第二章 2. 魔法を使います
特に先を急ぐ理由もなかったので、チェラシュカたちはメリスへの道をのんびりと歩いていた。
初対面ではあるものの、レオニクスが気さくな性格をしていたので会話が途切れることもなかった。
「そういえばさ、二人は何歳なんだ?」
「私もラキュスも五十歳よ」
「マジ!? オレの三分の一じゃねえか! 若えな〜」
「てことは、レオニクスは百五十歳なんだな」
「まあ、とっても大人だわ!」
「はは、なんだそれ! とっても大人って、チェリちゃんおもしれえな!」
ちょっとしたツボに入ったのか、レオニクスが大きく口を開けて笑っている。そんな彼を見て、チェラシュカはあることを思い出した。
「あ! 獣人に会ったら一つ聞いてみたいことがあったの。獣人って成人が百歳でしょう? 身体はそれまでゆっくり成長するの?」
「身体? うーん、五十くらいの頃から背は伸びてねえな」
「そうなの? なら、何をもって成人なのかしら」
「あんま実感はねえけど、魔力の器がでかくなるのが百歳くらいまでらしいぞ」
「魔力の器の大きさが関係しているのね……!」
妖精の場合、生まれるまでに蓄えられた魔力量がそのまま魔力の器の大きさになるため、後天的にはほとんど伸びないと言われている。
そういった他種族との違いも、森を出なければ知りえなかったことなので、なんだか嬉しくなった。
「にしても、二人ともすげえな。オレがそのくらいの年の頃は、旅に出るなんて考えたこともなかったぜ」
「私も……そうね。ついこの前までは、成人してすぐにフロリニタスを離れるとは思っていなかったわ」
「ああ。チェリが旅に出るって言い出したときは驚いたな」
「そうなのか? じゃあなんで旅に?」
チェラシュカ自身、いずれ森の外に出てみたいとは思っていたものの、そう急ぐ必要はなかった。
別の仕事をしてみたり、何かを作ったり研究したり勉強したり、フロリニタスにいたって、今までしたことのないことに挑戦することはできた。
ただ、あの式典の日に、ペルシュカとの約束をそのままにしてはいられないと思ったら、いてもたってもいられなくなった。
「……昔、星空の街っていうのがあるのを聞いたのをふと思い出してね。そこで流星群が捕まえられるらしくて、時間もあるし行ってみたいなって」
「へえー、流星群! ……ん? 捕まえられる?」
「ふふ。なんとね、星を捕まえると願いが叶うっていわれているんですって」
「……マジで?」
「本当かどうかは知らないわ。でも、街自体が星空みたいにキラキラ輝いているらしいから、観光地にもなっているそうよ」
「そりゃすげえな。ラキュスはどう思ってんの?」
「俺は……」
ラキュスは一瞬こちらに視線を向けたあと、言葉を続けた。
「本当か嘘かはどっちでもいい。チェリが行きたいというから行くだけだ」
「ふふ。いつもありがとう、ラキュス」
「なんかかっけえな……」
そうやって他愛もない話をしていたとき、ふと疑問が浮かんだためそのまま口にする。
「そういえば、……なんて聞いたらいいのかしら。わからないから直球で聞くけれど、獣人って魔法無しでどうやって生活しているの?」
「それは俺も気になってた」
チェラシュカとラキュスの視線を受けたレオニクスは、小首を傾げながらこう言った。
「どうって……普通に?」
「普通に……? 手を洗うときは?」
「外なら水場に行きゃいいし、家なら水道に行くだろ」
「服乾かすのは?」
「干すしかねえな」
「高いところにあるものを取るときは?」
「背丈くらいならジャンプすれば届くから、大体問題ねえかな」
ラキュスよりも少し高いレオニクスの背を見上げ、羽が無くても跳べる獣人の脚力に感嘆する。
「身体能力が高いのね……」
「……逆に聞くけど、チェリちゃんたちはどうしてんの」
そう問われたチェラシュカは、ラキュスと顔を見合わせてから口を開いた。
「それはもちろん……」
「魔法で全部なんとかするさ」
「おお……」
チェラシュカの言葉に続けてラキュスが端的に答えた。それを聞いたレオニクスは、開いた口が塞がらないといった様子だった。どうやら、魔法のある生活に対するカルチャーショックが大きかったようだ。
「オレは逆に魔法のある生活の方が想像できねえな……」
「そうなの?」
「ああ。生まれも育ちもアウステリアだから、出会うのが獣人ばっかなんだよ」
「なるほど、獣人は魔法が使えないんだったな」
この世界には、いたるところに魔力が満ち溢れ、妖精をはじめとする様々な生き物は、想像力を働かせることで魔力を使って様々な魔法を使うことができる。
――ただし、獣人を除いて。
獣人は、自身の体に蓄えた魔力が全て恒常的な身体能力の強化、または獣化する際にのみ消費され、生活魔法や攻撃魔法などに使用することができないそうだ。確か、魔法を使おうと他種族と同じように想像しても、獣人の場合魔力がその通りに動かないのだとか。
アウステリアの場合、他の国と比較して住民の獣人の比率が最も高いため、魔法が使える種族に会うこと自体が稀なのだろう。
「なら、魔法自体をあまり見たことがないのかしら?」
「そうだな……もしかしたら今日初めてかも」
「そうなのか」
ラキュスは少し驚いたような声を出していた。確かに、フロリニタスにいた頃は住民全員が魔法ありきの生活をしていたので、無理もないだろう。授業で獣人のことを聞いていても、実際に目の当たりにするとやはり驚いてしまう。
そこでラキュスをちらりと見ると、目があった。いい? と小声で言ってみたところ、小さく頷かれる。
「ならレオニクス。魔法、見てみる?」
「えっ……いいのか?」
レオニクスに声をかけると、少しテンションが上がった声で返され、恐らく見てみたいのだろうなと思った。
「ええ。生活魔法なら大したことはないから、魔法を見たことがない人に見せてみるというのを、やってみたいの」
「そういうことなら是非!」
「わかったわ」
チェラシュカは自分の右手をそっと持ち上げて、手のひらをお椀のように少し丸めた。お水、と呟くと、手のひらの上に直径が手のひらサイズの水球が浮かんだ。
「おお〜!! チェリちゃんすげえ!」
「この程度でそんな反応をされると、どうしたらいいかわからなくなるわね……」
「これって誰でもできることなのか?」
「そうね、こういう生活魔法はちょっと練習すれば魔法を使える人なら誰でもできるはずよ」
「へえ〜!」
目を輝かせながら水球を見ていたレオニクスを惜しむ気持ちも少しあったが、魔力の放出を切ると水球がパシャンと音を立てて消えた。
「あっ……」
「ラキュスはもっとすごいわ」
そう言ってラキュスに目を向けると、渋々といった動きで右手の手のひらを上に向けて突き出した。
すると、見る見る間にチェラシュカの背丈ほどもある大きな水球ができあがった。
「お、おお!?」
「俺は水を操るのが得意なんだ。湖の妖精だから」
「へえ〜!! ラキュスもすげえな!」
「それに、ラキュスといればお水には困らないのよ」
「……どういうこと?」
きょとんとするレオニクスに、チェラシュカは簡単に説明する。
「私がさっき使ったような生活魔法は、魔力の放出を切ると消えてしまうから飲めないの」
「飲んだところで、水分補給にはならないってことだ。だけど、俺は空気中の魔力を水に変換して、淡水を作ることができる」
そう言ってラキュスは大きな水球を消し、小さな水球を出現させると、レオニクスに声をかけた。
「レオニクス、両手を出して」
そう言われたレオニクスは、戸惑いながら両手を揃えてラキュスの方に差し出した。ラキュスがその上に水球をふわりと移動させ、手のひらいっぱいを水で満たした。
「飲んでみな」
どうしたものかという顔をするレオニクスに、毒は入ってないから安心してね、とチェラシュカは声をかける。
「あ、えーと……はい」
レオニクスはおずおずと手を自分の方に引き寄せて、一口水を口に含んだ。
「なんか……美味い!」
そう言ってごくごくと手のひらの水を飲み干したレオニクスは、ばっとラキュスの方を見て手を差し出した。
「もう一杯!」
「おい」
「あら、喉が渇いていたのね」
ラキュスが仕方なさそうにもう一度レオニクスの手の中を水で満たしているのを見て、チェラシュカも喉が渇いたなと思い声をかけた。
「ラキュス。私にもちょうだい」
そう言って口を開ける。すると、ラキュスが慣れた手つきでちょろちょろとチェラシュカの口の中に水を注いだ。
こくりと飲み干して、口の端から少し溢れた水を手の甲で拭う。
やっぱりラキュスが作る水は美味しい。
チェラシュカがそう思っていると、レオニクスは何故かポカンと口を開けてこちらを見ていた。どうしたの、と声をかけてみる。
「あ、いや……チェリちゃんたちっていつもそうなの?」
「そうって?」
なんのことだろうとラキュスと顔を見合わせたものの、ラキュスも首を傾げていた。
「あ、いいですわからなければ……」
レオニクスはそう言って視線を明後日の方向へと向けていた。よくわからなかったが、こういうことは慣れているのでスルーすることにした。
「でもすげえな! 旅をするときは水の確保が大事だって聞いたことあるからさ、水に困らないなんてめちゃくちゃすげえじゃねえか」
「すげえしか言っていないぞ」
「ラキュス、こういうときは素直に喜んでいいのよ」
「……ふん」
ツンツンした態度を崩さないラキュスだが、内心は喜んでいるはずだ。
そんな彼の凄いところを見てもらったので、次は自身の魔法も見てもらいたいなと思う。
チェラシュカは空気中の魔力を変換し、さくらんぼを手のひらの上に三粒作り出した。空気中の魔力を自分と縁のある物質に変換するのは、妖精なら誰もができる魔法だ。とはいえ、きっとレオニクスは見たことがないはずで、つまりは凄いと思ってもらえるはずなのだ。
さくらんぼを一つつまむと、残りをラキュスたちに差し出した。
「お一ついかが?」
そう言って自身の口に放り込む。
ラキュスはありがとうと言って一粒口に入れた。
レオニクスは、チェラシュカの手の上を見て問いかけてきた。
「これってさくらんぼ?」
「そう。ラキュスは淡水だけど、私はさくらんぼを作れるのよ」
「へえー! すげえな! ありがたくいただくよ」
レオニクスはニカッと笑って、さくらんぼを一粒つまんだ。
一見彼は先ほどと変わらない笑みを浮かべているように見えるが、チェラシュカにはわかる。ラキュスのと比べてしょぼいな、って顔をしている。多分。
けれど——ただのさくらんぼと侮るなかれ。
そう思って、ひと言付け加えた。
「このさくらんぼには、体力回復や小さな怪我の治癒、栄養補給の効果があるのよ」
「え。んぐっ!?」
レオニクスは、口に含んだばかりのさくらんぼを丸呑みしてしまったようだ。ゲホゲホと咳き込んだ彼の背中をチェラシュカは慌ててさすった。
「ごめんなさい! まさかそんなに驚くとは思わなくって」
彼はしばらく咳き込んで落ち着いたようだが、まだ少し顔が赤い。
「落ち着いた?」
「あ、ああ……」
「なら、もう一つどうぞ」
チェラシュカは彼の開いた口にさくらんぼを一粒詰め込んだ。
「んむ!?」
「今度はゆっくり噛んで、味わって食べてね」
大きく目を見開いてこちらを見ながらゆっくりと咀嚼するレオニクスの顔は、心做しか更に赤くなった気がする。
もう咳き込んではないけれど、大丈夫かしら。
「私の作るさくらんぼは種がないから飲み込んでも大丈夫だけれど、どうせなら味わってほしいわ」
「そ、そうなのか……」
口の中身を飲み込んだらしいレオニクスは何故かラキュスの方を見たが、ラキュスは力なく首を振っていた。
何か言いたいことがあるのかもしれないが、本人が自ら口にしないことには深く突っ込まないのが、チェラシュカの信条である。
「ね、効果はあったかしら?」
そう問われたレオニクスは、自身の手足をさっと確認した。
「そういえば、さっきできた擦り傷なんかが無くなってる……! すげえ!」
「でしょう? さっきあれだけ殴っていたから、手がボロボロになっていたのが気になっていたのよ。綺麗になってよかったわ」
「おう! ありがとな!」
彼の表情がパッと笑顔に変わったのを見て、チェラシュカも微笑みを浮かべる。
――思った以上に効果があるわね。
実のところ、チェラシュカは密かに驚いていた。妖精の街にいた頃は怪我をすることもほぼなく、治癒の効果を見ることがそれほどなかったためだ。
そんな驚きは表には出さずに、どういたしましてと返す。
「けどそっか、二人は食べ物にも飲み物にも困らねえパーティってことだな」
「ええ。とってもいいでしょう?」
「ああ! とってもいい!」
「まあさすがにさくらんぼばかりだと飽きてしまうから、普通に食事はするのだけれどね」
ラキュスが「俺はチェリのなら飽きない」などと言っているが、どうせ旅をするなら様々な美味しい食べ物を食べたいので、色んな所に連れまわそうと思っている。
一方、何かを考えるような素振りを見せていたレオニクスだったが、特に何を言うわけでもなかったため、三人は再び歩みを進めることにした。
「そういえば、魔法を使うときになんか言ったり言わなかったりに違いはあんのか?」
「何か言ったり?」
「ほら、最初に水球見せてくれたとき、チェリちゃん『お水』って言ってなかった?」
なるほど、あれが聞こえていたのかと得心する。チェラシュカのそんな表情を見てか、レオニクスに「耳はいいからさ」と付け足された。
「ええとね。魔法を使うときって使用者の想像力が一番大事なのだけれど、何の魔法を使うかを口にすることで、イメージが明確になって失敗しにくくなるの」
「へぇーそうなんだ。……え、失敗とかあんの?」
「ええ。ねえ?」
小さく笑みを浮かべてラキュスに話を振ると、苦々しい顔をして「ああ」と返された。
そんなラキュスを見ながら、チェラシュカは小さい頃――およそ四十年ほど前のことを思い出す。
***
あれは、チェラシュカたちが学校で魔法の使い方を習い始めた頃だった。
家に帰ってきたラキュスが、魔法の練習がてら家の庭で薪に火をつけようとして――彼の名誉のために説明しておくと、湖の妖精であるため最初から水を操ることに長けており、学校でもかなり褒められていたので、決して魔法に対して根拠のない自信や無謀さがあったわけではない――水以外も同じように使えると考えていたのだろう。
薪に火魔法を放ったのだが想像以上に大きな火球が出来上がってしまい、近くにいた大人が駆けつけて消してくれなければ、危うく家が全焼するところだったのだ。
今でこそあんなこともあったなと懐かしめるが、当時はびっくりしすぎたラキュスが大号泣してしまい、宥めるのに必死だった。
いつも何かとラキュスにつっかかっていたペルシュカも、あのときばかりはどうしていいかわからなかったようで、一度もその話題に触れることはなかった。
ちなみに、その後ラキュスは火を使うのが苦手に……なんてことはなく。猛練習して今では普通に使いこなすことができるようになっている。
***
そうやってチェラシュカが過去を懐かしんでいると、レオニクスに声をかけられた。
「何があったんだ? チェリちゃん、教えてよ。ラキュスがなんかしたんだろ。気になるな〜」
ラキュスの苦々しい顔を見て、自分では話す気がなさそうだと悟ってこちらに話しかけてきたのだろう。
だが、彼が話したがらないことをチェラシュカが話すわけもない。
「ラキュスの話はラキュスに聞くといいわ。私は私の話をしてあげる」
「えっ、チェリちゃんの話? 聞きてえ! 聞かせて!」
とりあえず話題を変えることには成功しそうだが、何を話そうか。
チェラシュカもこれまで魔法の練習はたくさんしており、その分たくさん失敗もしている。話すネタには困らない。
「そうね……あれは十年ほど前、私が植物を操って大量の洗濯物を一気に干そうとしていたときなんだけど」
視界の端のラキュスから「げっ」と声が聞こえたが、チェラシュカ自身の失敗の話だから問題ないだろう。
「基本的に魔法で乾かせるから外で干す必要はないのだけれど、シーツとかカーペットとか大きなものはたまにお日様に当てたくなるのね。そこでこう、蔓や蔦を伸ばしてシーツとかの下に通して、物干しロープみたいにしたかったのだけれど」
「うんうん」
「何故か伸ばした蔓の先が私に向かってきて」
「うんうん……ん?」
「全身ぐるぐるまきになっちゃったの」
「……」
「自分で操ってるはずだからなんとかして解こうとしたんだけど、どんどん巻きつく蔓の数も増えて、ついには吊り上げられて逆さまになっちゃって」
当時のチェラシュカを心配してくれているのか、レオニクスの眉間に皺が寄っていた。そんなに大変な話でもないんだけどなと思いながら、話を続ける。
「なんとか助けを求めてラキュスが来てくれたんだけど、その頃には頭に血が上ってしまってもうフラフラで、助け出された頃には気を失っちゃってたのよね」
爪先から首辺りまで隙間なく蔓で覆われていたらしく、ミノムシのようになっていたと言われたことを思い返す。もし自分がその状態を傍から見られたなら、あまりに間抜けで笑ってしまったと思う。
チェラシュカの言葉を聞いたレオニクスが何故かラキュスに視線を向けていたが、ラキュスは静かに首を振っていた。
このやりとりさっきも見たような、と思っていると突然こちらを向いたレオニクスに両肩を掴まれた。
「チェリちゃん!」
「え? はい」
少し驚いてぱちぱちと瞬きをすると、レオニクスは深呼吸して口を開いた。
「もうその植物を操る魔法とやらは使わないでくれ。お願いだ。いや、お願いします」
「ええ……?」
「そういう危ないことは、もうしないでほしい」
確かに最終的には気を失ってはいるが、特にこれといって大きな怪我を負ったわけでもない。そんなに危なかったかしら、と疑問に思っているのが顔に出ていたようだ。
「チェリちゃんの周りの奴が、チェリちゃんを危険に晒してしまうかもしれないんだ」
やけに真剣な眼差しで告げられた言葉を頭の中で反芻する。
――なるほど、周りの人を私が危険に晒してしまうのであれば、確かにやめておくべきだ。
ラキュスと違って、チェラシュカは植物を操れなかったことに悔しさを覚えて練習することもなかったため、あれから植物を操ったことはない。それに、ラキュスからも一人で居るときに使うことは止められていた。
「わかったわ。別に植物の魔法を使わないといけない場面もないし、気を付ける」
チェラシュカがそう言うと、心底ほっとしたようで彼の顔がヘナヘナになっていた。
しばらくしてから、自分が肩を掴んでいたことに気づいたようで、わりぃ!! と叫んで手を離された。悪気が無いことはわかっていたので、気にしていないわ、と返す。
それにしても、レオニクスがここまで誰かの為に心を砕ける人だったとは思ってもみなかった。
旅の最初に会えたのが、彼のような優しい人で本当に良かったなと思う。
チェラシュカは、自分の見る目の確かさに改めて自信を持つのだった。




