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ゾンビナイト  作者: むーん
激動編

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113/222

第113話 (101)おばけでいいからはやくきて

「イエス!やりました!アイガットイット!ユー!やりましたよ!」


シーン。


「あ、あれ?ユー?ユー?どこデース?」


 静かな部屋に自分の声だけが響く。いつもなら喜ぶ僕をからかってくるユーがいない。そういえば今日は姿を見ていない気がする。まぁそういう日もあるか。そのうち、姿を現すだろう。


ーーそれにしてもやりました!


 今年初めての試みのゾンビナイトのオールナイトイベント。いくらイベントが人気とはいえ、オールナイトイベントに人が来るかは実際にイベントを発表して、チケットを発売するまでは不安だった。そんなの人気イベントなのだから、売り切れるのは当たり前だろうと思う人もいるかもしれないが、イベントの主催者としては常にそういう不安がまとまりつくものである。実際に、人気のイベントでもチケットが中々売れずに苦悩するということはよくあるのだ。


ーーあとは当日に向けての準備をするだけデース!


シーン。


 部屋の中を静寂が包む。寂しい。最近はユーとずっと話していたため、仕事中はずっと賑やかだった。こうも急にいなくなられると、調子が狂う。幽霊の出現を願うなど変だとはわかっているが、いまは早く化けて出てきてほしい思いだ。そんなことを考えていると、僕の身体にずしりと嫌な予感のようなものがのしかかった。これは間違いない。ビッグボスが部屋に近づいている気配だ。部屋の中に一気に緊張感が走る。その近づき方は何か物申したいことがある時のそれである。


コツコツコツ


コツコツコツ


コンコン


「失礼します。今いいですか?」


「だ、大丈夫デース。一体何事ですか?」


 僕の予想通りビッグボスが部屋へとやってきた。その顔は疲れが見て取れた。少しは休んだらどう?と喉まで出かかったが、今ビッグボスに休まれると回らなくなる現場が多々発生する。ビッグボスが疲れて倒れないことを祈るばかりである。


「…。そんな身構えないでくださいよ。別に怒りにきたわけじゃないんですから。」


「え?!そうなの?なーんだ、良かったデース。」


「少し報告があって、さっき犬が入ってきちゃってーー。」


〜〜〜


「そうですか。そんな事が。」


「今回は大事にならなかったから良かったですが、今後似たような事が発生してしまわないように対策をした方が良いと思って。」


「その通りデスネ。すぐに対策するように建築担当に連絡しておきます。」


「よろしくお願いします。」


 まさか犬が侵入するなんて、可愛い事件ではあるが、お客さんのいるゾーンに出なくて本当に良かった。この時代すぐに写真を撮られて拡散されてしまう。そうすると大問題になる可能性もある。責任者として、想像するだけで気が重たくなる。こういう時にパーク探偵がいてくれると助かる。彼にはこれまでも何度もパーク内の事件を大小解決してもらっている。今回もお手柄である。


「あと、一つ気になっている事があるんですが。」


「何ですか?」


「オールナイトが発表された時に、“全ゾンビ大集合”って書いたじゃないですか?」


「そ、そうデースね。」


 ユーに勝手に投稿された件を思い出す。多少トラブルにはなったが、あれも大事に至らなくて済んだ。結果としては沢山拡散され、宣伝になり、今回のチケットソールドアウトに繋がったのだ。


「あの“全ゾンビ”っていうのが、過去のゾンビナイトに登場した全てのゾンビだ、というデマが投稿されていて…。」


「ワッツ!でもそんなのSNSの一つの投稿でしょう?」


「そう思って私も放っておいたんですが、そのデマが中々に広まってまして…。」


『チケット争奪戦の末、勝ち取ったぞ!これで初恋の海賊ゾンビに会えるんですね涙』


『取れなかったよ、、。オールナイトのチケ、、。アイドルゾンビ復活って聞いて、気合い入れて望んだのに。』


『やったぁぁあ!!青髪ピエロゾンビに会えるぞぉおおお!!!』


 ビッグボスが見せてくれたスマホには、過去のゾンビが復活する前提でチケット争奪戦の悲喜交々を語る人達の投稿のスクショがかなりの数保存されていた。


「こ、こんなに…。」


「そうなんですよ。極め付けはこれです。」


『オールナイトで、ゾンビ、復活ということで、コツの方で、歴代のゾンビを、表にして、まとめておき、ました。過去の、登場エリアも記載しているので、参考までに。』


「噂の出所のテーマパークのコツも張り切っちゃって、過去のゾンビの写真を全てまとめて、エクセルで表にまとめているみたいです。」


「な、なんデスカ!これは、わかりやすい!こんな暇人がいるものなんですか?!」


「コツを侮ってはいけませんよ。この投稿もかなり拡散されてしまってるんですよね。中には、公式がまとめたものと勘違いしている人もいて…。」


「オーマイガー。どうすれば良いんですかぁ!」


「そう!そこなんですよ!」


 ビッグボスがその言葉を待ってましたと言わんばかりに食い気味に僕に向かって、指をさす。まさかあの何気ない投稿がここまでの事態になっているとは知らなかった。チケットがソールドしたのもこの影響があるのだろうか?日本語は難しい。全ゾンビとは今年登場する全ゾンビが集まるということで、過去の全ゾンビが出てくるわけではありませんと謝罪した方がいいのだろうか。


「これ、私たちが謝罪する必要ありますか?」


「え?」


「だって、こっちは過去のゾンビが出てくるなんて一言も言ってないんですよ?このコツってアカウントが勝手にデマを拡散させたせいで!」


「まぁ、確かにそうですねぇ。」


 確かに悩ましい。ここで謝ってしまっては、パーク側が悪いみたいになってしまう。こちらとしては嘘の情報を流したりなどしていないのだ。


「ちなみに、今からゾンビを増やすっていうのは…?」


「バカなこと言わないでください!もう1ヶ月を切ってるんですよ?」


「そ、そうだよねー。」


コンコン


 僕とビッグボスが話していると、部屋の入り口からノックの音が聞こえてくる。誰かと思い、見てみるとそこにはゾンビナイト演出家のニセさんが立っていた。


「話は聞かせてもらったわぁ〜。アタシに案があるわよ。」

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このキャラのエピソードもっと読みたいなどあれば、コメントで教えて頂きたいです!

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