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ゾンビナイト  作者: むーん
開幕編

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29/222

第29話 (23)Cigarettes & Valentines

「はい。勿論大変なこともありますけど、それよりもパークに来ていただくお客様に最高の思い出を作っていただく事、その一心で私達もより良いパークの環境作りに取り組んでいます」


「はい!OK!ありがとうございますー!」


「じゃあ続いて、ゾンビの人のインタビューに行こうか。おい、AD用意」


「はい」


 淡々と進むテレビの撮影。ビッグボスのインタビュー部分がつつがなく終了したかに見えたが、テレビクルー達はその様子を見て違和感を覚えていた。


「ねぇ、あの人化粧なんか変じゃない?」ヒソヒソ


「わたしも思ったー。めちゃくちゃ化粧濃いよね」ヒソヒソ


「リポーターのチョウチョさんも時々笑っちゃってたよね」ヒソヒソ


ーーそしてディレクターも頭を悩ませていた。


(あのスタッフの人、すごくいいこと言ってたんだけど、映像だと化粧が濃くてインタビューの内容に集中できないんだよなぁ。チョウチョのやつも笑っちゃってたし。編集大変だぞ、これ。はぁ〜。タバコ吸いてぇ。)


「はぁ〜」


 編集に頭を悩ませるディレクターを尻目に、テキパキと撮影の準備をするテレビスタッフ達。僕はただただそれに圧倒されていた。


 ふと、横にいるココロさんを見てみると、何やら色々と用意をしているようでたくさんの荷物を持っていた。何を持っているんだろう。


「じゃあまずはココロさんからいいですか?こちらに来ていただいて」


「あっ、はい。よろしくお願いします!」


「はい。よろしくー」


 リポーターの女性がココロさんへ挨拶を返す。カメラが回っている時はあんなに感情豊かだったのに、止まった瞬間こんなに変わるのか。これはこれでプロを感じる。


 テレビに出てる人って結構こういうものなのかもな、とカッピーが考えているとスタッフさん達の準備が終わったようで「じゃあ早速始めましょうか」と声をかけてきた。


「3 2 …」


 そう言った後、スタッフさんが手のひらを差し出して撮影がスタートした。リポーターがにこやかに話し始める。


「はい。では続いてはゾンビの中の人にお話を伺いたいと思いますー」


「うっす!夢は見るものじゃなく、叶えるもの!ドリームビリーバーのココロです!オナシャス!」


「はい?」


 突然謎の言語を発したココロさんに戸惑い、リポーターの女性が硬直する。そして、それはディレクターもそうだった。リポーターのチョウチョにカンペが出る。


『気にせず続けて!』


ーーそれを見て、心を落ち着かせてチョウチョが続ける。


「えーっと。ゾンビナイトのダンサーさんと言うことで、いつ頃からやられているんですか?」


「ドリームビリーバーの結成が3年前なんで、ウルパーでダンサー始めたのは4年前ですね!ちょうどこれ、ほら!今ドリームビリーバーの結成3周年の記念グッズ持ってきてて、俺ら普段ライブハウスとかでー」


 ココロさんの暴走は止まらない。走り出した彼を誰も止めることは出来ないのだった。その後もココロさんは、チョウチョさんが話すこと全てにドリームビリーバーの話を絡めて話すと言う荒技を見せ、テレビスタッフ達は頭を抱えていた。特にディレクターとチョウチョさんは地獄を見ているような気分であった。


(これ、番組成立しないんじゃ…)


 ディレクターがそう思いながら、カンペをチョウチョさんに出し、早くココロさんのインタビューを終わらせようとしていた。


『適当に切り上げて次の人に!』


「…!はい、と言うわけでダンサーさんの苦労がわかりますねー!大変だー!ありがとうございましたー!」


「え?終わり?まだ話し足りないんだけど?」


「それは、またの機会に。と言うことで。ほ、ほら、ドリームビリーバーさんがビッグになった際は特集を組ませていただいて、ねぇ?ディレクター?」


「え?!う、うん。そうですね。ありがたい話ありがとうございました!」


「まじっすか?ディレクターさん、今日の映像俺たちの下積み時代の貴重映像になりますよー。ラッキーすね!出世作だー!」


「は、はは!」


 思いっきり困った様子のディレクター。その後もココロさんの猛プッシュを受け、連絡先の交換までしてしまっていた。かわいそうに。


 インタビューを終えたココロさんが、少し離れた場所で待機していたカッピーの元へとやってきた。ココロさんはカッピーを抱擁して激励をするのだった。


「何も気にすんな。カッピーの魂?それをあいつらに見せつけてやれ。場はあっためておいた。かましてこい!」


ーーと言って、背中をバン!と叩かれた。かますも何もインタビューに答えるだけでは?とも思ったが、あまりの勢いに「はい…」と返事をすることしかできなかった。


 カッピーがスタッフに案内され、インタビュー用のスペースに向かうとそこは異様な空気感が漂っていた。ディレクターは頭を抱えて、「撮れ高が…これじゃ成立しない…」とブツブツと呟き、チョウチョさんは「何で私がこんなことしなくちゃいけないのよ!何であんな奴の話に付き合わなきゃ!私を誰だと思ってるの?Rainのメンバーなのよ!全く」とマネージャーに向かって怒っていた。心なしかスタッフも元気がなく、みんなどっと疲れてやる気を失っているように見えた。


「あ、カッピーさんですね。こちらへどうぞ」


「はい、よろしくお願いします!」


「じゃあ、始めようか」


 元気のないディレクターの声。カッピーも訳がわかっていなかったが、きっとココロさんが“かましてしまった”のだろうと確信していた。まぁ、自分は聞かれたことに答えるだけだ。何も緊張することはない。大丈夫。よし。


「3 2 …」


「はい!続いては、今年初めてダンサーになられたと言うカッピーさんに話を聴きたいと思いますー!」


〜〜〜


「いやー、もうすぐ放送だねー。楽しみだなー」


 悪夢のようなインタビューから数日後。約束通りカッピー宅にビッグボスとオラフさんが集まり、番組の鑑賞会が開かれることとなった。と言っても、楽しみにしているのはビッグボスとオラフさんだけで、カッピーは不安でいっぱいだった。


(ココロさんのインタビューがよっぽど使えなかったのか、すごい僕のインタビューの時間長かったんだよなぁ。色々予定にないこともあったし、大丈夫なのかなぁ。ディレクターの人も撮影終わって、すぐタバコ吸いに行ってたし。)


「楽しみねぇ〜。UPJの美人スタッフって話題になったらどうしようかなー」


「ビッグボス、ただでさえ忙しいのに更に忙しくなっちゃいますねー!」


「いやー、やばいなー!あっはっはー!」


 完全にお酒が入って盛り上がるオラフさんとビッグボス。オラフさんはポテチの袋をそのまま口に当てて、ごくごくと飲んでいた。そしてあっという間に空になってしまった。え?オラフさんそのポテチビッグサイズですよ?もう全部食べちゃったんですか?てか、飲んだんですか?


デデーン。


『特集!ハロウィーンの裏側!ゾンビナイトの舞台裏に密着!』


「あ、始まった!」


「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

ここまで読んで頂いて本当に嬉しいです。

このキャラのエピソードもっと読みたいなどあれば、コメントで教えて頂きたいです!

ぜひよろしくお願いします!

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