分かりました」



 拓海は胡桃とアイリスに下の階にあるギルドの酒場で待っていてくれと頼み、最上階に向かうまでの行き方をモーガンに教わるのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 モーガンに聞いたところによると、最上階へのエレベーターはアルカディア城の一階にある受付を経由して、特別な許可がなければ乗れない一台しかないらしく拓海は一階の受付に来ていた。



(騎士団長か……。どんな人だろ? それに初対面の俺と会ってくれるということは俺の素性とかを知っているのか? まあ、そこは直接聞けば良いか……)



 それから拓海が受付に話しをすると、受付は既に話しは聞いていたようで拓海の名前を聞いて冒険者のカードを見せるとエレベーターまで案内してくれた。



(これが……)



 そのエレベーターは他のアルカディア城にあるエレベーターより高級感が出ているような気がした。


 そしてエレベーターに乗って音もないまま数十秒間待っていると静かに扉が開いた。



「ここが……」



 エレベーターから出た拓海は物音一つせず、生き物の気配すら感じられない最上階の異様な雰囲気に得体の知れない違和感を感じていた。


 最上階は廊下が円環状になっていて、エレベーターから一番離れた部屋が騎士団長の私室らしい。


 一人分の足音を廊下に響かせて拓海は部屋の前まで歩いていき、恐る恐る扉をノックした。



「失礼します。桐生拓海です」



 しかし、中からは何も返答がなく拓海が眉をひそめると、扉が音を立てずに内側にひとりでにゆっくり開いた。



(不気味だなぁ……)



 そんなことを考えつつも拓海は何かに導かれるように部屋に足を踏み入れていた。



(あれ……? 俺は……)



 それから無意識の内に扉の先に続く少し長めの廊下の中腹まで歩いた拓海は、突然謎の浮遊感に襲われて目の前が真っ暗になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……っ!? ちょっ!? えっ?」



 拓海は気付いた時には何故か空中で立っていて、動揺しながらも空中に見えない床があることに気付き、落ち着きを取り戻した。



(俺は確か……あれ?)



 いつの間にここに来たのか思い出そうとしたが、拓海は最上階に来てからの記憶が何故かあやふやになっていることに気付いた。


 拓海は周りを見渡すと目の前に一つの綺麗で透明なテーブルとその両側に向かい合うようにしてどこか高級感溢れる椅子が置いてあり、奥側の椅子には白銀に輝く鎧を着た騎士が座っていることに気がついて息を飲んだ。


 すると、その騎士が小さく笑い拓海に透き通った綺麗な声で言った。



「こちらの椅子へどうぞ。空中に結界で隔離された空間だから普通に立って歩けるから安心して」


「あ、はい」



 騎士の声に驚きながらも何とか落ち着きを取り戻した拓海は騎士に椅子に座るように言われて、緊張しながら騎士に向かい合うようにして座った。


 そして拓海が座ったのを確認すると騎士は頭部の鎧を外した。


 その下から出てきたのはサラサラとした煌めく金髪で透き通ったスカイブルーの瞳を持つ見覚えのある美しい女性の顔だった。


 拓海はその女性の美しさに見とれて言葉を失っていると、女性の騎士は自己紹介を始めた。



「始めまして拓海君。私はアストレア聖騎士団の団長、アンジュ=ルミエールよ」



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