第41話 (33)カルーアちゃん、燃ゆ-2
長いゾンビナイトの一日を終えたカルーアちゃんは疲れ切ってベンチに座っていた。今日は最悪だった。初っ端のおじさん乱入に始まり、ストリートでゾンビの写真を撮ろうにも人が多くてぶつかられるわ、ダンスも近づけないわで散々だった。結局上手く撮れたのは最初のダンスタイムの時だけである。
「はぁ。何やってんだろ、私。」
りゅうじん君はかっこよくてすごく人気だ。それはオタクの中だけの話ではなく、一般のゾンビナイトを楽しみに来る人からもなのだ。今年は特にその人気の急騰を感じる。何だか楽しんで撮影が出来ないレベルになってきている。現に私は今日頑張ったけど、あまり楽しめなかった。
落ち込みながらスマホの機内モードをオフにする。すると、すごい数の通知がきていることに気がついた。一体なんだろう?と思ったが、すぐに先程の投稿のことだと思い出した。そうか、あのおじさんの件か。やはり炎上しているのか、ザマァないな。と思いながら通知を見ると、私が思っていたのとは違う返信が書き込まれていた。
『割り込みに怒るのはわかるけど、こうやって動画晒すのはどうなの?』
『何でその場で怒らずに、ネットに晒すのか謎。』
『てかゾンビの撮影に夢中になってる大人って…察し。』
『ゾンビを必死に追いかけて写真撮る人間滑稽すぎワロタw』
ーーえ?なにこれ?私が叩かれてるの?頭がフラフラしてくる。違う、私が悪いんじゃないんだ。違う。
弁明の言葉を入力しようとするが、さらに気になる投稿が目に入る。
『私ここにいたけど、この主さんもめっちゃ割り込んでた。』と言う言葉と共に私がおじさんの横に割って入る姿がモザイク付きで載せられていた。
ーー違う!それは私が先にやられただけで、先攻はこのおじさんなの!私は後攻で!
その返信欄は更にすごい燃えようになっていた。
『え? これ、お前もめっちゃ割り込みしてるはるやんけ?』
ーー違う!
『後ろの人の視界塞いでるのこのカルーアちゃんでは??』
ーー私は最前列だったんだってば!
『ん?これって撮影可なん?禁止って聞いた気がするけど?』
ーー撮影は可だわ!バカは黙ってろ!
『大体ゾンビを撮影するってのがお門違い。ゾンビを目で見て楽しんで一緒に踊るのがゾンビナイトだろ。昔のゾンビナイトは良かったなー。』
ーー楽しみ方は人それぞれだろ!関係ない話するなよ!バカ!私は撮影するのが楽しいんだよ!懐古厨は昔の思い出に一生浸ってろ!
返信や引用された投稿を見ると、私が悪いとする投稿が少なからずあった。それを見て卒倒しそうになる。確かに少し割って入ったのは悪かったけど、おじさんの方がもっと悪いでしょ。私は慌てて言い訳の投稿を連投する。
『私は最初からいたの!おじさん達が急に割り込んで来たの!』
『私が割り込んだのは、おじさんが来たからで。ドセンだったのに。今日は人も多くてーー。』
しかし、私の必死の弁明も虚しく、火に油を注ぐ結果になってしまった。
ーーえっ、これって私炎上してる?
どんどん増える批判の返信。「自分のこと棚に上げてる」「逆ギレやばい」と、完全に晒し者になってしまっていた。
ーーーもう、無理。
耐えきれなくなった私は、スマホを震える手で操作し、投稿を削除した。そしてアカウントも非公開にし、悲しみに暮れたまま、家路についたのであった。
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