SOSキャッチ! 緊急発進せよ!
遅くなってしまいましたが新年明けましておめでとうございます。
広大な宇宙で、連結した五台の黒い列車が寸分狂わぬ駆動音を立てながら、宇宙を走っていた。
宇宙で五台の黒い列車が走っているが、その黒い列車の中では、一人の男が仏頂面をしながら、機械が牛耳るスペースにおり、その場所を熱心に注意しながら視ていた。
「…………よしッ、これで四番機の確認終了! っても故障もなにもなかったけど」
教鞭のように長いペンライトを左手に持ち、右手にはタブレットのような機器を持って、四番列車の確認作業を終えたようだ。
「さてと、最後は五番機だな。恐らく確認作業もなにも必要ないとは思うが、備えあれば憂いなし。めんどくせぇがちゃんとやっておくか」
男はめんどくさそうな顔をしながらも、四番機の次の列車である五番機へと進んでいった。
男の名はサリエウム・ローダス。
通称はサム。
この黒い列車のたった一人のパイロットであり、運任せ列車任せにして、この広大な宇宙を列車とともに生きている男である。
しかし、そんないい加減な生き方をしている彼であるが、やる時はやる男であり。めんどくさがりでありながらも貫き通す意思も持っている。
「えーっと、あれもこれも良しで、それも良し。んで、メインの機器も一切酷いところはなしで大丈夫だな!」
五番機の機器の確認作業も今ようやく終えたサムは、力一杯。身体を伸ばした後、思いっきり息を吐き出せば、自分が使っている列車の最前列、一番機の列車へと足を動かした。
「あーあ、必要なこととは言えめんどくさすぎだ。ダルくてやってられねえぜ!」
プシューという音を立てながら扉が横へとスライドし、右手で左の肩を揉みながら、首の骨をボキボキと鳴らして、サムがボヤキながら入室してドカッと乱暴に操縦席らしき椅子へと掛けた。
「……………………」
椅子に掛ければサムは両手を後頭部に持っていき、誰から見てもだらしないと言われる態勢となって天井を見上げ、数十秒ほど無言で天井を見詰める。天井を見詰めていれば、サムは不思議とポツリと呟き始めた。
「そういや、こいつと出会ってもう三ヶ月以上…………いや、それ以上は経つか」
サムはそう言いながら、だらしない態勢で少し顔を上げ、操縦席に座ったまま周囲を見回していく。
「初めて出会った時は驚きまくったが、日が過ぎていけば人間、簡単に順応していくもんだな。…………本当になんなんだ、こいつは?」
周囲を見回していくのを辞めれば、だらしない態勢から、操縦席に深く身体を沈めて普通に座った。
普通に座れば、サムは左の胸ポケットから板チョコを取り出す。包装を剥がして板チョコを顕にすれば、パキンという音を立てながらチョコを口へと含んだ。
「モグモグ…………右も左も分からない状況でとにかく俺が出来ることは、こいつを使ってあの暗闇から脱出すること。それでもその後はどうすればいいのか分からずじまいで仕方ねえから、運任せの列車任せで今まで過ごしてきたが…………」
もう一度板チョコを口に含み、食べ進めていく。
「モグモグ、こいつのやることって言ったら、宇宙に蔓延る気色の悪りぃあの化け物の退治と、後は俺を入れての残り四名…………この“列車に選ばれたパイロット”を探し出すこと」
そう言ってサムは、チョコを食べながら操縦席の周囲を見回せば、口に入れていたチョコを飲み込み、溜め息を吐いてボヤいた。
「…………めんどくさすぎんだろ。ってかこんなことを右も左も分からなかった“記憶喪失”の人間にやらすんじゃねえよ!」
サムはボヤきながらチョコレートを歯で噛んで、パキンと音を経ててチョコを食べた。
なにやら途中途中の台詞から、とんでもない単語が入っていたようだが、サムはそんなことを気にすることなく、とにかくだらけていた。
「あーあ…………こいつに助けられたとは言え、こんな厄介ごとに巻き込まれるのなら、いっそのことどっかの惑星に着陸して、こいつ乗り捨ててやろうかな?」
最後のチョコの欠片を口に入れ、口を動かしながらそんなことを言うと、いきなりコクピット全体に赤い光が点滅し、さらには耳を塞ぎたくなるような大きな音が鳴った。
「!? な、なんだぁっ!? おわっとおぉぉぉッ!!!!」
いきなりすぎる事態に、サムは驚きの声を上げれば、操縦席から派手にひっくり返り、勢いよく背中を強打した。
「いてててて、って緊急を知らせるアラートか。なら何処かのSOS信号をキャッチしたのか?」
背中に感じる痛みで少し顔を歪ませるが、痛みなど気にせず立ち上がり、操縦席の前にある操作盤に触れて、スイッチを押したりダイヤルのようなものを操作すれば、前方のパネルが映像画面となり、なにかを映し出した。
「やっぱりかよ。SOS信号は宇宙ステーション「《バルロアン》から。しかもイリーザスと交戦中かよ! 厄介なことになってんな…………」
SOS信号を出された場所が何処なのかを確認し、さらにはSOS信号を出したことも確認すれば、画面には地図のようなものが現れ、そこから襲撃など事細かいことが映し出された。
「さてと、SOS信号はキャッチしたがどうしたもんかね。助けに行った方がいいか?」
機器の操作を終えれば、サムは操縦席に座り腕組みをした。
サムがそんな冷たいことを言ったせいなのか、急に列車が怒り出すかのように緊急時に使うようなサイレン音を鳴らし、強い駆動音とさらには巨大な汽笛を鳴らし上げた。
「あー! あー! 分かった分かった!! 行けばいいんだろ行けば! そんなに汽笛とかでけぇ音経てるな。耳がぶっ壊れるだろうが…………」
耳をつんざくような音に、サムは操縦席から立ち上がって耳を塞ぎ、SOS信号を出している宇宙ステーションへ救援へ行くことを了承した。
「…………ったく、お人好しの列車どもめ。あの化け物が居るところには、必ずお前らが居なきゃならねえのか?」
サムは悪態を吐きながら操縦席に座り、操縦桿を握り言い放つ。
「これより俺達は宇宙ステーション・バルロアンへ緊急発進する。…………出発進行!」
サムのこの言葉と共に黒い列車は汽笛を鳴らし、SOS信号を発する宇宙ステーションへ向けて走り出した。
2026年。…………なんだか嫌な年になりそうですね。
金を貪り取るようなふざけた行いをするような感じですし、本当にこれからの日本はこれで大丈夫なのかと不安しかありません。




