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第70話 (60)milk-1

『ゾンビになってもーー。』


 カルーアちゃんが持つスマートフォンから音が流れる。画面には、カッピーとハナ扮するゾンビが映し出されている。


『カルーアちゃん、『アレ』見ましたか??やばいですよ!』


 そう、SNSでリプライで教えてくれた人がいた。そして、リンクから動画に飛んで驚いた。そこに写っていたカッピーは、『ゾンきみ』のタケティーそのものだった。あのドラマを見ていた時の臨場感がそのままそこにあるようだった。


ーービジュ爆すぎる!!


 見たい。これは見たい。生で見たいとカルーアちゃんは思った。私が生でこれを見なくて誰が見るんだ。なんとしても行かなくては。オタクとして。カッピー推しとして。目に焼き付けなくてはいけない。推しは推せるうちに推せ。動け、オタク。


〜〜〜


 予定をなんとか調整し、パークへと到着したカルーアちゃん。カッピーのいるゾンビのエリアに到着したが、現場は混沌の中にあった。


「おい!押すなよ!」


「きゃーーー!!」


「あのゾンビどこにいるんだ!!」


「あっちが『アレ』の動画の場所じゃね?」


「おい、お前今押しただろ。」


「押してねぇよ、こんなに人だらけなんだから、仕方ねぇだろうが。」


 そこは人、人、人。人でごった返していた。かつてないほどの人。群衆が『アレ』が起こったエリアに詰めかけていた。そして、それだけじゃない。人のあまりの多さのためか、ゾンビも全く出てきていなかった。『アレ』の動画を見た人たちがどんどんと押し寄せていたのだ。影響力恐るべし。


「ゾンビいねーじゃん。」


「おかあさーん。ゾンビさんいないよー。うぇええん。」


「ゾンビどこー??」


「待ってたら出てくんじゃね??」


「ゾンビいないんじゃ、来た意味ねーよ。金返せ!!」


 エリアに集まった人たちは混乱の中にあった。とにかく誰も状況を把握できていない。ゾンビが出てないことに憤慨する人もいた。


「はい。どうも今緊急で動画回してます!今日もすやすや、サボちゃんでーす!『アレ』の場所にやってきたんですが、人だらけでやばいです!パークに異変?!ゾンビナイトの攻略情報をこれから発信していきたいとーー。」


「おい!」


「はい?あ、サインですか?すいません、パーク内でのサインはお断りしてまして。僕もただの一般人なんでねーー。」


「そんなんじゃねえよ!誰だよお前!お前のサインなんかいらねぇよ!」


「なんですか?」


「だから、こんなクソ狭い場所で動画撮ってんじゃねぇよ。クソインフルエンサーが!」


「ちょっと!カメラ触らないで!高いんだから!」


「こんなとこで動画撮るな!迷惑考えろよ!」


 見回してみると、インフルエンサーもどきの動画投稿者も一定数いるように感じる。『アレ』の動画が1000万再生されていることに便乗して、自分も撮影してバズりたいと小物達が押し寄せているのだ。


ーーこんなんじゃゾンビが出てくるわけない。


 平時でも人が多すぎると、ゾンビが一時的に引っ込んで、混雑がマシになってから出てくると言うことはあったが、今日のこれはその混雑のレベルじゃない。


『只今、囚人エリアのストリートゾンビイベントは開催を見合わせております。現在のところ、ゾンビの登場予定はありません。ご迷惑をおかけしますが、ご了承お願い致します。』


 開催見合わせのアナウンスが鳴り響くと、場はさらに混乱し始めた。


「はぁあ??ふざけんな!!」


「ゾンビ出てこないのぉ。ぇえええーーん。」


「すやすや〜。サボちゃんです!あまりの混雑にゾンビは登場しないとーー。」


「だから、お前邪魔だっつってんだろ!ここで動画撮るな!」


 混乱を極める囚人エリア。そこにスタッフが数名やってきて、人の動線を作り始めた。


「申し訳ありませーん。こちらでお待ち頂いても何もありませんので、ご移動お願いしまーす。」


「『アレ』はもうないんですかー?」


 文句を言いながら移動する人達の中に、しつこくスタッフに詰め寄る人がいた。


「『アレ』を見に来たんですけど、もうないんでしょうか。」


「申し訳ないです。『アレ』に関しては私どもも把握しておらず。ただ言えることは『アレ』はパークで実施しているイベントではないので、今後行われることもありません。」


「え?もうないの?どういうこと?勝手に誰かがやったことってこと?」


「まぁ、そんな感じです。ご移動をお願いしまーす。」


「なんだよ、それ。納得できないなー。」


 不満気な顔をしながらも、ボス風のスタッフの剣幕に押され、その場を去っていく人達。その場にいた人たちが去っても、また状況を知らない人達が後からどんどんのその場に押し寄せてくる。カルーアちゃんも、人混みに酔ってしまい、その場を後にするのだった。


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ここまで読んで頂いて本当に嬉しいです。

このキャラのエピソードもっと読みたいなどあれば、コメントで教えて頂きたいです!

ぜひよろしくお願いします!

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