第122話 (110)踵で愛を打ち鳴らせ-1
「い、いやいやいやいや!無理無理無理!無理です!」
「良いですねぇ〜!楽しそう〜!」
「僕は無理です!無理無理!むーーりーー!」
「無理無理言って!あんた、男でしょ?“タマ”付いてんのぉ〜?!あぁん?!」
「は、はぐぅ?!」
ニセ姉は、カッピーのタ…。いや、あえて言うのはやめておこう。カッピーの大事な宝物をむんずと握り、耳元に近づいて言うのだった。その声はいつものような猫撫で声ではなく、ドスの効いた低い声だった。
「あんた、『アレ』みたいな勝手なことやったんだから、その分の“貸し”がアタシにあるわよねぇ〜?」
「ぐぅ…。で、でも、あの時は素晴らしいって…。」
「ダ・カ・ラ・コ・ソ、よ。『アレ』で私ビンビンキタの。今年のゾンビナイトの主役はアナタたちだって。拒否権はないわよ。これは命令よ。」
「で、でも…。」
「あぁん?!返事は…?」
「はい!!やります!!」
カッピーの元気な返事が部屋に鳴り響く。ハナはそんな2人のやり取りをニコニコと眺めていた。
〜〜〜
「じゃ!改めて説明するわねぇ〜。」
ニセ姉は僕とハナさんに簡単なステージプランと行程表を配り、説明を始めてくれた。その顔はいつもと違い真剣な表情だ。
オールナイトでは、メインステージで特別なショーを開催する。そのショーは過去のゾンビナイトのゾンビが初年度のものから順番に登場するらしい。
「え?これ各年のゾンビが全員出るんですか?」
「いい質問ね、ハナ。答えはNOよ。出るのは、その年の代表的な人気ゾンビを1人だけ。それ以外は後ろのスクリーンに映像でだすわ。」
「へぇ〜!なるほど!懐かしいのも見れるのかぁ〜!それは楽しいね!」
貰った資料に写真が載っている。昔のものは見た覚えがないが、近年のものは動画サイトで見たことがあるゾンビだ。僕がゾンビナイトに興味を持ったのも、この辺の時期からだったなぁ。懐かしい。動画サイトを何度も見て、ダンスの練習をしたっけ。軍服ゾンビさんのルッタッタダンス。
「そのゾンビたちが各年のゾンビダンスを順番に踊っていって、最後に今年の代表であるアナタたち2人が踊ってステージが終わるってわけ!そしてその演奏をノベルナイトがやってくれるわ。もちろん生演奏よぉ〜。豪華〜!」
「各年の代表ゾンビって。始まってからもう10年以上経つから、10数人出るわけですよね?よく、ゾンビダンサー集まりましたね?」
ハナさんが疑問を口にする。確かにそうだ。このショーの間も、ストリートではゾンビが闊歩しているのだ。いつものナイトベアーショーに出ているダンサーを総動員するのだろうか?それでも頭数が不安である。
「まだ集まってないわ。鋭意調整中よ。ニセ姉が“急”に!ステージを変更したからね。」
「まっ!その辺はビッグボスや他のダンサーさん達に頑張ってもらいましょう。餅は餅屋ってね。アナタたち2人は、自分の持ち場を全力でやって頂戴!」
ニセ姉は楽しくなってきたわねぇと言いながら、手をひらひらとさせて上機嫌だ。僕はと言うと不安でいっぱいだ。さっきはニセ姉の圧力に負けて、元気にやりますと返事をしたが、テーマパークでのダンス歴は1ヶ月。ダンスもストリートでは踊っていたが、大きなステージで踊るのは初めてである。リトルナイトベアーとしてステージに上がってはいるが。そんな初めてのステージがオールナイトイベントの最後。
「おっ。おぇえ…。」
「ニセ姉!カッピーが緊張で嘔吐いてます!」
「何ぃ〜?緊張なんかしてる余裕ないわよ!」
「す、すいません!でも流石に大トリのダンスは緊張しますよ…。僕より、りゅうじんさんとかの方が適任なんじゃ?」
「あら。そんなことないわよ。りゅうじんくんもカッピーに任せるって言ってたわよ。」
ーーりゅうじんさんが?!どう言うことだ?
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