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ガンギマリズムV バケ~ション!!  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第二章「ステップ2、そうだ滋賀に行こう」
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ダメな大人 未成年飲酒

米原に着くと一行は在来線に乗り換え、長浜駅へと着く。

長浜は駅前から湖岸に至るまで街が発展しており、ビル群が立ち並んでいる。

この長浜はかつて羽柴秀吉の居城があったこともあって元々栄えていたが、秀吉亡き後の豊臣幕府時代の琵琶湖運河開通によって今日こんにちのような貿易都市として東京や横浜のようなビル群の風景へと変わっていったのだ。

漆紀達一行は夕方のホテル集合まで自由行動となり、それぞれグループに分かれて街を散策し楽しむ運びとなった。

「……fuck」

「んん~……」

「……なんだよ、二人ともそんなガン見するなよ」

漆紀は彩那や小太郎と一緒に行動、ではなかった。漆紀に関しては輝雷刀が舞香とレグナ・イサカを割り振ったのだ。

漆紀はこの二人とは仲が良くない。竜夢を見た事で舞香とは仲良くなる可能性が保証されているが、レグナに関してはその芽は無いように思えた。

「Fucking hot……how long are you going to make me walk?」

「日本語喋れよ外人かオメぇはよ」

「ガイジンだよFucking Jap」

レグナの姿顔付きを見て「コイツ外人だったわ」と漆紀は渋々納得する。

レグナは胸元の開けた半袖シャツで豊満で凶器的な胸部を見せ、ホットパンツで美脚をこれでもかと見せつけていた。

そんな大胆な姿のレグナだが、暑さのせいか竜王という種族のせいか漆紀は興奮する要素には数える事が出来なかった。レグナに関しては大胆な格好をしたただただ口の悪い女というイメージであった。

「またファッキンジャップっつったな! 噛むぞコラ!」

漆紀はレグナに歯並びの良さを見せ付けながら噛むぞという意思表示をする。

「やってみろFucking Jap!!」

レグナは両手の中指を立ててダブルファックサインをする。漆紀は激しい苛立ちを覚えるが、ここで噛み付いても暑い中で無駄な喧嘩をして体力を消耗するだけだと判断し仕方なく我慢する。

「チっ……それよりメシだ。なあ月守先輩、本当にこの先に琵琶湖のものが食える店があるって?」

「ええ。グーグル先生を信じるならね。この先真っ直ぐ行くのよ。そのまま進んで」

「わかった……」

それからレグナの悪罵を受け続けながらも我慢して進むこと十分。テラスナガハマという飲食店に到着する。

「よし、とっとと入ろう。汗だくだぜ」

漆紀達は店内に入るが、店員からの案内はない。

「これ、勝手に席に座る感じの店か」

「そうね。あの辺に座りましょう」

「OK」

三人はテーブル席に座ると、受付の方を見る。どうやら受付まで行って注文するタイプの店らしくメニューも全て受付に書いてあるのだろう。ファストフード店と同じ形式だ。

他の席を見ると、日本人以外にも東南アジア系の外国人の姿が多く見える。貿易都市ゆえの光景だろうと漆紀は頷く。

「じゃあ受付行くか?」

「誰か一人席に居た方がいいでしょう。私が残るわ」

「じゃあ俺とレグナで注文してくるか。てかテーブルにはメニュー無いけど月守先輩は食いたいものとかあるのか?」

「グーグル先生の方ではフィッシュバーガーがあるらしいわ。それを注文して」

「そうか。飲み物は適当に選んどく」

漆紀とレグナは受付へと行き、注文を始める。

受付のテーブルにはメニュー表があった。琵琶湖の魚を使った様々な料理が載っており、その中にはアメリカナマズを使用したフィッシュバーガーがあった。

「よし、とりあえず……」

漆紀が言う前にレグナが店員へとりあえずとばかりに注文を言う。

「ビール三つ」

「ッ!?」

漆紀は困惑して声が出なかった。この女一体何を言っているんだ、と。

至極当たり前の様に自然に注文したからか、店員は年齢を疑うことなくビール三つという注文を受け付ける。

「ほら、何か選べ」

「えっ? ちょ、ええ? あー……フィッシュバーガーを三つ。それとビワマスのカルパッチョを一つ」

俺が注文を伝えると、今度はレグナが自分の分の注文を始める。


注文後、メニューは速やかに提供された。

俺とレグナはトレイに乗せた食事をテーブルまで運ぶ。

「どういうことなの?」

トレイに乗った黄金色の大人な飲み物に対して舞香は首を傾げる。

「コイツがビール注文しやがった。で、普通に通っちまった」

「……ごちそうにはビール」

「はぁ……もういいわ。頼んじゃったんでしょ? こうなったら飲むわよ……」

テーブルにトレイを置き、それぞれ自分の分の食事を手前に持ってくる。

レグナはとりあえずでプラスチックのカップに入ったビールを一口飲む。

「ふぅー、これこれ」

「なんで飲みなれてんだよ。年齢的にあんたも未成年だろ」

「ワタシ、二十二歳」

「おい、ダメな大人じゃないかよ」

未成年飲酒を勧める大人はダメに決まってるだろうと漆紀はツッコむ。

「とりあえず飲んでみろ……Let‵s try」

漆紀はプラスチックカップに入った黄金色のビールをまじまじと見つめる。

提供されてしまった以上は仕方ない、そう割り切って漆紀はビールを口に含み、飲み込む。

「うへぇ、なんだこりゃ。苦いだけの汁じゃねえかよ。何が旨いんだよコレ。俺ビール苦手だな」

「ああ、アルコールの苦味に慣れてないのよきっと。私は実家の事もあってアルコールの苦味には慣れてるけど……うん、普通においしい」

舞香もビールを一口含んで飲み込むと、顔色を変えずにいる。

「おいおい……ま、いいや。それよりフィッシュバーガーだな」

漆紀はフィッシュバーガーに齧り付き、しっかり味わう。

「んん……うん、旨い。アメリカナマズだっけ? マックとかのフィッシュバーガーと変わらないぐらい旨いな。てかマックより具材多めだし」

「さて、この後どこへ行こうか決めましょう?」

舞香が夕方のホテル集合までどこへ行こうかと話題を出す。

「そうだな……観光名所は行きたいよな。ナガハマタワー登ろうぜ」

「それ……いいかも」

漆紀の提案に険悪なはずのレグナはビールを片手に同意を示す。

「ナガハマタワーね。でもそこだけ? 私、行きたい所があるんだけど」

「え、どこ?」

「島よ」

島と言われて漆紀とレグナは首を傾げる。島とは、海にあるものではないのだろうか。滋賀県は海なし県であり島など無いはずだ。

「Island?」

「島って……あれか? ヤクザの隠語か? 俺らのシマだぜみたいな」

「違うわよ! というかなんで引き合いに出すのがヤクザ?」

「じゃあなんですかね先輩、島って……滋賀県は海なし県のはずでは? 島なんかないはず」

「あるのよそれが……実はね、琵琶湖内には島が四つあるのよ。私が行きたいのはそのうちの一つよ」

「湖に島があるのか!?」

漆紀とレグナは目を点にして驚いていた。琵琶湖の大きさは認めるが、湖に島があるなど聞いたことがないしそもそも発想すらした事が無かった。

「Oh……Island in Biwako? Jesus christ」

漆紀はレグナの顔を見ると、彼女も信じられないと言わんばかりの表情をしている。湖の中に島があるなど誰が予想出来ようか。

「まあ、島があるのはわかった。じゃあ先輩、ナガハマタワーに行ったら、琵琶湖の島だな」

「ええ。長浜港から定期便が出ているからそれに乗れば島に行けるわ」

「OK. Let's eat quickly」

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