初戀
あの日の帰り道
並んで歩くのが恥ずかしくて
少し前を歩く君の背中の後を追う
言葉を探す私のポケットの中
いつか渡したかった
「好き」ってフレーズ
カクカクのメロディにはのせられない
あれから幾つもの季節が過ぎた
自転車に乗った君が
振り返って「ねえ」って言った
夕焼けが伸びる坂道に
二つの影がやけに重なって
私ははただ「うん」と
頷くことしかできなかった
君のその笑顔が
ただ眩しくて
私だけが熱くなる
もう特別にしてしまったから
君を見るだけでもダメなんだ
ポケットの奥で握りしめたままの
あのフレーズはサビになれずに
今も私の中でくすぶってる




