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ゾンビナイト  作者: むーん
オールナイト編

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173/222

第173話 (159)何とかしなくちゃ-1

「ビッグボスのネェちゃん!話は聞いたで!カッピーはオレにまかしとき!ショーの開始までにステージに届けたるわ!」


 ハッタリ野郎は僕から電話を奪い取ると、電話口のビッグボスに向かってそう言い放った。こいつ…いつの間に僕の近くに現れたんだ。


『ハッタリくん…申し訳ないけど、お願いできるかな?なる早で…』


「まかしとけっちゅーねん。オレを誰やと思うてるんや?西の天才パーク探偵ハッタリやで?」


『ふふっ、そうね。天才さんにお任せするわ』


「おーけい!ほんなら、早速カッピー捜索開始や!」


 そう言うとハッタリ野郎は僕にヒョイっと電話を返してきた。こいつキザな感じでヒョイっと返してきやがって。丁寧に手渡せよ!


「あ、もしもし?ビッグボス?」


『あっタテノ?じゃあ、タテノは自分の持ち場に戻ってくれる?多分人足りてないと思うから…私もこっちを片付けてすぐにメインステージの方に向かうようにするわ』


「わ、わかりました!でも、ハッタリ野郎に任せて大丈夫ですか?」


『大丈夫よ。ハッタリくんに見つけられなかったモノはないもの』


「そ、そうなんですか?」


 カッピーさんがモノであるかはさておき、ビッグボスは全幅の信頼を寄せているようだった。ハッタリ野郎が探し物捜索に関してはプロなことは間違いないらしい。まぁ、ハッタリには1人寂しくカッピーさん探しに向かってもらおう。なんせ前回のジェットコースター対決で、あかねちゃんの相棒は僕になったのでね。ハッタリ野郎の相棒は不在となったわけだ。


『じゃあ、電話切るわね。この件はハッタリくんとあかねちゃんに任せておいて』


「え…?あかねちゃん…?」


 電話の向こうでビッグボスが変なこと言っている。この件を任すのはハッタリ野郎1人のはずで、あかねちゃんは関係ないはずだ。なんせ前回のジェットコースター対決であかねちゃんは僕の相棒になったからである。


「ビッグボス…!あかねちゃんはカッピーさん捜索に加わることは出来ませんよ?」


『えっ?どうして?今さっきメッセージ送ったわよ?あっ、今ちょうど『了解しました!』って返ってきたところ』


「え?何てメッセージ送ったんですか?この電話中に?」


『ハンズフリーで会話出来るんだから、メッセージくらい送れるわよ!私だって若者みたいにそのくらいは…』


「いや!まさか!ハッタリくんと一緒にカッピーさんを探してって送ったんじゃないでしょうね?」


『そうだけど…?それ以外に送るメッセージないでしょう?』


 僕は絶望した。ビッグボスは分かってないのだ。僕が前回のジェットコースター対決で勝利したため、あかねちゃんはハッタリ野郎の相棒を卒業し、僕の相棒となったことを。


「ビッグボス…」


『なによ?忙しいのよ?もう切るわよ?』


「それはダメです!」


『え?ダメって何が…』


「あかねちゃんはハッタリ野郎と一緒にカッピーさん探しはできません!!」


『…?は?タテノ何言ってるの…?』


「ハッタリ野郎とのジェットコースター対決で!僕が!僕が!勝ったからぁ!!」


『バカなこと言ってないで、早く仕事に戻りなさい。そろそろ怒るわよ?』


——くそ!埒が明かない!!


 ビッグボスに話が通じずイライラしていると、視界の遠くの方に映っているハッタリ野郎の元にあかねちゃんが到着したのが見えた。


「あの…ビッグボスに言われて来たんですけど…」


「おっ、来たな。今からカッピー臨時捜索本部の設立や!ネェちゃん頼むで〜?」


「な、何で私が…!」


「だらだら言うとる暇はないで。とにかく時間がない。まずは聞き込みやな」


 僕はハッタリに向かって必死にジェスチャーする。お前はもうあかねちゃんを相棒にすることはできない。何故ならば前回のジェットコースター対決でお前は敗北したからだ。僕はハッタリに何とかジェスチャーで伝えようとする。


(今回は緊急やさかい許してな)


 すると、遠くにいるハッタリ野郎がそう伝えるかの如くジェスチャーを返してくる。緊急やさかいじゃないだろ!じゃあ前回のジェットコースター対決の意味は何だったんだ!


『…い!タテノ!聞いてるの??』


 ハッタリ野郎とあかねちゃんは僕に背中を向けてどこかへと向かっていく。くそう、何かイチャイチャしてるように見えないか?


『おい!タテノ!!聞いてるの??』


「あ、はい!すいません!」


『早く持ち場に戻って!人が増えて大変みたいどから!』


「あの…ちなみに僕がハッタリ野郎と捜索を変わるわけにはいかないですか?」


『はぁ?何でタテノが…?タテノはパーク探偵じゃないでしょう?』


——パーク探偵じゃないでしょう?


 不思議な言葉にひっかかりつつ、確かに僕はパーク探偵ではないことを自覚していた。


「た、確かに僕はパーク探偵じゃないですけど」


『じゃあカッピー捜索はハッタリくんに任せておきなさい』


「は、はい…でも…」


『タテノぉ!忙しいんだから、早く持ち場に戻って!!』


 僕は突然大きな声を出すビッグボスに驚いた。


「は、はぁい!!」


 そして、反射で返事をしてしまった。ビッグボスがカンカンだ。確かに今の僕は仕事を放棄して、何やかんや喚いているだけの男に見えるのかもしれない。


ピッ


 僕は電話を切り、持ち場のエリアへ戻る。歩いている途中に僕の頭の中はこの思いで一杯だった。


——どうして僕はパーク探偵じゃないんだ…

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