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プロローグ

七月中旬。

既に夏の気候となり日中だけでなく夜も蒸し暑いこの季節。

辰上邸の自室にて、薄ピンクのキャミソール姿の夜巳は窓を開け網戸のみの状態にして夜風を部屋に招いていた。

ベッドに腰掛け、静かに思案している。

窓際に吊るした風鈴の音が気休め程度の心の涼しさを夜巳に与えてくれている。

暑さに慣れるために、あえてエアコンは使っていない。

(この前の漆紀、だいぶ曇っていたわね……竜理教のことだけじゃない。自分自身に関しても悩んでいるのだわきっと)

案じていたのは従弟・辰上漆紀のことだった。

(きっと私自身で漆紀の事を解決してあげる事は出来ないのだわ。あれは漆紀自身の心の中の問題なのよきっと。でも、姉として何かしてあげたいわね……)

辰上夜巳は辰上家の年長者である。年齢は二十歳、酒も嗜み始めたこの頃、彼女は従弟どころか弟の様に思う漆紀のために姉として何か出来ないかと考えていた。

(気晴らし程度でも良い。漆紀の内面を変え得る何か……)

夜巳はテーブルに置いたグラスに入った飲みかけのワインを飲み干す。

最後の一滴を飲んだ瞬間、夜巳の脳内に一筋の電流が走る。

(漆紀……あなたは世界の広さを知っているのかしら……狭い自分の中と周りだけの世界でものを考えていないかしら……それなら)

夜巳は思い付く。

「これよ、これだわ。待ってなさい漆紀!」

夜巳は立ち上がり、右拳を強く握って確信を得た。

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