表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/207

第80話 (70)ママレード&シュガーソング-1

 僕の勇気を振り絞ったデートの誘いはハナさんには届かず、いびきにかき消されてしまった。その後程なくして、僕も眠ってしまった。結局、翌朝様子を見に来たオラフさんに起こされるまで、一度も目覚めることはなかった。


「はい、これ朝ご飯!作ってきたよ!」


 優しいオラフさんは、なんと僕達のために朝食を作ってきてくれた。それにしてもサンドイッチなんて可愛いものを作って、オラフさんらしいな。


「うまい!うまい!カッピーも早く食べないと無くなるよ!」


「ハナさん、急いで食べ過ぎだよ…。沢山あるから焦らないで!ピーナッツバターもレモンママレードもあるからね!」


「ごほっごほごほ!」


 焦ってサンドイッチを頬張ったハナさんが喉を詰まらせて咳き込んでいる。言わんこっちゃない。焦って食べるからですよ。冷静沈着な僕は焦って食べない。ゆっくりと大人の余裕を持ってサンドイッチを食すのである…。


「ごほっごほごほ!!」


「カッピーまでむせちゃって!ちゃんと噛んでゆっくり食べないと!2人とも慌てんぼうなんだから!」


〜〜〜


『踊るのであります!』


「すごい!昨日とは動きが全然違うよ!」


『嬉しいのであります!』


 オラフさんの前で、ハナさんとの特訓の成果を見せる。オラフさんは拍手喝采で賞賛してくれた。正直少しミスったところもあったけど、優しいオラフさんは、僕が気にしすぎないように褒めてくれたのだろう。優しい人だ。


「完璧にするには、もうちょっと練習がいるだろうけど、大分ましになってきたよー。カッピーも成長したなー。ゾンビナイトの初日はあんなに緊張で震えてたのに。」


「そこまで緊張してないですよ!」


「いや、あの緊張ぶりったらなかったよ。オラフくんもそう思っただろ?なぁ?」


「まぁ…。正直ね。顔もなんかこわばってたし…。」


「オラフさんまで…!」


 3人で和やかに話す。そうか、もうゾンビナイトが始まって一ヶ月も経つのか。初日の緊張感も遥か昔のように感じる。こうして3人でふざけ合うのも最近なかったように感じる。ハナさんとオラフさんが居なければ、ここまでやって来られなかったかもしれない。周りがココロさんだらけだったら、しんどくなってただろうな。いや、いい人なんだけどね。


「朝から五月蝿ぇな。ここはリハーサル室なんだよ。くっちゃべって遊ぶんなら、駅前の喫茶店でも行きな。」


 突然、リハーサル室に渋い声が鳴り響く。


「ミッキーさん、おはようございます!」


「遊んでたわけじゃなくて…、休憩がてら話してただけというか…。」


「なんだぁ?無駄話する時間があるくらい、もう完璧ですってか?俺の時代はよ、完璧にマスターするまで休憩する暇なく練習練習練習だったけどなぁ。」


「いや…その…。」


 ミッキーさんの嫌な攻め方に口籠ってしまうオラフさん。僕を庇ってしまったばかりに申し訳ない、と思っているとハナさんが僕達の間にずいっと立ち、ミッキーさんに言い放つのだった。


「勿論おっしゃる通り!もうカッピーは昨日の課題を“完璧に”マスターしたから、私たちはもう余裕こいちゃって、無駄話に興じてたわけですよ。」


 ハナさんは、まるで歌舞伎役者のように大見得を切って見せた。そう言い放った後に、こちらの方を向きウインクをするのだった。僕は正直ハードルを上げないでくださいと思いつつも、ハナさんの堂々たる振る舞いに胸の空く思いだった。


「はっ!面白えじゃねぇか。早速“完璧な”練習の成果を見せてもらおうか?」


「おう!やったれ、カッピー!この老害に一発喰らわしちゃれ!!」

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ここまで読んで頂いて本当に嬉しいです。

このキャラのエピソードもっと読みたいなどあれば、コメントで教えて頂きたいです!

ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ