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遭遇

島に着いて最初に出会った唯。

明るく、よく笑う。

とても無期懲役の服役者には見えなかった。

「あんた、何でここに放り込まれたの?」

真司は口を開きかけたが――

「あ、待って待って。どうせ後でおとっちゃんにも聞かれるだろうから、いいや。へへへ」

勝手に話を切られる。

「私はね、爺さん婆さんに海外から凄い健康食品を仕入れて売ってたらさ、効きすぎちゃって。何人も死んじゃったの」

屈託のない笑顔だった。

懺悔の色は、まるでない。

真司は思わず言葉を失う。

――やっぱり、ここは普通じゃない。

緩みかけていた気持ちを、静かに引き締めた。

「おとっちゃんって……お父さんのこと?」

「違うよ~、うちの旦那さん」

「結婚してるんだね」

「そう。結婚つっても役所なんて無いからさ、お互いに『そういうこと』にしてるだけ」

もう少し島の話を聞きたかった。

だが唯は止まらない。

おとっちゃんの話。

出会いの話。

のろけ話。

気づけば、森が開けていた。

その先に、ぽっかりと口を開けた洞窟があった。

「ちょっと待ってて。今、おとっちゃんにあんたのこと話してくるから」

そう言って、唯は足早に洞窟の奥へと消えていった。

残された真司は、一人その場に立ち尽くす。

不安だった。

ここがどんな場所なのかも分からない。

この先、何が起こるのかも分からない。

だが、こんな時こそ堂々としていた方がいい。

そう思い、必死に不安な心を押さえ込む。

やがて、洞窟の奥から足音が聞こえてきた。

唯に連れられて、一人の男が姿を現す。

がっしりした体つき。

日に焼けた顔。

そして――やたらと大きい笑い声。

「おー新人かぁ! ウァハハハァ~!」

いきなり肩をバンッと叩かれた。

「わっ! お前なんて身体してんだよ!」

「鍛えまくってんなぁ! 漫画かよ、ウァハハハァ~!」

豪快に笑いながら、遠慮なく真司の腕や肩を触ってくる。

「……大神真司と申します。昔、ラグビーやってたので」

「そんで漫画みてぇな身体してんだな!」

男はニカッと笑った。

「俺は臼田圭太だ。よろしくな」

その笑顔は妙に人懐っこく、敵意は感じられない。

だが、真司の警戒心はまだ解けなかった。

「そんなことより、とりあえず服着な」

そう言って、圭太は奥から持ってきた着物を放り投げる。

小袖と、股引のような作りのズボン。

少しだけ生地がいい。

「……ありがとうございます」

袖を通すと、体にしっくり馴染んだ。

「兄ちゃん似合ってんよ」

唯が笑う。

「どこがだ馬鹿野郎」

圭太がすぐに突っ込む。

「俺の服より似合ってたらムカつくだろうが」

そのやり取りを見て、真司は少しだけ肩の力が抜けた。

だが――

(油断はできない)

ここは無期懲役の犯罪者の島だ。

見た目や雰囲気で判断するのは危険だと、本能が告げている。

「まあ、いったん中に入れよ」

圭太が親指で洞窟の奥を指す。

「あと二人、仲間がいるんだ。紹介するぜ」

なんだか憎めない二人だ。

だが、真司の不安はまだ消えない。

それでも――

今は、この二人についていくしかなかった。


洞窟の中は、壁際の数本のろうそくで薄暗く照らされていた。

壁際のろうそくの近くで本を読む男と中央付近で横になり寝そべる男がいた。


「おい翔、客人だぞ起きろ」

「晴人もこっちに来ねえか」

そういって二人を呼び中央付近に腰を下ろした。


「まあ真司も座れよ」

「こいつが晴人でこっちが翔」

メガネの晴人は、ひょろっとしていて、犯罪を犯した雰囲気が無い

何か知能犯的な感じなのだろうか


背の小さい翔、こちらも犯罪者らしき雰囲気が皆無である。


不思議に思っていると圭太が二人をゆびさしながら

「晴人は、人生うまく行かない腹いせに電車ん中で無差別殺人、翔は、いじめてた会社の同僚3人をぶっ殺したんだぜ」

「見た目に反して漫画みたいにエグイだろハハッハァ~」

「俺は、って言うと強盗殺人3件へへへェ」

「真司は何したってんだ」


晴人と翔のギャップに真司は、言葉を失った。自分は、警官殺害だと端的に話した。

「おー真司も中々エグイ事してんなぁ」

圭太は真司の腕をじっと見た。

太く、無駄のない筋肉。

「……つーかよ」

にやっと笑う。

「さっきから気になってたんだけど、その身体よ」

「ラグビーやってたって言ってたよな?」

端っこに置いてあったテーブルを引きずってくる。

「べただけどよ」

「腕相撲勝負だ」



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