2-16 アストレア聖騎士団4
「相手はロイさんか……。よろしくお願いします!」
拓海がそう握手を求めると、ロイは笑みを浮かべて握手に応えた。
「いや〜副団長に急に模擬戦やれって言われたから、何かと思ったんだけどそういう事か。まあよろしく!」
二人が握手を交わしていると、観客席の入口からモーガンと数人の騎士団の人達が入ってきて、こちらに気付くと足早に近づいてきた。
そしてモーガンはロイの肩に手を置いて二人に告げた。
「という訳で今回拓海君と模擬戦をするのはロイだ。ちなみにロイは魔法は付加魔法以外は使用禁止だからな」
「え……!?」
「ん? 無しの方がいいか?」
「いや〜……あはは、それで問題ありません」
ロイは目を丸くしてモーガンに軽く抗議の目を向けたが拓海のランクのことも考慮したのかハンデを受け入れた。
「いいんですか?」
するとモーガンは笑いながらロイを横目で見た。
「まあこう見えてもロイはSランク冒険者だからな。良い勉強になると思うぞ」
モーガンがサラッと口走った言葉に拓海は目を見開いて思わずロイを二度見した。
「え? ロイさんSランク冒険者なんですか!?」
「ははは……まあな。今は積極的に依頼を受けてなくてSランク止まりなんだけどね」
(手を抜いた胡桃にすら軽くあしらわれるのに大丈夫かな……)
拓海がロイがSランクということを知り不安そうな顔をしていると、胡桃が肩を叩いてそっと耳打ちをした。
「拓海ならSランク相手でも剣を使った単純な接近戦なら良い線いくと思うよ」
「そ、そうか? まあ、頑張るか……」
それを聞いて拓海が少し安心したところで、ロイと拓海は幻想闘技場へのカプセルが設置された部屋に移動するのであった。
(大丈夫。対人戦は慣れている。落ち着いて、しっかり相手の動きを見ていこう……)
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拓海は目を瞑りしばらくして目を開けると、闘技場に着いていた。
そして、その数秒後に拓海から数メートルくらい離れた場所に頭以外に騎士の鎧を纏ったロイが転送してきた。
転送を終えたロイは拓海に気付くと不敵な笑みを浮かべながら長剣を引き抜くと、慣れた様子で構えた。
「ハンデがあるといえど全力でいくからな。楽しませてくれよ」
「そっちこそ!」
ロイの挑発に拓海が返したところで開始のカウントダウンが始まった。
忙しくて結局、1年ぶりの投稿。本当に不定期更新で申し訳ないです……。




