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ゾンビナイト  作者: むーん
オールナイト編

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174/222

第174話 (160)何とかしなくちゃ-2

「私が最後に見たのはメイクルームで…」


「ゾンビメイクのチェックをしたってことやな?」


「はい…!チェックでオッケーした後にすぐメイクルームを出て行かれて…。てっきりそのままメインステージのバックヤードの方に向かわれたのかと…」


「そうなんですね…恐らくカッピーさんを最後に見られたのはメイクさんじゃないかと」


「なるほどなぁ〜。オッケー!サンキューな!」


「ところであかねちゃん…いつの間にパーク探偵になったの?」


「いや、私探偵になんてなってませんから。成り行きで手伝っているだけです!」


「なんて、とは失礼な奴っちゃな〜」


 私とハッタリさんは、カッピーさんを目撃した最後の人だと思われるメイクさんに話を聞いていた。メイクさんもメイクルームを出て行った後の動向は知らないらしい。


「カッピーさん、何か思い詰めていたりしませんでしたか?」


「いや、特にいつもと変わりない感じでしたよ?一つだけ変なところがあるとしたら、何か少し急いでいたみたいで…私はトイレにでも行きたいのかなくらいにしか思ってなかったですけど…」


「なるほど焦っていたと…」


 メイクさんの話を聞きながら、ずっとメモをとっているハッタリさん。時折考え込むようなそぶりを見せては、何かをメモしていっている。私は何か気づいたことがあるのかと思って聞いてみる。


「ハッタリさん、何かわかりそうですか?」


「いや、さっぱりやな…。メイクさんはああ言うとったけど、思い詰めてバックれた可能性もまだ捨てきれへんな」


「バックれって…カッピーさんはバックれるような人とは思えないですよ」


「いやぁわからんでぇ。意外とああいうタイプは心に不安を溜め込んどるもんや」


「ハッタリさんがカッピーさんの何を知ってるんですか…」


「まぁオレはわかるんや、天才パーク探偵やからな。あかねちゃんこそカッピーの何を知ってるんや?」


 そう言われてハッとする。確かに。私は別にカッピーさんのことを何も知らない。この間、ジャンピースの100番くじで当たりのフィギュアを一回で引いちゃう人だということを知ったくらいだ。ダンサーさんと普通のスタッフの間にはやっぱり少し距離がある。ダンサーさんはダンサーさんで、スタッフはスタッフで固まりがちだ。


「知らなくてもわかるんです!カッピーさんはバックれたりするような、責任感のない人じゃありません!」


「ふーん、そうか。まっ、ワトソンくんがそう言うならそうなんかもな」


「ワトソンくん?私のことですか?私は助手じゃありませんよ!」


「あはは!」


 私たちの会話を聞いていたメイクさんは突然笑い出した。すいませんと謝りながら、彼女は私たちに弁明してきた。


「すいません!お二人の会話聞いてると、本当に探偵と助手みたいで…つい笑っちゃいました」


「もう!メイクさんまでやめてくださいよ!ハッタリさんが本気にしちゃうでしょ!」


「いえいえ、私の方でもカッピーさん見なかったか周りの人に聞いてみますね」


「おう、よろしゅうな!メイクのネェちゃん!」


 そう言って私たちはメイクさんと別れた。談笑してしまったが、ショーが始まるまでそんなに時間はない。早くカッピーさんを見つけないと。もし事件に巻き込まれていたら大変である。


〜〜〜


「あ、あわあわあわ。ど、どうしよう、ハナさん。僕たちもカッピーを…」


「オラフく〜ん。焦りすぎだにゃー」


「だってだって!」


「だってだってなんだもん?」


「キューティーハニーを歌った訳じゃないよ!」


 僕はストリートから戻って休憩に入っていたが、とてもじゃないけど休憩できる心持ちではなかった。ココロくんも倒れて、その上カッピーも行方不明だなんて。一体ショーはどうなるんだ?ハナさんもさぞかし焦っていることだろうと思ったら、彼女は平常心でのんびりと過ごしていた。


「一体どうなっちゃうんだ?!ショーは中止になっちゃうの?」


「まだそんな連絡は来てないけど。今のところは予定通りに開始すると思うよー」


「そんな…!ココロくんのパートは??カッピーのパートはどうするの??」


「まぁまぁ。そんなに焦らなくても。ココロくんのパートまではショー開始からも10分くらいはあるし、カッピーも私のパートもそこから10分弱はあるからねぇ。まだ焦る時じゃないよ」


「いや!今いないんだから焦るべきだよ!」


「あわてんぼうの〜オラフクロース〜」


「クリスマスまえに〜じゃなくて!」


「あっはっは!いいねぇ!」


「僕ビッグボスに言って、探すの手伝おうかな…!この休憩が終わったら、もうそのままショーになっちゃうし…」


「んにゃ、その必要はないさ」


「ひ、必要って…。カッピーがもし事件に巻き込まれてたら…」


「大丈夫さ!オラフくんは安心して、いつもの通りにゾンビとして漂っておいで」


 焦らずどしんと構えているハナさんを見ていると、焦っている自分が間違っているように感じてしまう。僕が焦りすぎなのか?


「なんでハナさんはそんなに…」


「カッピーは来るさ。ココロの奴のところもきっと大丈夫!」


「なんでそんなこと…」


「勘…かな?」


「勘って…」


「オラフさん!休憩時間終わりです!」


 僕たちが話しているとスタッフさんが僕を呼びに来る。ハナさんは「いってらっしゃ〜い」と言いながら、手を振って笑っていた。


——カッピーどこに行っちゃったんだよ…


 不安を抱えながら部屋を出ようとする僕にハナさんが近づいてきて声をかける。


「まぁ、私たちはいつも通りにゾンビとして漂うだけだよ。だってゾンビは焦ったりしないだろう?信じようよ、カッピーを」


 確かに。今僕たちにできることはない。あるとしたらゾンビとして、いつも通りに仕事をするだけだ。それにハッタリくん達も探してくれているみたいだし、そっちは任せて僕は僕ができることをやるしかない。ショーマストゴーオンだ。なるようになるさ。

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