AMCの日常 ⅰ
今日は月曜日。
学生にとっては憂鬱な一週間の始まりの日だ。
学校が嫌いというわけではないが学生の本業と言われている勉強をしなくてはならないために億劫になるのも仕方がないことだろう。そんなことを考えつつ電車に揺られ、最寄駅を降り、通学道を歩いていた。歩いていると、後ろから彼女に話しかけられた。
『おはよ〜、創ちゃん。
今日も朝から憂鬱そうな雰囲気を漂わせてるね』
『そりゃそうだろ、学校が始まるんだ。聞きたくもない授業をまた一週間聞かなくてはならないんだ。』
『それがわたしたちの本業だから仕方がないよ〜』
ほんと、彼女は真面目だ。
おれは彼女に比べたら真面目ではない。いや、そもそも生徒会長という重役をやってる時点でおれとは雲泥の差が開いてるのは一目瞭然である。そんなことを考えていると校門に着いたので学年が2つ違う彼女とは別れ、そのまま高校1年の教室に足を運んだ。
『おはよーさん、叶夢』
このエセ関西弁を喋るのはおれが知る限り渡良瀬和人しかいない。彼は外敵勢力監視科にいるときは普通に喋るのになぜ学校ではこのキャラなのかはよくわからない。今度本人にでも聞いてみるか
『おはよ、渡良瀬』
『なんやねん、おれのことは名前呼びでいいって前に言ったやろ?』
『お前のことを名前呼びにする気はないな』
『つれへんなぁ』
彼と挨拶をしていたら教室に着いた。そのまま、おれはカバンを自分の机の上におき、HRが始まるまでぼーっとすることにした。それから数分後には朝のHRが始まっていた。
『えぇ、みなさん。おはようございます。
今日からまた一週間始まりますが頑張ってください。先生からは以上です』
このようにして今日もまた退屈な日常が始まろうとしていた。
そして今は2時間目のAGの授業中だ。AGでは主に能力に関する理論的な仕組みや能力開発の歴史について勉強する。
おれはこの授業を受けてる最中に考え事をしていた。それは最近知ったミックスユージングの存在についてだ。おれが前に見た“なにか”は人間の原型を留めていなくてわからなかった。
そしてこの能力研究を華国がしていることを一般人には知られていない。おれは偶然知ってしまい、外敵勢力監視科に所属した。今思えばATM側としてはおれに情報を漏らさせないために手元に管理しやすいようにした結果がこれだろう。おれも簡単に嵌められたものだ。まだ元の日常に戻れたかもしれないのにそれができなくなってしまった
本当におれがあのとき下した決断は果たしてよかったのだろうか…
おれはこの決断による未来の行く末など知る由もない。
そんなことを考えていると眠気が来てしまい、いつの間にか寝てしまっていて2時間目の授業も終わっていた。
このあとの授業もやる気がないため聞き流しているとようやくお昼休憩となった。
『ねぇ、叶夢くん。お昼私と食べない?』
おれに話しかけてきた彼女の名前は明星美麗。名前のとおり明るく美しい。ただ、性格に難があるのは否めない。
『わかった、じゃあ食堂でいいよな?』
『いいわ』
このようにしておれは彼女と昼食を取ることとなった。
『あれ、明星は学食なのか?』
『えぇ、そうよ』
彼女が学食派とは意外だった。
そんなことを思っていると彼女から話を切り出し始めた。
『ねぇ、叶夢くん
アンダーグラウンドって知ってる?』
『なんだそれ?』
『アンダーグラウンドっていうのは最近ATMが見つけた地下組織のことなんだけど…』
それからこの組織についての説明を聞いた。要約するとこの組織は反能力者組織だということだった。そして、この組織の組員が日本の3大能力学校に潜入させているというらしい。そこで外敵勢力監視科に所属しているおれらに捜査依頼が来たということだった。この依頼はATMによる正式な仕事となる。よって、おれたちはこの組織を見つけ出して捕獲するかまたは状況次第に応じて執行することが可能となる。
おれにとっては初仕事となるため、興奮していたことは否めない。ただ、これが今後の捜査の時に致命的なミスをしでかしてしまうことになるとはまだ知るはずもない。
先週の金曜日に投稿できなくてすいません
今回からは学園の日常と異世界“オネイロス”での日常を書いていこうと思っていたんですが学園の日常をどう書けばいいかわからなく戸惑ってしまい、投稿が遅くなってしまいました。