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ゾンビナイト  作者: むーん
オールナイト編

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169/222

第169話 (155)なぜか今日は-2

『ナイトベアー様!行くのであります!』


『貴様らも踊る阿呆にならNight〜!』


てくてくてく


 僕たちはナイトベアーショーを終えてバックヤードへと戻った。着ぐるみで動くのは結構疲れる。真夏じゃないだけマシだけど、肌寒い季節といえど汗だくになってしまう。椅子に座って休憩しながら、すぐにメイクルームに行かなきゃなと思った。今日はこの後にオールナイトのショーもあるのだ。普通のパークの営業の後に、オールナイトのショーもあるなんて冷静に考えたら大変だな。単純に労働時間がいつもの倍あるということだ。


「ミッキーさん、僕次のショーのメイクしなきゃなんで先に失礼しますね」


「おう、ブラザー夜も頑張れよ。楽しみにしてっから」


「はい、ありがとうございます!」


 僕はメインステージのバックヤードを出て、メイクルームへと向かう。ゾンビのメイクして人前に出るのは久しぶりだ。1ヶ月ぶりぐらいだろうか。すっかりリトルナイトベアーの体になっちゃってるからな。ゾンビモードに切り替えないと。それに、今日はその前に一つやることもあるしな。ゾンビメイクも急いで終わらせないと。


〜〜〜


「やっぱり久しぶりに見ると良いなぁ」


「ずっとカルーアさんの姿見なかったから心配しましたよー」


「心配かけちゃってごめんね。キーホルダーもありがとう!嬉しくってカメラにつけちゃった!」


 私はもじゃちゃんにカメラにつけたリトルナイトベアーのキーホルダーを見せる。デイちゃんに貰った時は本当に嬉しかった。こんな私のことを心配してくれる子もいるんだ。私が1人で勝手に塞ぎ込んでいただけなのに、伝言を聞いた時は嬉しさと申し訳なさでいっぱいだった。


「閉園まで後1時間くらいだね」


「お腹空きすぎて今これ」


 Sポテトさんと文子ちゃんがそう話す。確かにオールナイトの前に腹ごしらえをした方がいいかもしれない。


「確かにお腹すいたねぇ。オールナイト前に何かお腹に入れようよー」


「Sポテトさん、またポテトのエスサイズ頼むんですかー?」


「もじゃちゃん!いつまでその話するんだよ!」


「あはは!」


 もじゃちゃん達のやり取りは見てるだけで楽しい。こんなオタク仲間に出会えて、私は幸せ者だなぁ。


「じゃあ、一回パーク出て腹ごしらえしようか!」


「ごめん!私ちょっと行かなきゃいけないところがあって…すぐ戻るから!」


「あ、じゃあ荷物もっとこうか?重いでしょ?」


「え?いいんですか?」


「Sポテさん力持ちで草」


「このくらい屁でもねーしw」


「草ポテさんで森」


「草ポテになっちゃってるよ!文子ちゃん!Sポテだから!」


 みんなと一緒にご飯食べたかったけど、私はその前に一つやらなきゃいけないことがある。私はSポテトさんの好意に甘えて荷物を持っててもらうことにした。すぐにみんなの元に戻る予定だし。


 カメラにつけたリトルナイトベアーのキーホルダーをぎゅっと握りしめながら、手を振ってみんなと別れた。


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