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032 - 佐藤との出会い(8)


 元カノの方は知らないが、スズキの野郎が嫌がらせをしてくる理由はわかった。


(これほどあからさまに佐藤をターゲットに嫌がらせをし続ける理由になるか? これ、モラハラ・パワハラ案件じゃねえか? コンプラどこ行ったんだ?)


 社内での彼氏彼女の出会いと別れなんて頻繁にあるはずだ。それこそ、こんな大企業、支社を含めて数千人規模の会社では。


(意味わかんねえ、佐藤は単なる被害者じゃねえか……)


 オレがいたわしそうな表情で佐藤を見ていることに気づいたんだろう。

 佐藤はハンカチで目頭を押さえてズズっと鼻を啜ると、視線を合わせて


「ちょっと……スッキリしました……」


 ニコッと笑った。その顔を見たオレは何故か動揺した。


(え?)


 薄い(とび)色の目の、白眼が真っ赤になっている。

 その目がじっとオレを見ていて、急に居た堪れなくなったため、気を逸らすべく質問した。


「え、え~と……まだ納得いってないんだが……」

「ナニがですか?」


 今度は佐藤の方がオレを覗き込んでくる。


「い、いや、元恋人を取られた腹いせってことだろ? それにしては粘着質すぎないか?」


 聞き間違いでなければ去年の年末に別れた、と言ってたはずだ。つまり、現時点ではもう別れて1年になっている。(なのに未だに? 普通、1年以上も嫌がらせし続けるか?)ということがせない。


「あぁ、後で知ったんですけど……」


 少し、落ち着いてきたのか、佐藤に笑顔が見え始めた。


「先輩……彼女にプロポーズするつもりで会った日に、僕のことを言われて振られたんだそうです……」

「っは~~~~!!??」

「ですよね、はははっ……」


 まぁ、要するに、スズキや……もうオレの中では【ズッキーニ】でいいな。


 ズッキーニの野郎は、あっさり佐藤に乗り換えた彼女に結婚する意思があるほど本気だった。

 なのに彼女の方はズッキーニにさほど入れ込んでいないどころか、乗り換える前提で交際を隠していた。

 そこで超美形の佐藤がズッキーニの後輩として入ってきて、ズッキーニ本人から旬な情報を得られるようになりダメ元で告白。そしたら見事成功し、晴れて佐藤と付き合うことになり、お役御免になったズッキーニは無惨にも彼女にポイ捨てされた、ってわけだ。


 なるほど、言語化すると凄まじい。というか、そのオンナ、ズッキーニすら手玉に取るとは……年齢どころか顔も名前も知らんし、知りたくもないが。


「で、その彼女って……今は?」

「あ、はい。年明けからすぐ無断欠勤が続いて、そのまま退職しました」

「え? なんで?」


 オレが矢継ぎ早に質問するものだから、佐藤は楽しくなってきたらしい。


「ははっ……僕と付き合った彼女は、周囲に知られると陰で悪質なイジメにあって3ヶ月しないうちに退職しちゃうんですよ」

「は? ぇえ?!」

「なので、もう今年に入ってから社内の人とは付き合わないようにしてます」


(そんな話、聞いたことねぇよ……というか、凄まじいな、それ……)


 やっぱり美形イケメンって異世界の住人だったんだな、という思いを新たにした。






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▶︎▶︎前半部未読の方はご注意ください◀◀

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▼ 他 掲載作品 ▼

君知るや〜 最強のΩと出会ったβの因果律 〜



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