第106話 (94)迷子犬と雨のビート-2
ハッタリと名乗った職業自称パーク探偵の男はズカズカと部屋に入ってきて、私たちが話している近くの椅子に腰掛けた。もしこいつが事件を起こして逮捕されたら、職業は無職と書かれることだろう。パーク探偵です。などと言われても、はいそうですかと納得はできない。
「ビッグボスのネェちゃんも久しぶりやなぁ。随分とお疲れの様子やな。忙しいっちゅーても休まんとあかんで。」
「ハッタリくんありがとう。今は忙しいから休みも中々取れなくてね。今回呼んだのはー。」
「話はもう聞いたで。エディーっちゅー犬の捜索やろ?そういうことなら、西の天才パーク探偵のオレに任しとき。」
西の天才パーク探偵という初めて聞いた言葉に衝撃を受ける。西ということは東もいるということなのだろうか。天才がいるということは凡才パーク探偵がいるということなのか。パーク探偵とはそもそも何なのか。私はまだ説明を受けてない。それとも、私が知らないだけで、インフルエンサーのようにいつも間にか新しい職業として、パーク探偵というものがランクインしているのだろうか。というか、こいつは社員なのか?年齢は10代後半から20代前半に見える。恐らく私と同世代だろう。気になる。こいつの給料はどのくらいなのか。
「なんやネェちゃん。別にオレは怪しいもんちゃうぞ。」
「そりゃそんな探偵オブ探偵みたいな格好してたら怪しむに決まってるでしょう!」
「そないなこと言われても、探偵なんやからしゃーないやろ。」
「あかねちゃんにはハッタリくんと一緒にエディー捜索にあたってもらうわ。」
「えー?!この変人とですか?!」
「変人ってなんや!オレはパーク探偵やぞ!」
「だからそのパーク探偵って何なんですか!」
「まぁまぁ、2人とももう仲良いみたいで良かった。」
「「仲良くないわ(ないです)!!」」
〜〜〜
「ちょっと、どこ向かってるんですか!」
「とりあえず飼い主が言うてたエディーが入ってったゆー場所に向こーとるんや。」
「2人で行動するように言われてるんだから、私にも何か話して下さいよ!」
「あかねちゃんやっけ?お前足手まといやから、適当に切り上げてどっか行き。捜索はオレだけで充分や。」
ーーんなっ!足手まとい?そりゃ迷子犬探しの専門家じゃないけど、その言い方はないんじゃないの?
「まぁまぁ、あかねちゃん。そない怒るなや。それにもうオレはエディーのいる場所は大体目星ついとるんやから、焦ることはないで。」
「え?!本当に??」
まだ大して捜索してないにも関わらず、エディーの場所に心当たりがあると言う彼の言葉に驚いてしまう。パーク探偵の名は伊達ではなく、流石に園内を熟知しているのだろうか。先ほどまでの懐疑的な目を改めて、少し尊敬してしまっていた。
「ちなみにどこにいると推理してるんですか?」
「ん?まぁその話はええやろ。」
「は?ええやろってか、その話しかないですよ。勿体ぶらずに教えて下さいよ。」
「いやいや後でもええやろ。」
「いいから、早く教えて下さいよ!私がそこに探しに行ったら効率も良いでしょうし。」
「…。」
「もしかして、ハッタリですか?」
「ん?そうや、オレはハッタリや。」
「いやそうじゃなくて。目星ついてるって話がハッタリで、本当はまだ全然わかってないってことじゃ?」
「なんやあかねちゃん、推理力あるやん。さてはパーク探偵の座を狙ってんのか?」
「何なんですか!ガッカリ!そんなの狙ってないですよ!」
前言撤回。さっきの尊敬を返してほしい。ハッタリって名前の由来はこのハッタリを言うことから来てるのだろうか。他称ならまだしも自称もハッタリなのは何なんだろう。自分でもハッタリを言う自覚があるのか。職業から名前から格好から何もかも謎すぎる。
「おっ、ついたで。ここが事件現場や。」
ーー事件現場ではないだろ!それっぽく言うな!
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