第119話 (107)踊り子-1
「…と言うわけで、ごめんなさい。ファンレターありがとう!嬉しかったです…。」
「そうですよね…。すいません。ただのファンなのに出過ぎたことをして…。仲良くなれたらと思って…。」
「あ、謝ることはないですよ!こうして話す分には楽しいし…。あ、でもここで話すのも本当は良くないのかな…。」
僕はファンレターのお礼と、連絡先の交換は出来ないということをカルーアさんに伝えた。カルーアさんに会う方法がなく、どうやって伝えようと思っていたが、ベイサイドエリアのベンチに向かうとカルーアさんの姿があったのだった。カルーアさんは、「ここで待ってたら会えるかなと思って」と言っていた。
「カッピーさんに迷惑かけちゃったみたいでごめんなさい。」
「だから謝らなくて大丈夫です!あと、ここでファンと話すのも注意されちゃって、これからは僕もここに来ないようにします…。」
「そうかぁ…。残念だけど仕方ないですね。私もこれまでここで時々話せて楽しかったです!ここで話さなくても、ショーを見ればカッピーさんに会えますもんね。」
「本当にありがとう。応援してくれると僕も嬉しいです。いつも本当にありがとうございます。」
「はい!これからも応援してます!それにここでは会えないけど、街中でたまたま会ったりした時は話しても大丈夫ですもんね?」
カルーアさんは、ニコッとした顔を僕に向けてくる。そ、それは大丈夫なんだろうか。それもダメな気がするけど、偶然会った際に無視するのも何だか変な感じがする。もう顔見知りくらいにはなっているのだ。挨拶くらいは大丈夫かな?
「そ、そうですね。挨拶とかするくらいなら全然大丈夫だと…。」
「わかりました!わざわざありがとうございましたー!」
〜〜〜
「…。それでカッピー。ちゃんとカルーアには言ったのかい?」
「はい!言ってきましたよ!」
「本当にー?僕はファンに恋愛感情を抱くことはないから、もう近づかないでくれって言ったのかい?」
「いや…。そこまで突き放すようなことは言ってないですけど…。何となく、やんわりとは伝えたので、カルーアさんもわかってくれてると思うんですけどね。」
僕がそう弁明すると、ハナさんはため息をつきながら、ダメだこりゃとでも言いたげなポーズをして、手をひらひらとさせるのだった。
「あたしゃカッピーがこんな悪い男だとは思わなかったよ。」
「そ、そんな!悪い男なんかじゃ…。」
「カルーアのこと、ちゃんと振ってあげないと彼女も可能性感じてしまうだろ?それとも何か?イケるときにイこうとしてるのかい?」
「変なこと言わないで下さい!そんなんじゃ…。カルーアさんもただ応援してくれてるだけで、そんなんじゃないと思うんです!だから、心配しなくて大丈夫です!」
〜〜〜
「あれ?カッピーさんだ!」
「え?!カルーアさん?!何でここに?!」
「たまたま通りかかって…。えー!すごい!運命ですね!」
次の日の仕事終わり、従業員用の出入り口から帰ろうとすると、なんとカルーアさんとバッタリ会ったのだった。それから駅までの道中、あの時のダンスがカッコよかった等の話をされた。また写真整理したら、ファンレター送りますね、とのことだった。偶然…だよな?カルーアさんは終始ニコニコとしていて、邪気のないように感じられた。待ち伏せをしていたわけじゃないですよね?僕の考えすぎだと思いたい。
〜〜〜
「え?!カッピーさん!また会いましたね!」
「お、おはようございます…。どうしてこんな時間に?」
「たまたまあそこのカフェで休んでたんですよ。えー偶然!運命ですね!これは!」
カルーアさんはそう言いながら、カフェの方を指差す。どうやら、パークの最寄駅の前にあるカフェにいたら、ちょうど出勤している僕が目に入ったため、驚いて挨拶に来たらしい。偶然…。たまたま…。運命…?本当にそうなのだろうか。
「ちょうどファンレターに出す写真を選んでて…。あっ!見せない方がいいですね?ファンレター届いた時のお楽しみにしましょう!便箋も可愛いの買ったので楽しみにしててくださいね!ふふ!」
〜〜〜
「わー!カッピーさん!」
「あ…。カルーアさん。」
「2日連続!3回目ですよ!二度あることは三度ありますね!四度五度と続いちゃったりして?なんて。えへへ。」
笑顔で話し続けるカルーアさん。もう僕は彼女の話が全く頭に入らず、適当に相槌を打っていた。これはもう間違いないかもしれない。間違いなく、待ち伏せされている。ハナさん、ごめんなさい。あなたが正しかったです。しかし、笑顔で話してくれているカルーアさんを邪険にも出来ず、僕はどうしようかと悩みながら歩くのだった。
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