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プロローグ

プロローグ

夜風はいつも気持ちがいい。

雨の日も曇りの日も私はお気に入りのこのビルの屋上の柵を超えた所に座り風を浴びながらこのつまらない人生について考える。

考えたところで別に何も変わりはしないのだけど退屈な毎日同じ事をするしか暇を潰せないとてつもなく長い長い時間。

私には無限大の時間と暇と永遠の命がある。


「今日は満月か」

今は何時なのだろうか、、、

ビルの下を見てみると人間達がたくさん歩いている。

男。女。子供。老人。

本当にたくさん。

人間はこんなビルから落ちたぐらいで死ぬんだろうな。

簡単に潰れて頭が割れて骨も砕けて、、、。

羨ましいな。

たかがこんな高さから落ちて死ねるなんてなんて脆いんだろう。

私は立ち上がりふぅと身体の力を抜いてみた。風は私の髪を靡かせて身体を外へと押し出している。私はその力に逆らわず目を瞑った。


「何をしている」

低い声が私を現実へと引き戻した。

「、、、何の用?私はあんたの顔なんか見たくないんだけど。せっかくいい夜なんだから1人で楽しみたいの」

「それは失礼したな。私には貴様がそこから落ちようとしているように見えたので止めに来てあげたんだよ。可愛い教え子を見殺しには出来ないからな」

図星をつかれ何も言えず下唇を噛んだ。

「わかっているとは思うがたかが知れてる高さから落ちようが心臓を貫かれようが首を切り落とされようがお前は死なない。我々は不死身なのだ。神から与えられた完璧な種族。それが私達吸血鬼(ヴァンパイア)だ」

「何回も聞いたよ。死のうなんて考えてない。死のうとしてたのはもう何十年も前の話でしょ?もう死ぬ気も失せたわよ。ただ人間を見ようとしてただけ」

「人間なんてひ弱な生き物を見てどうする?少しの細菌と傷で簡単に死んでしまう。脆く儚い存在だ。我々はどうだ?人間より遥かに優れている。細菌なんぞでは身体はびくともしない。傷は直ぐに治る。人間は我々吸血鬼の食糧でしかないのだ。そうだろう?」

「はいはい、そうですね。叔父様」

修吾叔父様はまだ産まれて間もなかった私を引き取り育ててくれた。

親の顔は知らない。親は私を捨てた。私が吸血鬼の中でも珍しい青い瞳を持って産まれてきたから。吸血鬼の瞳は赤い。叔父様の瞳もルビーのように赤く輝いている。だが、私の瞳は左目が赤く右目が青い。青い瞳は不吉とされ忌み嫌われてる。

両親は産まれてきた私に絶望し殺そうとしたらしい。叔父様は殺されかけた私を保護しそのまま今まで育ててくれた。

叔父様には感謝している。

何度も死のうとした私を見捨てずずっと側に置いてくれた。

だが、私だって年頃だ。反抗期だってある。

「いつまでも子供扱いしないでよ。人間の歳で言うなら私はもう16歳。立派に独り立ち出来る歳なんだから」

「そうか。そうか。もう16歳か。まぁもうお前なら1人でも大丈夫だろう。いずれは私の家紋を背負っていかねばならないからな。社会経験も積まねばな。期待しているぞ」

そう言うと叔父様は夜の闇に消えていった。

「はぁ」

私はまた座り込みフェンスに寄りかかり空を見上げた。

「喉乾いたなぁ」

今日は、ご飯お預けかな。

私はお腹が空けば吸血はするがあまり人間の血は好きじゃない。豚や牛などの家畜の血も嫌いだ。嫌いな物を好んで飲む変人が居るとすればそれは間違いなく私の事だろう。ただ断末魔が聞ければそれでいい。それで私は満たされる。

だが、今日は気分じゃない。

「いいや、今日はこのまま空を見ていよう。なんか疲れちゃったし。ねぇ、今日は何か面白いことあった?」

私はコウモリに話しかけた。コウモリが唯一の私の世間を知るツールであり話し相手だ。

キキッとコウモリは話した。

「ふーん、なんもなし、、、か、つまんない。いいよ、行って」

コウモリはどこかへ飛んで行った。

明日は何をしようかな。別に何もやる事ないけど。また1日退屈なだけだなぁ。

「はぁ」

暗い夜空に私のため息は吸い込まれていった。


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