第140話 (128)WanteD! WanteD!-1
ーーくそ!あいつどこにいるんだ?
前にあかねちゃんとイチャイチャしていたあの探偵野郎。あの日からパッタリと見かけなくなりやがった。一体僕のあかねちゃんとどういう関係なんだ!あの日、探偵野郎が僕に言った言葉がずっとリフレインしている。
『あかねちゃんは、オレの相棒で相方で弟子でパートナーやな。今日決まったんや』
ーーお前があかねちゃんのパートナーなわけないだろ!
僕はあかねちゃんと遊園地デートをして、次の約束もしているんだ!ぷんすか!ぷんすか!あかねちゃんは僕の相棒で相方で弟子でパートナーなんだ!奴との関係を問い詰めた時のあかねちゃんの言葉が頭に浮かぶ。
『全然何でもないよ!あんなの探偵バカが勝手に言ってるだけだから!』
探偵バカ?なんかそれ、仲良い幼馴染に言うみたいな言葉じゃん!本当は好きだけど、素直になれないのやつじゃん!ラブコメの!ツンデレの!平成の!古き良きの!高橋留美子の!お前ら早くくっついちゃえよ!のやつじゃん!僕には!そんなのないじゃん!じゃん!僕は。僕は。あかねちゃんにとって。ただの、ただの…。バイト先の同期じゃん…まだ…。
「う、うわぁぁあ!!!」
まさかここで恋のライバルが出現するなんて思ってもいなかった。当たり前だ。あかねちゃんは可愛い。あんな可愛い子に変な虫が寄りつかないわけなかったんだ。ていうか、あんなザ・探偵みたいな格好、探偵でもしないだろ!くそ!どこにいるんだ!あんな目立つ格好のやつ、すぐにわかるはずなのに。どこにも見当たらない。
「どこだぁあ!!ハッタリぃ!!僕とあかねちゃんを賭けて、ジェットコースター対決しろぉ!!」
僕はその後も敷地のバックヤードを隅から隅まで走り回ったのだが、ハッタリの野郎は影も形も見つからなかった。ハッタリの居場所を知っていそうな人…。1人だけ心当たりがある。僕の推理力がピカーンと光る。ハッタリ、僕はお前を越える推理力でお前を見つけて見せるぞ。
〜〜〜
「ぜぇ、はぁはぁ。ビッグボス…!」
「な、なに?タテノくん、どうしたのよ。そんなに息切らして…、何かあったの?」
僕はビッグボスの元へとやってきていた。ビッグボスはパークのことを何でも知っている。ハッタリとも旧知の仲のようだったし。あかねちゃんの話では、ハッタリを連れてきたのもビッグボスだったらしい。ならば、今ここに連れてきてもらおうか。お前の首根っこはもうすぐそこだ。
「あいつは…はぁはぁ。あいつはどこにいるんですか…!」
「待って。落ち着いて。あいつって誰のことよ?」
「そりゃあ、ハッタリのことに決まってるでしょうがぁあ!変な探偵の!」
「あぁ、ハッタリくんを探してるのね。なら、諦めなさい。」
「はっ?!諦め…?どうして!」
ビッグボスからのまさかの言葉に驚く。ビッグボスでも会えない存在なのか?何者なんだ、ハッタリは。




