第128話 (116)O•P•P•A•I-2
『この配信は終了しました。』
ーー何だったんだ、この配信は。
チョウチョさんとシャクレさんの配信は、強制終了となってしまっていた。しかし、あれがチョウチョさんなのか。お酒の力とは恐ろしいもので、僕がテレビでインタビューされた時とは全く異なる印象になっていた。
「…。」
配信を見終えて、すっかり黙り込んでしまったハナさん。当然だろう。かつてのオーディションでの因縁の相手、チョウチョ。そして、先日迷惑行為を行ったリュウ。それらが絡んだ配信で、自分の名前も出たのだ。ハナさんからすれば古傷をほじくり返されたような気分に違いない。
何て声をかければいいのか、と考えているとハナさんが口を開いた。
「チョウチョの野郎、昔より胸が育っていたな。何を食ってやがるんだ?」
ーーそこかよ?!
「確かに、胸の育ちでは完敗にゃんだけど。」
「いやいや、そんなのどうでもいいですよ。」
どうでも良いとは言いつつ、確かに胸の対決ではハナさんの完敗…。いや、余計なことを考えてしまった。ダメだ。煩悩を捨てるんだ、カッピー。呼吸を整えて、再びハナさんに話しかける。
「何かシャクレさんがハナさんとチョウチョの対決企画だー!とか言ってましたよ、まさかパークに乗り込んでくる気なんじゃ…。」
「確かに。シャクレとリュウならやりかねないわね。どうする?もし、ハナが嫌だったら、チョウチョ達を近づけないようにすることも出来るけど…。」
「ん?嫌じゃないよー?」
「え?」
「面白いじゃんか。私は逃げも隠れもしないよ。勝負でも何でも正面から受けてやるさ!どこからでもかかってこいってんだ!」
「いや、ハナ。『アレ』で暴走したこと、忘れてないわよね?勝負だろうと何だろうと仕事以外で勝手にする分には構わないけど、ゾンビナイトの時間中は…わかるわよね?」
勝手なことをしかねないモードになったハナさんを見かねて、ビッグボスが釘を刺す。ハナさんは鼻息荒く胸を張り、「ドン」と手を当てていたが、ビッグボスの凍るような視線に気づくと、蛇に睨まれた蛙のように硬直し、そっと手を下げたのだった。
「じょ、冗談だよぉ〜。殺気…漏れてるケド大丈夫?」
「これは殺気をわざと漏らしてるから大丈夫です。もしシャクレ達がやってきたら、ハナの周りは警戒しとくからね。」
「はいはい。わかりましたよー。この麗しきハナ姫をどうか守っておくれー。」
「今はふざける場面じゃないわよ。」
お姫様のようなキラキラとした表情をするハナさん。しかし、ビッグボスはそんなハナさんに目も合わせず、バッサリと切り捨てるのだった。
「ま、まあ。まだチョウチョさん達が来ると決まったわけじゃないですし…。」
「いや、奴等は来るね。」
僕の発言に被せるようにハナさんが話す。その顔は予想というよりも確信を持った表情に見えた。僕は思ったことをそのまま口に出してしまう。
「何でそんな自信満々なんですか…。」
「女の勘ってやつかな…!」
その勘がまさに的中していたと分かったのは次の日のことだった。




