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第193話 (179)NINJA BOX

「誰かー!!」


ガン!


「助けてーー!」


 あれからしばらく経ったが、全く助けが来る気配がない。私は助けを呼ぶのに疲れてしまい、床にへたり込んでいた。カッピーさんは時々思い出したように助けを求める声を出していた。助けを呼び疲れたのか、カッピーさんの声は呻き声のようにも聞こえた。カッピーさん、ゾンビの格好してるし、何だか本当のゾンビみたいですよ。


——このまま誰にも気づかれなかったら…


 悪い妄想をしてしまいゾワっと寒気がする。流石にずっと気づかれないなんてことはないだろうか。ここで死んでしまったら、ゾンビになって園内を漂う事になるかもしれない。あはは、そしたらずっとゾンビナイトにいられるぞ。あはははは。


——はっ!危ない!


 何か空想の世界に囚われてしまうところだった。諦めちゃダメだ。ちゃんと自分をしっかり持つんだ。


「あれ?外からなんか聞こえませんか?」


「え?」


ガシャンガシャン


 確かに耳を澄ませると外からガシャンという音が聞こえる気がする。もしかして、柵を動かしてくれているのか?スタッフさんが通ってくれたんだ!


「ぉ〜ぃ。誰かぁあ」


 カッピーさんが叫び声を上げる。その瞬間、外から聞こえていた音が止まった。きっと気づいてくれたんだ!


バン!


「たぁすけてくれぇ〜」


 カッピーさんがドアをバンと叩いて、助けを求める声を出す。


「ぎ、ギャァぁぁあああ!」


 その瞬間、外から叫び声が聞こえる。その叫び声は少しずつ遠ざかって行った。そしてその後再び沈黙が辺りを包むのだった。


「もしかして今の人どっか行っちゃったかな?」


「多分びっくりして、逃げましたね」


「ぼ、僕のせい?」


「はい、カッピーさんが驚かすから」


「驚かしたつもりはなかったのに!」


ガタン!


「え?!」


 折角の救助のチャンスを棒に振った私達が話していると、突然部屋の奥の方から物音がした。この建物はもう使われていないアトラクションだ。他には誰もいないはず。私たちの他には。


「す、すいませーん。だれかいるんですか?」


 私は呼びかけるように声をだす。しかし返答はない。さっきの音は気のせいだろうか。私達は部屋の奥の方へと進んでいった。暗くてあまりわからないが、どうやら音はこの部屋から聞こえているようだ。え?なんだろう、まさか…


「カルーアさん、怖い話していいですか?」


「ダメです」


「実はここお化けが出るっていう噂が…」


「やめて!ダメって言いましたよね??」


ガタン


「「ひぃ!!」」


 カッピーさんが怖い話を始めようとした瞬間、再びガタンという音が響いた。今度は近くだったので、音の出所がはっきりとわかった。


——このロッカーだ…


 部屋の奥には掃除用具などが入る細長いロッカーが置いてあった。この中から音がしているようだ。


「ネ、ネズミとかですかね?」


「なんかアトラクションが好きだった子どもの霊が…」


「お化けの話はやめて下さい!お化けなんていないんですから!」


「なんまいだぶ!なんまいだぶ!」


——もういい!開けちゃえ!


ガン!


 私は目を瞑り、ロッカーの扉を一思いに開けた。何と、そこには女の人が入っていた。


「ぎゃぁぁあ!!お化けだぁぁあ!」


「いや、カッピーさん!待って下さい!」


 お化けだと思って絶叫するカッピーさんを落ち着かせる。私の目はハッキリとその女性を捉えていた。良かった。お化けではなく実態がありそうだ。


「な、なによ!違うわよ!」


「え?」


 ロッカーに入っていた女性はそう言いながら、飛び出してきた。私達は呆気にとられて黙っていると、捲し立てるように言葉を続けた。


「違うの!違うのよ!私は忍び込んだわけじゃないの!違うの!違う違う!だからチクらないで!」


 目が慣れてきて、その女性の顔が目に入った時、私は見覚えのある顔に驚いた。


——もしかしてニンジャさん?

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