宵いの宮
「落語」宵宮参り
与太郎を男にして頼まれ!大晦日の遊郭へ足を伸ばす!?
今年も数えるところ後わずかになりまして!?
目出度く終了致します!...しかし歳を重ねますと
何故か寂しくなって参ります!...残りの生存期間
が詰まって参りますからね!?(笑い)....え~と何
年有ります~♪(笑い)
ま~今年の厄を掃い!新しい年を迎える行事には
宵宮参りと云う習慣がありましたね!大晦日の夜に
近くの神社仏閣へ出掛けまして、よろずの神様や仏
様へ今年一年の厄を掃ってもらうと云う都合の良い
行事なんですがね~!?(笑い)
(本題)
「熊さんかえ~!おは入り」
*「御かみさん!何か御用が御座いましたか!?」
「用があるから呼んだんじゃないか!」
「実は親方の居ない時に...お前に話が!」
*「御かみさん!..いけねよ!俺なんかと!?」
*「棟梁が知ったら..俺殺される!?」
「馬鹿~!!何勘違いしてるのよ!?....誰がお前なんかと!」
「親方に言えない事が有るから!?...呼んだんじゃないか!」
*「で~話しって...何でやんしょう!?」
熊は小さな耳を御かみさんへ向けて聞き取ると!?大変なこ
とを頼まれたのである!?
*「あ~の~!?与太郎いや若旦那を男にする!?」
「し~!?誰にも言えないから~?...頼むのじゃないか!!」
「親方へこんな事言えないし!?...頼めないでしょう!?」
ふたりの話を襖の袖から与太郎がじーと見つめては熱い視
線をそそいでた!?
「この前なんか!?..与太郎の眼が気に成って...!?」
「風呂へも入れたものじゃない!?...見られてる何てね!?」
*「えっ!?若旦那が御かみさんを覗くのですか!?」
*「そんな!?...皺くちゃなオッパイを!?」
「熊さんも見たこと有るんですか!?..知らないうちに!?」
御かみさんは熊を見て衿をただすと!?もう一度座布団へ据
わりなおした!
*「いや~!?冗談ですよ!...見たくも有りません!」
御かみさんは強い視線で熊へ睨み返すと!?
「私のことは好いのです!?....与太郎何とか大人にして!」
と懐からそれなりのお金を取り出し熊へ渡します!
*「御かみさん!?こんなに頂いたら!?....」
*「え~!?あっしの分も入って居る!?」
色里へ出向くのですからそれなりに準備して有りました!?
お金を受け取ると与太郎を連れて通リへと歩き出します。
表通リは大晦日の慌しさと新年を迎える準備で、誰もが急
ぎ足で走り廻っては、年越しの準備に励んでます。
やがて神宮様へと近づきます、道端で売子りが発する呼び
声が近づいて来て晦日市を盛り立て居ります。
*「ね~!若旦那...」........「あれ~!?何処へ」
熊は先ほどまで一緒に歩いてた与太郎を見失ってしいま!?
探し出すにも人ごみの中大変です!?.......「あっ!!居た!」
日本髪を結った女性が歩いてます!?その後に何かに囚われた
ようなしぐさで与太郎が付き纏っています!?
*「若旦那!...違いますでしょう!?」
*「私から離れたら....お参りが出来ませんよ!?」
"「何のお参りですか!?...」
*「そりや!?御かみさんから頼まれたことですから!?」
*「好いことが有るんですよ!?...」
"「好いことって!?....何~ですか!?」
*「着いて来れば分かりますよ!若旦那の好きなことですよ!!」
与太郎は熊の云うことに興味を示すと、後ろをキョロキョロ
しながら着いて行きます!まさに子猫が親の後ろに付き纏うよう
な仕草で有ります!
やがて神宮様でのお参りを済ますと、通リから少し離れた小路
へと熊が案内します、一年の厄を掃うために色里へ出向来まして
男の締め括りを致します!
゜「旦那!旦那!」「本日は早めの御出ましで!?...」
遊郭先で客引きの若い衆が熊を呼び止めた!
゜「何ですか!?お供がおひとりいらっしゃいますが....!?」
与太郎は格子越しに綺麗何処を見ては、デレ~とした眼で太
夫たちを物欲しげに眺めては生唾をゴックンと飲みこした!?
*「あれは若旦那ですよ!?」「親方の息子!!」
゜「何時もの棟梁の御子息様で!?」「で~何でゃんしょう..?」
゜「本日は如何致しやしょうか!?」「何時もの桜太夫で....!?」
*「俺は好いのだが!?...若旦那が....初者でね..!!?」
若い衆とのやり取りを奥で聞いて居たのか桜太夫が待ちきれなく!
'「ちょっと熊さんじゃないか!?早くお上がりよ!!」
声掛けるよりも早く熊の手を引くと、強引に客間へ案内した!
*「太夫ちょっと待ってくれ!!」「大事な用事がある~だ!!」
*「寄せ場の前に若旦那が!?」「そ!その人って若旦那様なんで~!」
ようやく店の者に案内されて与太郎が部屋へ通される!座布団へち
ょこんと座ると、桜太夫に挨拶を交わした!?
'「棟梁の息子様!?」「ま~大きい息子様がいらっしゃる!?」
'「あの棟梁の御子息様!?」「こんなに大きい身体でね~.....!?」
頭の先から覗くように見渡すと、大きなため息と相槌をうった!?
*「桜太夫!?....ちょっとお願いが有るんで!?」
*「若旦那様はいまだ女性を知らないオボコでしてね....!?」
*「本来なら棟梁が..手ほどきしなくては成らないのだが!?」
*「こればっかりは親が手ほどきとは....無理な様で!!」
熊が事情を話すと!?.....太夫はいち早く近習の者に何やら話した!
'「ところで若旦那様へは私共で手配しまずか...好いですね!?」
*「太夫こればっかりは駄目ですからね!?」
*「桃太夫ですよ!?...親子どんぶりに成ってしまいますぞ!!」
'「判ってますよ!?....今日は桃太夫休みに成ってますから!?」
'「あれよ!......月に一度の休養日ですよ!?」
*「居ないのなら良かった!?...そればっかりが心配で!?」
*「親方に内緒でしょう!?...見つかったら大変ですよ!?」
やがて近習の者が戻って来ますと!太夫の耳元で何やら話し込ます!?
'「熊さん大変よ!....今日は年に一度の大浚え日でね...!」
'「紫太夫が!....若旦那の一夜嫁に...こんな事って...!?」
途方にくれる桜太夫は!?普段は大名とか大店とかのお相手をしている!
紫太夫が!?年に一度だけの罪滅ぼしに一般の方のお相手をして来れる?
*「桜太夫!....それは俺では駄目か!!」「何とか拝みてい!?」
'「馬鹿だね!?...一度決まったら二度とは変えない人だよ...!?」
'「熊さん!?...あたしが嫌なら!?....桃太夫でもどうですか!?」
*「棟梁と兄弟に!?.....穴兄弟って!?」
*「死んでも嫌だね!?....やっぱりお前が一番好だ~ね!?」
与太郎は何がなんだか判らずに!?畳の縁ほじくってはふたりの話に聞き
入って居た!?やがて部屋の用意が整ったのか近習の者に案内され、紫太夫
の待つ部屋へと通された!?
^「貴方様が...若旦那様で御座いますか~へ♪」と裾を引きながら出迎え
ると、いち早く紫太夫は与太郎の手をとり高座へと案内した!?
^「まあ~可愛い方ですね~♪」「そこへお座り成ってたも~♪」
与太郎の座るのを見て!紫太夫はピッタリと側へ身体を寄せると....!?
^「旦那様~♪」「震えて御座いますか~!?」
^「大丈夫で~すからね!」「あっちきは~旦那様を虐めたりしませんよ?」
"「あ~の....!」「太夫私は~女性とは~何したことは..!?」
^「旦那様~心配しないで好いんですよ...!?」「私に任せなさいね~!?」
まるで子供をあやす様に~与太郎の羽織を脱がせると!?近習の者へ一夜
婚の準備を進めるよう話した!店の者が準備よろしく簡単な婚礼式場が出来
上がり二人の一夜婚式と相成ります!親代わりとしては桜太夫と熊さんが並
びます!
与太郎は赤い羽織へと着替えしまして、紫太夫と並び二人の婚礼が始まり
ます~その後、三々九度の杯を交わしまして目出度く契りを交わします!!
やがて婚礼式場が片付けられ高座へ与太郎が座り直します、紫太夫は煙草
簿を手に持ち与太郎の側へとかけよると.....!?
^「旦那様~!?一口吸わせなさい~ませ♪」長いキセルが差し出される!?
"「ゴホン!!ゴホンと咽ると!?」「タバコは駄目ですから~!?」
与太郎はせっかく出されたタバコを断ると、何か一連の儀式めいた出来ご
とに着いて行けなく、いささか後ろめたい仕草で後ずさりしてしまいます!?
^「旦那様~申し訳有りません~!?」「迷惑なことをしてしまい...!?」
^「でも今夜は離しませんからね~!?」「私の願い聞いてくれますか..!?」
紫太夫は与太郎の手を引くと...奥に有ります寝間へと案内した!?いささ
か恥ずかしいのか与太郎は下を向いて、成すがままに太夫に従った!!
^「旦那様...あちきの帯紐を~ほどいてくれません~?」太夫は自分の胸へ
と誘うと!?与太郎の顔を見つめて!!
^「好いのよ~何でも構わないから...好きにして下されて~お願いね!?」
"「あ~の!!ほんとに好いんですか!?」
"「好いですか!!ほんとに好いんですね!?」と繰り返し尋ねる?
与太郎はいまだ勝手、女性と名の着く者は母親だけで有りまして!他の女
性は紫太夫が初めてと云うことで、中々事が始まりません!?見かねた太夫は
手を伸ばし行灯の灯を消すと!?
^「旦那様は!....かか様と一緒におやすみ成ったことは有りますか!?」
^「何も恐くは有りませんよ!?...あちきの側でおやすみして下さい!?」
まるで母親が子供を側で添え寝するように進めると、与太郎は今までの緊
張が一瞬にして消え去り、紫太夫の心地よい香りからのフェロモンが伝わり
与太郎を発情させる!?...まるで人が変わった見たいに太夫の胸元へと取り
着くと....!?
"「太夫~~!!太夫~~!?」 と泣きじゃくりなが身体を押し付けてはもがき
回ったのである!? まだ女性に対しての行為が分からない与太郎は身体を押着
けるのが精一杯であった...!!
^「旦那様~待って下され!?」「あちきが裸に成りますか!?...」
^「旦那様も一緒に裸に成りましょう...!?」
"「裸で~すか!!....」与太郎は手が震えて中々帯を解けません!やがて二人
は布団の中で合体いたしますが!?何せ与太郎は本日が初者でして!?ことが中
々上手く運びません................!?(時間を置いて!!)
なにやら廊下ずたいに足音が聞こえます!?...太夫の部屋の前で止ると!?
*「え~!!太夫!!紫太夫!?」「ちょっと聞きていので...?」
*「若旦那の事ですがね?無事にことを収めましたでしょか?」
^「熊さんかね~!?ただいま観音様を頂いて?よだれを流して寝てますが!?」
*「観音様を頂いて!?..分かりやんした有難う御座います!」
熊はふたりの様子を思い浮かべて..!?無事に済んだことを確認します!?
^「まだまだ此れから~!?夜明けまで~~何度も頂きますから!?....」
^「安心して下さりませ~!?」「熊さん有難う!御心配かけまして!?」
やがて紫太夫の言葉に安心したのか、熊は廊下を下がり桜太夫の待つ部屋
へと急いだ!?やがて大晦日の鐘が何処からとも無く聞こえて来ます!?先ほど
まで騒いで居た部屋部屋から灯かりが消えて~!?しっぽりとした深夜が広が
り~!?やがて夜明けとともに新しい年が顔を出します....!?
ところで与太郎と熊さんは、如何な年越しに成りましたやら!?さぞかし好
い思いしたことでしよう!?色里の朝は遅く!時間で云いますと昼前の事であ
りまして!昼ごはんが朝ごはんと成ります!?もともと太夫たちは一日二食が
常でありますから~♪(昔の人々は一日二食が当たり前で!?)三食食べる事に
成ったのは明治以降で外国からのマネでは無いかと思います!外人は大きく
逞しい!?それに従っての三食三昧では無いのか!?)話がそれまして!!
やはり大工の熊さんにとっては、何時までも寝ている事など出来ません!?
布団から出ますと、部屋の中で動き回り落ち着きません!?............
*「桜太夫!そろそろ引きたいのですが!?」
熊はいささか与太郎を心配してか~!?桜太夫に帰ることを伝えた!太夫は
茶を手に持ち進めると!?座り直してからおもむろに~!?....
'「ぬし様!なごり惜しいところで御座いますが....またのお越しを願って」
'「床上させて下されまし~」太夫の一言で近習の者が帰り支度はじめます!
長い廊下を桜太夫の先導で進みますと色々な方々がお帰りの準備をし居り
ます、中でもひときわ大掛かりな部屋が有りました!?紫太夫の部屋です与太
郎が床上げ出来ません!?大きな身体では紫太夫ひとりではが動かせません!?
頑張り過ぎたのか??まるでタコの様に骨抜き状態です、中々担ぎ込むこと
が出来ません!?しまいに店の若い衆が引き起こし何とか歩き出します~!?
太夫たちと店の者に別れを告げると!?熊は与太郎を肩越しに担ぎこみ何とか
遊郭を出ました!?....元旦の空は晴れ上がり与太朗を祝して居るようです!
"『熊さんや~今日は太陽が幾つも見えますが~』
"『如何したので~しょう??』
*「若旦那!!...ゆうべ頑張りましたな~!?」
*「太夫と何回ちぎりました!?....」
"「ちぎり!?...あっ!あれね~!?朝まで10回は続いたな...!?」
"「熊さん!あれって....とっても好いもんだな~!?」
*「若旦那!...10回も続いた!?」「悔しい!!俺なんか!?」
*「一度だけで終わっちまった!!.......残念!!」
"「熊さん!向こうから坊さんが来ますね~!?熊さん目出度いね!!」
*「坊さんが歩いてますよ!!...何で目出度いの~か!?」
"「坊さんが二人居ますよね~♫ 坊さんがふたりですね!?....」
*「坊さんは一人ですがね!?」「ふたりに見えますか~!?」
"「いや坊さんがふたりで目出度いな~♫..如何居てかって!?」
"『坊主がふたりで!!(和尚がツー)⇒お正月でしょうが!?』
くだらないお話でして御免なさいね!? 太宰 身分
原稿を見て話すのは簡単だが
文章に書くと云うことは難しいものですね!?