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ゾンビナイト  作者: むーん
激動編

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123/222

第123話 (111)踵で愛を打ち鳴らせ-2

「りゅうじんさんが僕に?一体どういうことですか?」


「元々、このショーのラストはりゅうじんくんに任せようと思ってたのよ。本人も練習してくれてたんだけど、変更することになって、直接伝えに行ったのね。その時に、代わりはカッピーになったって言ったら、「彼なら大丈夫そうですね。カッピー君に任せます。楽しみにしています。」って快く変更を受け入れてくれたわ。」


「りゅうじん君のお墨付きってわけだね!こりゃ頑張るしかないねぇ、カッピー!」


 りゅうじんさんが?僕に任せる?楽しみに?どうしてそんなことを言ったんだろう。一度会ったことがあるだけなのに。いやきっと、りゅうじんさんは社交辞令で言っただけなのだろう。そうでないとおかしい。


「まぁ、そういうわけだからすぐに練習に励んでね!ダンスは基本的にはいつも踊ってるゾンビダンスだから!すぐにリハーサルも行うから、気合い入れてやんなさい!」


〜〜〜


「全然だめだね!緊張がもう手先足先に出てるよ!こりゃあ当日もガチガチであかんですよ!」


「ハナさん、やめてください!緊張は頑張って取りますから!」


 仕事の後、居残りでハナさんにダンスの指導をしてもらっていた。ハナさんは、ニセ姉からもらった動画のダンスを一瞬で習得していた。僕もそのびっくり能力が欲しい。


カッカッカッチーンカッカッカッチーン


 メトロノームの音に合わせてハナさんとダンスを合わせる。僕が少しミスをしてハナさんにぶつかってしまう。僕が謝ろうとすると、ハナさんは続けるように睨んでくる。本番ではダンスを止めることができないからであろう。そうやって何度も何度も通して練習していく。


 何度も何度も練習した後、休憩しようかとハナさんが提案してくる。僕がスランプに陥っているのを察したのだろう。硬いアスファルトの地面に寝そべりながら、ハナさんが僕に聞いてくる。


「カッピーはさ、何で緊張するの?」


「それがわかったら苦労しませんよ。気付いたらしてるんです。」


「楽しくない?踊るの。私はさ、踊ってる時はとにかく楽しくて、それ以外の感情が無くなっちゃうんだよね。言うなれば、1番の快楽物質さ。お酒でもクスリでも、これには勝てないね。」


「それじゃ、クスリやったことあるみたいになっちゃってますよ。」


「ははっ!確かに!ごめんごめん。」


 あははと笑いながら、ハナさんは空を仰ぐ。いや、クスリやってませんよね?ハナさんがもしそれで逮捕されたならば、いつかやると思ってましたとコメントしてしまいそうな気がする。いや、ないか。ハナさんはちゃらんぽらんだが、何だかんだ人としての一線を越える人ではない、はずだ。


「カッピー、ステップは愛だよ。」


 ハナさんが訳のわからないことを口走り始めた。やっぱりクスリをやっているかもしれない。


「クスリやってないわ!真面目な話ね、ダンスは愛なのさ。」


「愛…ですか?」


「そう、愛。爪先、踵から頭のつむじ、手のひら指先まで、愛を充満させるんだ。それこそ、緊張なんて入る隙間もないくらいにね。」


「…。すいません、全然わかりそうにないです…。」


「あはは!そうか!まぁ、カッピーならいつかわかるさ!」


 愛。愛か。愛とは何だろう。ダンスへの愛?好きなことしていることへの感謝?何だろう。考えれば考えるほど、さっぱりわからない。


「じゃあ、オールナイトのショーが上手くいったら、デートしようか?」


「は?!え?!デート?急にどうして?」


「急にって、前に言ってたじゃないか。」


 確かに言った。リトルナイトベアーの特訓の際に、ゾンビナイトが終わったら遊びに行きませんかと。でも、あの時ハナさんは寝ていたはずである。まさか…。


「あの時起きてたんですか?!意地悪な!」


「まぁまぁ、落ち着いて。意識が半々くらいだったんだよ!とにかく、緊張でダメダメなショーだったなら、デートはなし!カッピーもバーク辞めちゃうし、それでさよならだ!でももし成功したら、餞別代わりにデートに行こう。それでどう?」


「え、本当ですか?!」


「どうだろうねぇ〜。本当かどうかは成功して初めてわかることさ!」


 ハナさんは僕の質問をはぐらかす。しかし、その提案に一気に前のめりになってしまう。成功したら、ハナさんとデート。しかし、この時僕は気付いてしまった。デートをかけているため、絶対に失敗できないという思いが緊張を加速させてしまう可能性に。ええい、愛だ。全身に愛を充満させて、ステップなんだ。


ーーあっ、ミスった。


 ダンス中に邪念が生まれてしまい、先ほどよりもミスが増えてしまう。集中しなきゃ集中。


 そんなカッピーを見ながら、ハナさんはこう思っていた。


ーーこりゃ、デートはお預けになりそうかな?

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