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ゾンビナイト  作者: むーん
激動編

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117/222

第117話 (105)日常-1

ガチャ


 休憩室のドアを開けて、僕を出迎えたのはココロさんとゾンビさんだった。予想外の組み合わせの2人に驚く。この2人は僕が入るまで、どんな会話をしていたのだろう。いや、そもそもゾンビさんはゾンビモードに入っているのだから会話にならないはずだ。ココロさん相手にもあのゾンビモードで対応しているのだろうか。


「ゔぅ…。ゔぉあ。」


「お、お疲れ様です。」


ガチャ


 僕が休憩室に入り、椅子に腰掛けると、入れ替わるようにゾンビさんが部屋から出ていく。相変わらずの完璧なまでのゾンビ動作である。椅子から立ち上がって、部屋を出ていくまでの動きがゾンビそのものであった。いや?ゾンビは椅子に座るのか?椅子に座るのはゾンビっぽくないんじゃないか?


「どうしたんだ?カッピー、変な顔して。」


「い、いや。ココロさんってゾンビさんと話したりするんですか?」


「話すも何もゾンビさんは、俺がパークでダンサー始めた頃からずっとお世話になってる師匠みたいな人だよ。」


「え?!そうなんですか?!」


「俺が最初にダンサーの仕事したのは、フルスロットルパレードっていうパーク内をダンスしながらグルっと一周するやつだったんだけどさ。その時、色々教えてくれたのがゾンビさんなんだよ。」


「教えてくれたって…。ゾンビ語でですか?」


「バカか!お前は!その時は普通に喋るんだよ!」


「そ、そりゃそうか。てか、ゾンビさんってゾンビナイト以外でもダンサーやってるんですね。」


「カッピーって何も知らないんだな!ゾンビさんはメインのショーには殆ど出てる主力のダンサーなんだぜ?」


「全然イメージ出来ないです…。僕はただの変人だと思ってました。ココロさんは、ゾンビナイト期間にゾンビになっちゃうことをどう思ってるんですか?」


「いやぁ。すげぇよ。ゾンビさんは。プロだよ、あれは。」


「え?」


「ゾンビのメイクした瞬間からゾンビになるなんて…。あの人のプロ意識には敵わねぇよ。俺もゾンビさんに倣ってチャレンジしようとしたけど、1時間ともたなかったな。リスペクトでしかねぇよ。」


 想定外の言葉に驚きを隠せなかった。僕は今までゾンビさんをゾンビナイトの名物面白ダンサーだと認識していたが、ココロさんにとってはその真逆だったのだ。確かにずっとゾンビを続けるのは難しいし、大変なことではある。


「だからな、カッピー。変人なんて言っちゃいけねぇ。あの人こそ本当の“ゾンビ”なんだよ。」


「は、はい。そうですね。気をつけます。」


 思わぬところに地雷はあるもので、ココロさんにとって、ゾンビさんを軽々しく扱うことは御法度のようだった。今後は気をつけなければ。


「非日常だってさ。」


「はい?」


「ほら、ウルパーのキャッチコピーでよく言うだろ?『非日常の体験をあなたに!』みたいな。」


 ココロさんは休憩室の机の上に置いてあるパークのリーフレットを見ながら、話し始めた。その口調は先ほどよりセンチメンタルな印象を受ける。


「カッピーが辞めるって聞いてさ。まぁ珍しいことじゃねぇんだけど、すぐ辞めちゃう奴なんかは。実は俺も何回か思ったことあるんだよ。」


「え?そうなんですか?」


 意外である。てっきりココロさんは悩みなんかなくダンスしてれば、それだけで楽しい。今が良ければハッピーな人だと思っていた。


「お前、今俺が悩みなんてないダンスだけするハッピー野郎じゃなかったのかって思ってないだろうな?」


ーーす、鋭い…。


「そんなこと思ってないですよ!」


「なら良いんだけどさ。お客さんは非日常でパークに来るわけさ。でも、俺らは毎日毎日同じダンスを笑顔で楽しく踊るわけだ。よく来てくれるオタク達にカメラで囲まれたりしてな。だからそのー。俺にとっては、あれだ。退屈な日常になる瞬間があるんだよ。踊っててな。非日常なのに日常なんだよ。」


 ココロさんの話は若干要領を得ないが、言っていることは何となくわかる。僕なんかが1ヶ月ダンサーの仕事をしただけで、楽しかったダンスを、夢だった仕事を作業のように行なってしまうまでになったのだ。何年もその仕事をしているココロさんが、その域に達していない訳ないのだ。…いくらバカっぽいからと言っても。


「それがあれなんだよな。すげー強い盾とすげー強い矛のなんか、相反してるんじゃないか?みたいなやつ。ギョーザみたいな。」


「む、矛盾ですか?」


「あーそう!“ムジュン”だ!流石、天才カッピー!博識だべ!なんか、非日常なのに日常なのが、“ムジュン”に感じるんだよ!わかるよな?カッピー!」


「わ、わかります。僕が今度限りで辞めようと思ったのもそれが一因ですから…。」


「そうか…。」


 僕らの間を少しの沈黙が包む。まさかココロさんとこんな話をする日が来るなんて。深い話をしている気がする。深い話をしている気がするのだが…。


「なぁ、カッピー。」


「はい?何ですか?」


「“イチイン”って何だ?」


 どうにも深い話になりきれないのは、どうしてだろうか。僕のせいですか?ココロさんのせいにしても大丈夫でしょうか?

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ここまで読んで頂いて本当に嬉しいです。

このキャラのエピソードもっと読みたいなどあれば、コメントで教えて頂きたいです!

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