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第72話 (62)夢の中の君

ーーあぁ、これは夢だ。


 オラフさんは水の中に浮いているような感覚にに包まれてそんな事を思っていた。


「xxxくん!何してるの?」


「あ、ユウくん。“だいほん”をおぼえてて…。」


「そこのシーン、オレもいっしょだよね?いっしょに“ヨミアワセ”やろうよ!」


「え?いいの?」


 昔の記憶だ。ユウくんとの思い出。1人で不安な僕にユウくんは話しかけてくれた。思えば、不安そうな僕に気付いて、緊張をほぐそうとしてくれていたのかもしれない。そんな事を思いながら、ユウくんの顔を見る。しかし、その顔は靄がかかったように不鮮明ではっきりしない。あぁ、ユウくん。どんな顔だったか。もう記憶が曖昧である。なんせ子どもの頃の記憶だ。夢の中では見上げるたびにユウくんの顔は異なる印象を受ける。


「xxxくん!この前出てたドラマ見たよ!すごいじゃん!」


「ありがとうユウくん!ユウくんのアドバイスのおかげだよ。」


「xxxくんはやる男だと思ってたんだよ!」


「いつかユウくんと一緒にドラマ出たいなぁ。」


「…。実は俺、もう役者やめるんだ。」


「え…?」


「ダンス、そうダンスを仕事にしたくてさ。これからはダンサーを目指して頑張ろうと思ってて!」


「えー!ダンサー!かっこいいー!」


 そうだ。ユウくんがダンサーを目指して役者を辞めちゃったんだ。このくらいから、あんまり会えなくなっちゃったんだよね。少し年上のお兄ちゃんみたいな存在だったユウくん。顔を思い出そうとするが、やはり靄がかかって不鮮明だ。


「xxx。お前何か悩んでるのか?」


「実は僕も役者辞めようかと思ってて。」


「そうか、何かやりたいことが出来たのか?」


「いや、特にそういうわけじゃないんだけど。」


「…。そうか。なぁ!今度久しぶりに遊びに行こうぜ!」


「え?行きたい!」


「気分転換にさ、2人で遊ぶなんて最近できてなかったろ?ウルパーなんてどうだ??」


「うん!めっちゃ良い!楽しみ!」


 これは、高校生くらいの頃だろうか。子役としての旬が過ぎ、仕事もほぼやっていない状況だった。同世代の仲間たちもユウくんを始めとして辞めていってしまい、モチベーションもなくなっていた。


ーーユウくん。遅いな。


 遊ぶ約束をした当日、なかなか現れないユウくん。はぁはぁ。息が苦しい。ゆらゆらと視界が揺れる。息苦しくなってゆく。


『只今、xxxxxの影響で運転をxxxxx。』


『xxxxxでxxxxxが起き、被害者は数十名xxxxx、意識不明の重体がxxxxxx。』


 視界が歪む。音が歪む。ぐにゃりぐにゃり。この時ユウくんには会えなかった。そして、会った時にはーー。


「う、うわぁぁあ!!」


 白い布をかけられているユウくんの姿を目撃したところで目を覚ましたオラフさん。身体には寝汗をグッチョリとかいていた。


 あんなに仲良かったのに、あんなに忘れないと思っていたのに。もう記憶が曖昧だ。ユウくん、どんな顔をしていたっけ。僕は今、あの時一緒に遊べなかったウルパーでダンサーの仕事をしているよ。天国から見てくれているだろうか。僕は楽しく生きているよ。


〜〜〜


「ジョージ!何か僕にやることはないの!暇だよ!」


「ユー!邪魔しないでくだサーイ!ただでさえ、今『アレ』の対応とオールナイトの発表で忙しいんですから!」


「もう!つれないなぁ!」


 ユーは忙しくててんてこ舞いのジョージの周りをゆらゆらと漂っていた。

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