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ゾンビナイト  作者: むーん
激動編

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148/222

第148話 (136)???、はじめてのウルパー攻略日記-3

 私は先ほどの反省を生かし、ちゃんと自分の疑問を解決してくれそうな動画を選び再生してみた。


『今日もすやすや、サボちゃんです!』


 サボちゃんと名乗った男は、両手を枕のように顔のとこに置き、自己紹介を始めた。頼む…すぐにオールナイトのことを紹介してくれよ…。


『今日はゾンビナイトのオールナイトイベントへ行く方の疑問を解消したいと思います!』


 いいぞ、いいぞ。その調子で私の疑問を解消してくれ…!


『このチャンネルでは、ウルパーの最新情報や攻略動画を毎週発信しています!良かったらチャンネル登録と高評価をお願いしまーす!』


 まぁこのくらいは許してやろう。登録と高評価を迫るのは動画クリエイターの習性だ。飼い犬が犬小屋に物を隠す習性を止める術がないように、動画クリエイターの高評価挨拶を止めることはできないのだ。


グスン、グスン


 そう思っていると、突然画面に映る男が鼻をすすり泣き始めた。一体なにが起こったんだ??


『今日は嬉しい話と悲しい話があります…』


 嬉しい話と悲しい話?!なんだ??私のオールナイトイベントへの疑問を解消してくれるのではないのか??


「悲しい話の方は、このチャンネルのスタッフをやってくれていたタロウくんが前回の動画をもってチームを離れたことです」


 そ、そうなのか。私は今日初めて見るので知らなかったが、このチャンネルはチームでやっていたのか。涙をポトポトと落として泣くサボちゃんを見る限り、かなりの長い関係性だったと見える。人との別れは悲しい。私はサボちゃんに少し同情していた。タロウくんは一体どんな理由でチームを離れたのだろう。きっとのっぴきならない事情があったに違いない。


『タロウくんの話はここまでで。嬉しい話の方に行きます』


 え?!タロウくんの話終わり??思い出話とか話さないの??気になる…。どうしてタロウくんはサボちゃんのチームから離れたのだろう。疑問でいっぱいの私を放ったまま、サボちゃんは嬉しい話を話し始めた。


『このサボチャンネルの登録者数が十万人を突破しましたー!パチパチ!』


 なるほど…!これはめでたい…!登録者が十万人を超えるのはなかなかできることではない。しかし、サボちゃんもよくさっきの悲しい話から切り替えて喜べるな。画面には先ほどまでの泣いていたサボちゃんは、にっこりと嬉しそうに笑っていた。感情の切り替えすごいな、こいつ。


グスン、グスン


 え?!また、泣いた??動画を見ると、サボちゃんが再び号泣し始めていた。なんで?!やっぱり、タロウくんがチームを離れた件が尾を引いていたのだろうか?先ほどは無理して明るく振る舞っていたのだろう。健気なやつだぜ、サボちゃんは。


『実は…辞めようと思ってた時期もありました…』


 ん?どういうことだ?よくよく話を聞いてみると、タロウくんのことで泣いているのではなく、チャンネルをここまで続ける苦労を思って泣いていたようだった。画面上には、こんな時に辞めようと思ったとか、こんなことが嬉しかったなど、チャンネルの歴史を振り返りながら泣いているサボちゃんが映っていた。


ーー大変だったのかもしれないけどさ…


 どうして私は見ず知らずの動画クリエイターが、泣きながら苦労話をしているのを見ているのだろう。私はただオールナイトイベントの疑問を解消したかっただけなのに。彼が泣いている間も、私の疑問が宙に浮いたままであった。


『今日の動画はここまでです。応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!サボちゃんはこれからも日本一のインフルエンサーを目指してスヤスヤっていくよー!』


ーーえ?!終わり?!


 結局サボちゃんは私のオールナイトイベントの疑問を解消してくれることなく、笑顔で手を振っていた。あれ?動画の最初にオールナイトイベントへ行く方の疑問を解消したいって言ってたよな?解消してないんですけど!おーい!


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