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第187話 (173)はじまっていく、たかまっていく-1

「あれ??ココロくんの衣装は??」


「しー!ココロくんさっき寝たところですから…!衣装ならさっき上司さんが持って行きましたよ?」


「なんですって?!」


「すやすや」


 私は軍服ゾンビの衣装を受け取るために、ココロくんの元を訪ねたが、衣装はここにはなかった。どうして上司さんが持って行ったのだろう?もしかして、すれ違いになったのか?既にニセ姉の元へと持って行ったのだろうか?


プルルル


 たまらず上司さんに電話をする。もうショー開始まであまり時間がない。ココロくんが出る予定だったルッタッタダンスを踊るのはショーの二ブロック目なので、開始してから少しだけ時間があるが、それまでにバックヤードに待機できてないのはありえない。緊急事態である。


プルルル


——もう!何で出ないのよ!


「上司さん、ココロくんの代役が見つかったとか何とか言ってましたよ?」


「え?」


 医務室の先生が、ベッドで横になっているココロくんの頭の上に冷タオルを置きながらそう話す。どういうことだ?ニセ姉から上司さんに連絡したのだろうか?上司さんもシャクレが代役すること知っているのなら話が早くて助かるけど…。


『ウォォーン、ウォォーン』


——え?サイレン?やばい!ショーが始まる!


プルルル


 私のケータイへ着信が来る。きっと上司さんが折り返してくれたのだろうと思い、すかさず応答する。


「もしもし!上司さん?衣装持って行ってくれてるんですか?」


『あーやっと繋がった!上司さんじゃないですよ!タテノです!』


——タテノかい!!


「タテノ…今忙しいんだけど…何かあったの?ステージの様子はどう?」


『ステージなら大丈夫ですよ!大きな混乱はないです!実はさっき偽物のゾンビがお客様を驚かして回ってる見かけちゃって…。声かけようと思ったらどこか行っちゃったんですよね…』


——偽物のゾンビぃ?


 それはそれで問題だけど、今はショーのことで頭がいっぱいだ。上司さんがシャクレ達の元へ衣装を届けているのか、確認しないと。あ、そうだ!


「タテノ!ついでで申し訳ないんだけど、バックヤードに行って、軍服ゾンビがいるかどうか確認してくれない?」


『え?代役見つかったんですか?』


「見つかったと言えば見つかったんだけど…ちょっと説明する時間がなくて、バックヤードをちょっと見て確認して欲しいの!時間ないから!はやく!」


『あ、あわあわあわわ!わかりました!!』


プツン


 すぐに電話を切る。これでタテノからバックヤードに軍服ゾンビがいると連絡があれば、とりあえずは安心。だけれど、他への確認もしておかないと。


——まずはニセ姉に電話だ…!


プルルル


プルルル


——もう何で出ないのよ!!


 一体今何がどうなってるんだっけ?ココロくんの代演でシャクレに頼んだけど、軍服ゾンビの衣装はなくて、上司さんが持って行っちゃってて、あと…カッピーのことは?どうなったの??え、大丈夫かな?ショーはこのまま何とかなるんだろうか?緊急事態なんだから、みんな電話に出てよ!


——そうだ!ハッタリくん!


プルルル


 私はハッタリくんに電話をする。カッピーの件も気掛かりだ。軍服ゾンビよりは緊急度が低いと後回しにしていたが、流石にそろそろリミットが近い。


プルルル


——全然出ないじゃない!!


 そういえばハッタリくんが、こちらからの電話に応答したことはあまりない気がする。いつも事件が起こると、どこからともなくやってくるのみだ。


——そうだ!あかねちゃん!


 こういうことのためにハッタリくんにあかねちゃんを付けていたのだ。あかねちゃんならすぐに電話に出てくれるはずだ。


プルルル


『もしもし?はぁはぁ、ビッグボスですか??』


「あかねちゃん!そっちはどう?」


『はぁはぁ。今聞き込みしてたら、別の事件の話が出ちゃって…はぁ…』


——別の事件?!


 電話口のあかねちゃんが息を切らせている。走っているのだろうか?それにしても別の事件なんて…。はっきり言ってもう無理である。事件は一日一個までと相場が決まっているのに!こんなに立て続けに起こられちゃ!


——たまったもんじゃないわよ!!


「事件ってどういう…そんなことよりカッピーの事件を優先して欲しいんだけど…」


『わ、私もそう思ったんですけど…はぁ…はぁ…ハッタリさんが事件の話を聞いた途端走り出しちゃって…』


——この事件マニアめ!


 探偵というのは、事件と聞くと解決しないと済まない性分なんだろうか。この探偵バカ!推理アホ!


「あかねちゃん、とりあえずハッタリくんにカッピー探しを優先するように伝えて!」


『私もそう言ってるんですけど…全然止まってくれなくて…』


「そんなに急を要する事件なの?」


『いや!はぁ…はぁ…そんなことないと思います。なんかオバケが出たとかいう話が…』


——オバケぇ?

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